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雪が積もり暗くなっても帰ってこない!?夢中になるこうちゃんに流れる時間を守ってあげたくなった日【いっくじ日記#22】

  • 2025.12.27

HBCアナウンサーの室谷香菜子(むろや・かなこ)がお送りする、「連載|室谷香菜子の「いっくじ」日記」。

息子「こうちゃん」の“一言”と、一緒にしたためる一句で、子育ての日々を”一句”(育)児日記につづります!

「去年もあっという間の一年だったけど、今年はさらに短く感じた…」

2025年12月。ママ友たちと集まってお菓子を食べながらしみじみ。

かたや子どもたちは家の中を縦横無尽に走り回り、さっきまで仲良くしてたのに突然ケンカが勃発。
「もう一緒に遊ばないから!」と泣き出す子もいたりと忙しそう。

Sitakke

子どものころは1日、1年が濃く、長く感じていたのに、年齢を重ねるにつれ時間の感覚がどんどんはやくなり、こうちゃんが生まれてからその感覚は猛スピードで加速している気がします。

「ついこの間夏休みが終わったのに、もう冬休みだね~」

夏休み前は「休み中のお昼ごはんどうする?」という話で盛り上がり、今は「スキー教室どうする?防寒具はどんなものがいいかな?」という話で時間が過ぎていきます。

幼いころ私は寒い冬が苦手で、朝もなかなか起きられず、起きたら起きたでストーブの前で丸くなって動けなかった記憶があります。

だけどこうちゃんは朝起きてすぐに窓のそばへ…。

外を見て「あ~。雪増えてない。つまんない」「雪かきできる人いいな~」と去年と同じことを言っています。

11月、札幌市内に一晩でまとまった雪が降り、景色が一気に白く変わった日。
こんな出来事がありました。## こうちゃん、どこに!?

Sitakke
お守りのGPS

その日私は仕事を終えてまっすぐ帰宅し、こうちゃんの帰りを家で待っていました。
もうそろそろ帰ってくるかな~という時間になってもインターフォンが鳴らない。

遅いなぁ。
もしかして、また転んだりしている?

秋ごろ、学校から帰る途中、転んでひじから血を流して泣きながら玄関に立っていたことがありました。
スニーカーをしっかりはかず、サンダルのようにしてひっかけて歩いていたらつまずいて転んだとのこと。

Sitakke

「痛い思いしないように、靴はしっかり履いてから歩き始めること」

そう約束をしましたが、もしかしてまた転んだ?

一面雪景色になったから、今日は児童館まで迎えに行けばよかった。
そんなことを考えている間にも時間は過ぎていき、けれど一向に帰ってこない。

スマホでGPSの位置情報を確認すると、もう15分以上、同じ場所で止まったままです。

入学してから購入した小型のGPS端末は、こうちゃんのランドセルに毎日入っています。

自分の子ども時代にタイムスリップして「子どものランドセルにGPS端末を入れてるよ!」と言ったら相当驚かれることでしょう。
「さすがに過保護すぎる…」と思う方もたくさんいるでしょう。

でも私はこのGPS端末に今年何度も何度も助けられてきました。

小学校に入学してからこうちゃんは一人歩きにも慣れてきて本当にたくましい。
一方の私は、いつまで経っても「不安」が消えません。

親の手から離れて一人で行動する機会が増えるのは確かな成長を感じるけれど…

「きちんと学校に着いたかな?」
「寄り道せずにたどり着いたのかな?」
「習い事から児童館に戻れたかな?」

心配性の私はこの「お守り」のおかげで安心して今年一年、仕事に集中することができました。

そのお守りが示す場所を頼りに、こうちゃんを探しに家を出て数分。

学校と自宅のちょうど中間くらいで止まったままのGPSの位置情報が、私が家を出てから徐々に家に向かって進みだしました。

私はスマホの画面をにらみながら猛ダッシュ。

ようやく見つけたこうちゃんは、大きな大きな雪のかたまりと格闘していました。

Sitakke
これは11月に雪がたくさん降った日の写真。雪をみるとすぐに大きな雪玉を作ります

「なにしてるの!!!探したんだよ!!!」

そう言って駆け寄ると…

「お~!ママ~!来たの~!?これ、俺一人で作った~!」

早口でそう言ったあと、しまった!という顔をしました。

そして「ちょっと時間かかっちゃったね…」と弱々しく一言。

ケガをしていなくてよかった、という安堵感とともに、なんとなく『これは怒っちゃいけないな、きちんと話を聞こう』という気持ちになりました。

こうちゃんが話してくれたこと

Sitakke
とにかく雪が大好き!

まずは「ひとりで雪玉作ってたの?」と聞いてみました。

「学校から外に出たらたくさん雪があったから、大きな雪だるまを作りながら家に帰ろうと思ってた。家に着いたらママに見せてびっくりさせようって考えてた。でも思ったより時間がかかっちゃった」

こうちゃんの答えはとてもしっかりしたものでした。

そして、「新しい手袋があったかかったから、つい作りたくなっちゃったんだよ、ごめんね」と。

Sitakke

なるほど。前日に買ったおろしたての手袋がこうちゃんの制作意欲をさらに後押ししたんだね。

「寒くない?雪だるま、作りたくなるよね。でもね…」

たくさん言葉にして伝えてくれたあと、私もゆっくり話しました。

「約束の時間になっても帰ってこないと心配になっちゃうから、できれば今度からは一旦家に帰ってきてから雪だるま、作りにいこうね」

「分かったよ。ママ、雪だるま見たかった?見たかったよね?今度また作ってあげるね」

帰り道。こうちゃんはまだまだ話してくれます。

「あのね~!おじさんにね、『上手だね!がんばれ!』って言われたんだよ!!」

聞きながら、私は少し複雑な気持ちになりました。

私が迎えに行かなければ、こうちゃんはあとどのくらいの時間、雪だるまを作り続けていたんだろう…。

こうちゃんに流れる時間も大切にしてあげたい

Sitakke

どうして真っ暗になるまで雪だるまを作っていたのか。
気持ちも状況も、上手に説明できるようになりました。

それでも腕時計もスマホも持っていないこうちゃんに流れている時間の感覚は、大人になってしまった今、私にはもう分かりません。
でも、時間を忘れて夢中でなにかに没頭した過去の記憶は私にもしっかりと残っています。

「あのとき、時計を気にせずもっとこうちゃんに付き合ってあげればよかったな」という場面がたくさん蘇ってきましたが、『あのとき』の砂場での時間も、『あのとき』の粘土遊びの時間も、もうかえってはきません。

小学1年生のこうちゃん、まだ時計の針を正確に読むことができません。

朝の忙しい時間に「ねぇ!今何時~!?」と聞いても「えっと…、7時55分?8時かな…?」とあいまいな答え。

時計を読めるようになることは確かな成長。
だけど、針を追いかけなくてもいい子どもにだけ流れる時間は、大切に大切に、こぼれ落ちないように守ってあげたい。

Sitakke

私が思っているよりずっとゆっくり、そして濃密に、こうちゃんの時間は日々流れているのかもしれません。

ゆっくり、大きくなってね。

ここで一句!

針知らず 夢中のままで 日が暮れる

「連載|室谷香菜子の「いっくじ」日記」

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文|HBCアナウンサー 室谷香菜子
青森県出身。2009年HBC入社。HBCラジオ「アフタービート」、「美香と香菜子のおさんぽ土曜日」などを担当。2018年第1子(男の子)を出産。趣味は寝かしつけ後のドラマ鑑賞と、美味しいお酒。息子(こうちゃん)との日常はInstagramでも発信中。

編集:Sitakke編集部あい

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