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築10年目前でマンションに不具合が発覚→その後、不動産会社の“対応”に、理事長が鉄扉を殴打したワケ

  • 2026.3.19
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。マンション管理士の資格を持ち、不動産管理の現場実務に10年以上携わってきたライターのS.Kです。

新築マンションを購入した際、建物の不具合を無料で直してもらえるアフターサービス期間を意識したことはありますか。築年数が経過したマンションでは、保証の適用を巡ってトラブルに発展するケースは少なくありません。

今回は、アフターサービス期間の終了を理由に無償修繕を断られ、激怒した理事長が管理員室の鉄扉を殴りつけたというエピソードを紹介します。現場のリアルな状況とともに、マンション管理業界の裏側にある事情をお伝えします。

築10年目前で発覚した不具合と理事長の怒り

その物件は首都圏にあり、周辺相場よりかなり手頃な価格で販売された分譲マンションでした。築10年を目前に控えたころ、外壁タイルの浮きやエントランス付近の劣化など、共用部の不具合が複数発覚したのです。

住民や理事会は「これは明らかな施工不良だ。分譲したデベロッパー(不動産会社)に無償で直させよう」と息巻いている状態です。理事長はフロント担当者に対し「お前たちはデベロッパーの子会社だろう。親会社と交渉して無償で直させろ」と強く要求してきました。

担当者は管理会社として、親会社であるデベロッパーへ掛け合うことになります。しかし親会社からの回答は「当該箇所のアフターサービス基準書の保証期間はすでに終了しているため、有償での修繕となる」というものでした。

鉄扉に残された拳の跡と管理会社の立ち回り

法律で10年保証される建物の主要な構造部分とは異なり、外壁タイルの浮きなどの保証期間は2〜5年程度で終了するのが一般的です。明らかな施工不良に起因するタイルの剥落などは、例外的に長期間責任を問えるケースもありますが、今回は適用外と判断されました。

親会社からのゼロ回答を持ち帰ると、理事長は担当者に激怒します。「親会社も説得できないなら何のために管理を任せているんだ!」と詰め寄り、激昂のあまり管理員室にある分電盤の鉄扉を拳で殴打したのです。

翌日、分電盤を確認すると、そこにはくっきりと拳のへこみが残っていました。

デベロッパー系列の管理会社が、親会社への対応を巡って矢面に立たされるのはよくある話です。しかし管理会社側も、グループのパイプを活かすことで他社への管理会社変更を防げるという実態があります。企業グループ全体で見れば、ある種のウィンウィンの構造が成り立っているといえるでしょう。

アフターサービス期間終了前にすべき自衛策

「売主の子会社だから親会社に強く言ってくれるはず」という居住者の期待は、多くの場合幻想にすぎません。保証期間の終了は絶対的な基準であり、期限が切れた後に強く要求しても判定が覆ることはほぼありません。

新築マンションを購入した場合、最も重要なのはアフターサービス基準書の期限管理だといえます。保証が切れる前に、管理組合の費用でマンション管理士などの専門家による詳細な建物点検(インスペクション)を実施してみてください。

そして期限内にデベロッパーへ修繕を依頼することが、余計な出費を防ぐ最大の自衛策となるのです。大切な資産を守るためにも、管理組合の理事会が中心となって保証期間と建物の状態を早めに確認しておきましょう。



ライター:S.K(マンション管理士)
不動産管理会社で10年以上の現場実務に携わり、業界団体の評価制度策定委員会に所属していた経験がある。現在はライターとして、自身の豊富な経験・知見をもとに、一次情報を盛り込んだ不動産記事を多数執筆している。


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