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ミニバン卒業の30代主婦「やっと好きなクルマに…」1年後、スーパーの駐車場での“大誤算”に「冷静さを欠いていた」

  • 2026.1.26

 

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出典元:PIXYTA(画像はイメージです)

子どもが小学校に上がり、「以前ほどスライドドアに頼らなくても大丈夫だろう」と感じ始めた30代主婦のAさん。

もともと生活感の強いミニバンのデザインに馴染めず、憧れだったスタイリッシュなコンパクトカーへの乗り換えを決意します。しかし納車から1年足らず、彼女はスーパーの駐車場や交差点で、かつての愛車の“偉大さ”を痛感することに。

本記事では、デザインと脱・生活感を優先した結果、Aさんが直面してしまった「ヒンジドアへの不慣れ」と、「走行性能のミスマッチ」について、彼女の実体験をもとに解説します。

念願の「ミニバン卒業」。デザインで選んだ新車だったはずが…

「やっと、好きなクルマに乗れる」

納車の日、Aさん(30代女性)は真新しいコンパクトカーのハンドルを握り、胸を躍らせていました。これまで彼女が乗っていたのは、家族のために選んだハイブリッドミニバンです。広くて便利なそのクルマは、小さな子供を育てるAさん一家にとって、なくてはならない頼もしい存在でした。

そんな愛車との別れを決め、乗り換えようと思ったきっかけ。それは、お子さんの小学校入学でした。

かつてのように親が体を抱きかかえてチャイルドシートに乗せるような重労働は終わり、さらに小学生になると、ドアの開閉からジュニアシートへの着席、シートベルトの装着まですべて一人で完結できるようになります。その成長を目の当たりにしたAさんは、「もう、あそこまで至れり尽くせりのスライドドア機能は必要ないかもしれない」と感じ始めました。

「スライドドアが必須でないなら、今こそ自分が本当に乗りたいクルマに乗るチャンスではないか」

そう考えた彼女は、車検のタイミングで思い切ってダウンサイジングを決意します。

選んだのは、以前から憧れていた流麗なデザインのコンパクトカーでした。試乗では内装のデザインと、駐車場での取り回しの良さに感動し、迷わず契約。「これからは、もっと身軽なカーライフが送れるはず」と、輝かしいカーライフを想像していました。

ところが、その高揚感は長くは続きませんでした。納車から1年も経たない現在、Aさんは「クルマ自体はとても良いのに、なぜか私には合わなくて毎日が辛い」と悩み、真剣に買い替えを検討しているのです。

理想を求めて選んだはずの愛車が、なぜAさんを苦しめる存在になってしまったのでしょうか。そこには、カタログスペックや短時間の試乗では決して見えてこない、生活に密着した2つの大きな誤算が隠されていました。

誤算1:スライドドア消失…スーパーの駐車場で感じた「想定外の負担」

一つ目の誤算は、頭では分かっていたはずの「ドア開閉の違い」が、Aさんの長年染み付いたルーティンと噛み合わず、想像以上のストレスを生んでしまったことです。

その不便さが最も顕著に現れたのが、Aさんの日課であるスーパーでのまとめ買いでした。ミニバンに乗っていた頃は、両手に買い物袋を抱えていても、足をクルマの下にかざすだけでスライドドアが開く「ハンズフリー機能」が当たり前のように彼女をサポートしていました。

しかし、新しいクルマは一般的なヒンジドア(手前に引いて開けるタイプ)です。もちろん、多くの人が普通に使っているドアですが、スライドドアの恩恵に慣れきっていたAさんにとっては、これが大きな壁となりました。

「荷物を持ってクルマに戻った瞬間、どうすればいいか一瞬止まってしまうんです」

彼女の場合、まずは買ったばかりの食材が入った袋を、アスファルトに置くことから始めなければなりません。さらに、彼女が利用するスーパーの駐車場は区画が狭いため、隣に停まっているクルマにドアをぶつけないよう、神経をすり減らしながらドアノブを引く必要があります。ドアを大きく開くことができないため、彼女は自分の体をクッションのようにしてドアと車体の間に滑り込ませ、わずかな隙間から荷物を後席へ押し込むという、窮屈な作業を強いられることになりました。

また、誤算はお子さんの乗降シーンにも波及しました。「小学生なら自分でできる」と思っていましたが、風の強い日や傾斜のある場所では、子どもの力だけで重いヒンジドアを制御しきれないことがあったのです。

結局、Aさんは毎回運転席から降りて子どものためにドアを開けに行き、「隣のクルマにぶつけないでね!」と見守らなければなりません。

ヒンジドアに慣れている人なら何ともない動作でしょう。しかし、便利な機能に生活動線が最適化されていたAさんにとって、スライドドアは単なる子どもの世話用ツールではなく、狭い駐車環境において心の余裕を作ってくれる頼れる相棒だったのだと、手放して初めて痛感させられたのです。

