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「止まって!」救急車のアナウンスを無視して動く車たち。「よかれと思って…」が命取りになる“NG行動”

  • 2026.1.19
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

交差点や片側一車線の道路で、突然サイレンの音が聞こえてきた…そんな経験はありませんか。救急車や消防車、パトカーなどの緊急自動車が近づいてきたとき、「とりあえず前に進んだほうがいいのかな」「邪魔にならないように端に寄ればいい?」と、とっさの判断に迷う人も多いようです。

こうした中、SNSで「緊急自動車が『止まってください』とアナウンスしているのに、動こうとする車や自転車、歩行者がいるけど、やめてほしい」といった趣旨の投稿が話題となり、改めて「正しい対応」が注目されています。

緊急自動車に遭遇した際の行動は、ドライバーの気遣いやマナーの問題ではなく、法律で明確に定められた義務です。知らずにいると、誰かの命を左右する可能性もあります。

「基本は左側に寄る」道路交通法等が定めるルール

緊急自動車が接近してきた際の対応については、道路交通法第40条で明確に定められています。

交差点またはその付近では、「交差点を避け、道路の左側に寄って一時停止しなければならない」とされており、交差点以外の場所でも「道路の左側に寄って、緊急自動車に進路を譲らなければならない」と明記されています。

ただし、すべての道路で一律に「左側に寄る」わけではありません。一方通行の道路では、左側に寄ることでかえって緊急自動車の通行を妨げてしまう場合があるため、その場合は「道路の右側に寄って、一時停止」との規定も設けられています。

また、消防法第26条では「消防車が火災の現場に赴くときは、車馬及び歩行者はこれに道路を譲らなければならない」と定められています。

「呼びかけの声を聞いて」

こうした対応について、尼崎市消防局は公式チャンネルで分かりやすい解説動画を公開。片側二車線以上の道路や、赤信号で停車中の場合、一方通行の道路など、さまざまな場面を想定し、ミニカーを使って具体的な動きを示しています。

動画の中では、「判断に迷うときは、緊急自動車から『このように避けてほしい』とアナウンスをする場合もあります。窓を開けて、呼びかけの声を聞いてもらえると助かります」と呼びかけています。

さらに、状況によっては緊急自動車が反対車線にはみ出して走行するケースもあるとして、「反対車線を走っている場合でも、サイレンが聞こえたら左側に寄ってほしい」と注意を促しています。

救急車は年々“遅く”なっている…たった2分が生死を分ける現実

総務省消防庁の統計によると、救急車が119番通報を受けてから現場に到着するまでの時間(現場到着所要時間)は、年々延びています。

令和4年の現場到着所要時間の平均は約10.3分で、前年度の約9.4分よりも長くなっており、さらに10年前の平成24年と比べると、約2分延びているということです。

そうなると、特に深刻なのが心停止などの重篤な症状です。心肺停止の場合、救命率は1分遅れるごとに約7〜10%ずつ低下すると言われています。つまり、現場到着が2分遅れるだけで、助かる可能性が大きく下がってしまうのです。

緊急自動車がスムーズに進めるかどうかは、現場へ向かう数分間だけでなく、その前の道路環境にいる一人ひとりの判断に左右されます。「自分一台くらい大丈夫だろう」という行動が積み重なった結果、大きな遅れにつながるかもしれません。

「止まる勇気」が命をつなぐ

SNS上では「緊急自動車が来てるのに完全に停まらずに徐行している車が多い」「救急車の前を堂々と横切っていく人や自転車を見かけた」といった、日常の光景に疑問を感じる人も少なくありません。

また、「教習所で習っているはずだけど忘れているのでは」「道交法に違反することをもっと周知すべき」「ハザードをつけて停まることをルール化してほしい」など、啓発の不足や今後の対策について指摘する意見もあります。

緊急自動車への対応は、特別なテクニックではありません。「サイレンが聞こえたら、左に寄って止まる。交差点では特に注意する」、それだけで、誰かの命を守る力になることを、今一度意識しておきたいところです。


参考:
消防自動車や救急自動車の緊急通行に対するご理解とご協力をお願いします(消防庁)
令和5年版 消防白書(消防庁)
心肺蘇生法(埼玉県東松山市)
【救急車が接近してきた時の避け方】緊急走行中の救急車が接近してきたら、どのように道を譲ればいいの?(尼崎市消防局【公式】YouTubeチャンネル@尼崎市消防局公式YouTub)