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平屋ブームに乗っかったら「LDKに物が溜まる…」30代夫婦を襲った"大誤算"【一級建築士は見た】

  • 2026.3.18
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「平屋なら間取りもシンプルで片付くと思ってました」

そう話してくれたのは、平屋ブームをきっかけに新築したHさんご夫婦(30代)です。

ワンフロアで家事動線も短く、子どもの様子も見やすい。ところが住み始めて数カ月、じわじわと響いてきたのが収納不足でした。

2階がない分、納戸や押入れを増やせる気もしたのに、現実は「置き場がない」「LDKに物が溜まる」。平屋は暮らしやすいはずが、片付かない家になってしまいました。

平屋は余白が少ない

2階建ては、階段下、2階ホール、廊下脇など、意外と“余白”が収納に化けます。

一方、平屋は動線が短く廊下も少ない設計になりやすいため、収納を作るには居室の面積を削って確保することになりがちです。

Hさんも「LDKは広くしたい」「子ども部屋も確保したい」を優先した結果、収納は後回しに。暮らしが始まると、ベビーカー、季節家電、学用品、ストック品が一気に増え、結局リビングに“仮置き”が常態化していきました。

収納を増やすほど、動線が悪くなる“平屋あるある”

収納不足に気づくと「じゃあ納戸を増やそう」となりますが、平屋ではこれが逆効果になる場合があります。収納を家の端にまとめると、取りに行く距離が増え、出し入れが面倒になります。

逆に各所に分散すると、収納量は増えても管理が難しくなり、「どこに何があるか分からない」状態になりがちです。平屋は上下移動がないぶん、収納の配置が悪いと横移動のストレスとして跳ね返ってきます。「片付けのために歩かされる家」になるのが大誤算です。

相談で多いのは“外に溢れる”パターン

収納が足りない平屋で起きやすいのが、収納スペースの外への溢れです。

  • 物置を後付けして、庭が狭くなる
  • 玄関に物があふれて動線が詰まる
  • 車に積みっぱなしの荷物が増える
  • キッチン背面にストックが積み上がる

これらは「収納が少ない」だけでなく、“収納の質(場所と使い方)”が暮らしに合っていないサインです。平屋は家族の動きがLDKに集まりやすいので、LDKが散らかると生活の満足度が一気に下がります。

「平屋の収納」で失敗しない条件

平屋で後悔を減らすなら、収納は「量」より先に「配置」と「用途」を決めるのが近道です。

1.玄関に“外で使うもの専用”を作る
ベビーカー、雨具、アウトドア用品、学用品は玄関側で完結させるとLDKが荒れにくいです。

2.キッチン近くに“ストックの定位置”を確保する
パントリーは広さより、冷蔵庫・ゴミ箱・買い置きへの動線が一連となる配置が重要です。

3.ファミリークローゼットは“動線の中心”に置く
洗面脱衣と寝室の間など、毎日通る場所に置くと、片付けの心理的ハードルが下がります。

平屋は、暮らしやすさを得やすい一方で、収納計画を甘くすると「片付かない家」になりやすい住まいです。

収納は“面積の足し算”ではなく、“出し入れの設計”です。何をどこで使い、どこに戻すか。そこまで描いて初めて、平屋の良さが暮らしに定着します。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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