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何に見える?サル?ヒツジ? 北海道の冬の森で見つけた「おもしろくて不思議」なものたち

  • 2025.12.21

「冬の森」に行ったことはありますか?

Sitakke

連載「森に行こう! ~身近な自然におもしろさが詰まっている~」
札幌にある「滝野すずらん丘陵公園」の「滝野の森ゾーン」から、森の住人KENTAが、自然の魅力や楽しみ方を伝える連載です。

気が付けばもう年末。
この連載を担当させてもらって初めての冬を迎えます。

今お仕事をさせてもらっている滝野すずらん丘陵公園は、12月23日から冬の開園を迎えます。
カラフルでにぎやかだった春から秋が終わり、白く静かな冬が始まります。

さて、いきなり質問ですが、「冬の森」には行ったことはありますか?

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これを読んでいただいている方の中には「そもそも夏の森も行ったことがない」「森に行っても何をしたらいいかわからない」という方もたくさんいらっしゃると思います。
「今年は冬の森に行ってみよう!」と思いついたことすらない方も多いのではないでしょうか?

そんなみなさまのために、この先何回かに分けて、冬の森の楽しみ方をたっぷりとお伝えしていきたいと思います!## 「何もない」森にも楽しみ方が

冬になると花はもちろん葉っぱもなくなり、虫や両生類・爬虫類たちもおとなしくなります。
「やっぱり何もないじゃないか!」と思うかもしれませんが、そんな「何もない」森にも実は色々と楽しみがあるんです。

今回オススメするのは「冬芽(ふゆめ)」と「葉痕(ようこん)」探しです!

いきなり聞いたことがない言葉が出てきてビビっている方もいるかと思いますが、「冬芽」とは、春になると出てくる花や葉っぱが詰まったもの。「葉痕」とは、文字通り「葉っぱが落ちた跡」です。

なんでそんなものに注目するのか、というと「おもしろくて不思議だから」です。

あれこれと説明する前にまずは見てもらいましょう。

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これが何かは一旦置いといて、何に見えますか?

お客様に質問すると「サル」とか「ヒツジ」とかいう方が多いんですが、案内するときはさる年だったら「サル」、ひつじ年なら「ヒツジ」を推してます。

このなぞの顔の正体は「オニグルミ」の「葉痕」。
つまり顔に見えているところは、オニグルミの葉っぱがついていたところなんです。

ちなみに、帽子のように見える「新しい芽」の近くで落ちるとこんな感じでちっちゃい顔になります。

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オニグルミの葉痕

春になると帽子みたいに見えるところから葉っぱが出てきます。

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夏のオニグルミ。実の周りから伸びてる葉っぱが落ちた跡がサルやヒツジになります

オニグルミの実は動物たちにも大人気ですが、葉っぱが落ちた跡も動物に見えるかわいさを兼ね備えています。

双子のピエロも発見

他にはこんなのもあります。

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双子のピエロ。
これは「キハダ」という木の「葉痕」。

ちなみにキハダのキは「黄」で、その名の通り皮の内側が黄色いんです。しかも胃腸薬としても使われています。

続いてこちら。

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今にも動き出しそうですが、これは「ハルニレ」の葉っぱが落ちた跡。ただし、実際のサイズは数ミリなので近づいてみないとわかりません。

すべての樹木の葉痕が顔に見えるわけではありませんが、見方によっては豚に見えたり地蔵に見えたりするので森を歩きながら探してみてください!

何に見える?冬芽の場合

ここまで紹介したのは「葉っぱが落ちた跡=葉痕」ですが、冬の森でもう一つ楽しいのが「冬芽(ふゆめ)」です。

「冬芽」は春になって花になったり葉っぱになったりする部分で、冬を乗り越えるために様々な方法で寒さから守られているものです。

数ある冬芽の中でも一番のオススメは「オオカメノキ」。

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オオカメノキの冬芽

ウサギと見るか背泳ぎ中のスイマーと見るかは自由です。そしてよ~く探せば別のバージョンが見つかることもあります。

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ちょっと傾いた人にしか見えません

「冬芽」は春になると花や葉っぱになります。

オオカメノキの場合、真ん中の丸い部分は花になり横の腕や耳に見えるものが葉っぱになるんですが、オオカメノキは花が咲く年と咲かない年があるので、まん丸の花の芽がついてるものを見つけると「春に花が見れる!」とうれしくなります。

そして、この写真に写っているオオカメノキの冬芽の大きさって1~2センチメートルほどなんですが、花の大きさは10センチメートルほどになります。つまり、この小さな丸の中に花になるパーツが全部詰まってるということなんです!

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オオカメノキの花 5月中旬

あのウサギの顔と耳の中にこれが全部入ってるってすごいですよね!

見つけてうれしいのは「もふもふ」系

樹木の葉っぱは木ごとに形が違いますが、冬芽も木によって様々です。冬に見つけてうれしくなるのは「もふもふ」系の冬芽。

代表格は春一番に白い花を咲かせる「キタコブシ」です。

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キタコブシの冬芽

毛皮のコートを身にまとっているみたいで温かそうです。もちろん手触りもふわふわ、もふもふです!

他にもカエデの仲間やヤナギの仲間も、もふもふの冬芽を持っています。

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ハウチワカエデの冬芽。春が近くなると中からもふもふが出てきます

北海道の厳しい冬は、樹木にとってもがんばって乗り越えないといけないもの。なので寒さに耐えるために温かくして中の花や葉っぱを守らないといけません。人も寒くなるとダウンやコートを着て寒い冬を乗り越えようとしますが、樹木たちも同じです。

木や森を想像するとき、つい葉っぱがたくさんついた緑の景色を想像しがちですが、葉っぱが落ちて白一色になった森の中を歩いていると、寒さを乗り越えようとしていたり、春に向けてすでに準備を始めている樹木たちに出会うことができます。

冬の森には冬の森ならではの樹木たちの過ごし方があり、楽しみ方があるんです!

これから寒くて長い北海道の冬が始まりますが、今年の冬は温かい格好をして冬の森を楽しんでみませんか?

連載「森に行こう! ~身近な自然におもしろさが詰まっている~」

文:森の住人 KENTA
国営滝野すずらん丘陵公園 自然環境マネージャー。1978年札幌生まれ京都育ち。約6年間のサラリーマン生活を経て、森についての知識・経験ゼロの状態で滝野の森ゾーンの担当になり、様々なイベントの企画や広報、森づくりなどを担当。公園内にヒグマが侵入した際は専門家と一緒に現場の最前線で調査を担当。滝野の森staffXにて監視カメラを使った野生動物たちのリアルな様子などを発信中。

編集:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は記事執筆時(2025年12月)の情報に基づきます。

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