誤算2:右折が怖い…試乗では見抜けなかった「感覚のズレ」

Aさんのため息の原因は、停まっている時だけではありません。走り出した後にも、二つ目の誤算である「クルマの動きに関する感覚のズレ」が潜んでいました。

決してそのクルマの性能が低いわけではありません。しかし、これまで乗っていたハイブリッドミニバンの独特な乗り味に身体感覚が馴染んでいたAさんにとって、新しいクルマの挙動はあまりに異質だったのです。

特に彼女を悩ませたのが、交差点での右折シーンでした。対向車が途切れた一瞬を狙って右折したい場面。以前のミニバンはモーターの力が強く、アクセルを踏んだ瞬間にスッと前に出るレスポンスの良さがありました。

一方で、新しいクルマは燃費重視のCVT(無段変速機)とアイドリングストップ機能が組み合わさっています。もちろん車種によって制御は異なりますが、Aさんのクルマはハイブリッドではなくガソリン車であったため、ブレーキを離してエンジンが再始動し、アクセルを踏んでから実際に加速が始まるまでに、ほんのわずかな間(タイムラグ)が生じてしまいます。

「踏んでも進まない、と思った一瞬後にグンと加速するんです。このコンマ数秒のズレが、どうしても慣れなくて」

この意図しないラグは、毎日の運転において、Aさんに小さな緊張感を積み重ねさせていきました。

さらに、この特性はドライバーだけでなく、同乗者にも影響を及ぼします。友人の子どもを乗せて出かけた際、加減速のたびに生じる独特の揺れやギクシャク感から、「なんだか気持ち悪い」と車酔いされてしまったのです。

スムーズに走らせようと気を使うあまり、Aさんの運転後の疲労は激増してしまいました。クルマ自体は小回りが利き、街乗りに適した設計が魅力の一台です。しかし、それがAさんの求める穏やかな移動というライフスタイルとは、残念ながらマッチしていなかったと言わざるを得ません。

なぜ試乗では「ミスマッチ」を見抜けなかったのか

では、これほどまでに相性が合わないことを、なぜ購入前の試乗で見抜けなかったのでしょうか。Aさんは「デザインへの憧れが強すぎて、冷静さを欠いていた」と振り返りますが、理由はそれだけではありません。試乗という環境そのものにも、意外な落とし穴が潜んでいたのかもしれません。

ディーラーでの試乗は、基本的にきれいに舗装された幹線道路を15分程度走るだけで終わってしまうことがほとんどです。そこには、Aさんが後に苦労することになる、狭い駐車場でのドア開閉や、ギリギリのタイミングを計る右折、あるいは家族全員を乗せての長距離移動といった、ドライバーに負荷のかかるシーンは存在しません。

加えて、隣には営業マンが座っているため、会話に気を使いながらの運転となります。これでは、エンジンの再始動音や、アクセルの反応速度といった繊細な挙動に、感覚を研ぎ澄ませることは難しいでしょう。

「新しいクルマなら、昔のクルマより全てが良くなっているはず」。そんな無意識の思い込みも手伝って、確認すべきポイントが見えなくなっていたのかもしれません。

後悔しないために必要だった“もう一段階の確認”

Aさんの事例から私たちが学べる最大の教訓は、クルマ自体の良し悪しと自分との相性は全くの別物である、ということです。どんなに世間で評判の良いクルマでも、自分のこれまでの慣れや生活環境と合わなければ、Aさんのように大きなストレスを抱えることになりかねません。

数百万円の買い物で後悔しないために、契約のハンコを押す前にぜひ試していただきたいのが、「生活圏でのレンタル試乗」です。ディーラーの試乗だけでなく、レンタカーやカーシェアを利用し、半日でも良いのでそのクルマを借りてみてください。

そして、特別な場所に行くのではなく、あえて日常をシミュレーションしてみるのです。

  • いつものスーパーの駐車場に入れて、実際に荷物を積んでみる(ドア開閉の感覚確認)
  • いつもの交差点で右折し、発進のレスポンスを確かめる
  • 家族を乗せて、後席の乗り心地について率直な意見を聞いてみる

数千円のレンタル料はかかりますが、購入後の「こんなはずじゃなかった」という数十、数百万円の損失を防ぐための必要経費と考えれば、決して高くはありません。

クルマは、生活の一部です。憧れのデザインももちろん大切ですが、そのクルマが本当にあなたの日常に寄り添ってくれるパートナーになり得るのか。日常という厳しいテストコースで、もう一度じっくりと見定めてみてはいかがでしょうか。



ライター:根岸 昌輝
自動車メーカーおよび自動車サブスク系ITベンチャーで、エンジニアリング、マーケティング、商品導入に携わった経験を持つ。
現在は自動車関連のライターとして活動し、新車、技術解説、モデル比較、業界動向分析など、業界経験に基づいた視点での解説を行っている。


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