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家族の前では少し“観にくいドラマ”から一転「今期のダークホース」「逆に気になってきた」SNSで評判広がる“官能の世界”

  • 2026.1.23
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(C)「令和に官能小説作ってます」製作委員会

テレビ大阪で放送中のドラマ『令和に官能小説作ってます』は、官能小説編集部を舞台にした異色の仕事ドラマだ。刺激的な題材とは裏腹に、本作が真正面から描くのは「官能表現とは何か」「活字で官能を描く意味とは何か」という、極めて真面目で誠実な問いである。軽薄さではなくリアリティで勝負する本作の魅力を掘り下げていく。

※以下本文には放送内容が含まれます。

官能小説編集部という“真剣勝負の現場”

物語の舞台は、官能小説編集部。出版社勤務を夢見て転職してきた大泉ましろ(桃月なしこ)が、想定外の部署に配属されるところから物語は始まる。
扉の向こうで繰り広げられていたのは、「隣人」をテーマにした新刊タイトルをめぐる白熱した議論。飛び交う言葉は確かに卑猥だが、空気はふざけていない。全員が本気で“より良い官能表現”を追求している。

この描写に、本作のリアリティがある。官能小説は軽く消費されるものではなく、編集者と作家が言葉一つひとつを吟味し、読者の想像力と向き合う仕事なのだという事実が、丁寧に積み重ねられていく。ましろが戸惑いながらも編集部の一員として成長していく過程は、ジャンルを問わず“ものづくり”に関わる人間なら共感せずにいられない。

「官能小説の地位を上げたい」という理想

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(C)「令和に官能小説作ってます」製作委員会

編集長である玉川丈治(徳井義実)が掲げる理想は明確だ。「誰もが官能小説を恥ずかしいと思わない世界を作りたい」。
この一点に、本作の芯がある。官能小説は、長らく「人に言えない趣味」「後ろめたいもの」として扱われてきた。だが玉川は、それを否定する。官能的な表現は芸術であり、言葉の可能性を極限まで試す分野である。
同じ行為であっても、どんな言葉を選ぶかで印象は無限に変わる。その探究に、編集部は誇りを持っている。

ここに焦点を当てた映像作品は、ほとんど存在しないのではないだろうか。性行為を消費する側ではなく、作る側の思想と覚悟を描くことで、このドラマは官能小説というジャンルそのものを問い直している。

「好き」と言えないものに向き合う勇気

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(C)「令和に官能小説作ってます」製作委員会

「恥ずかしい」という一言で片づけてきた感情や文化に、正面から向き合うこと。それ自体が、今の時代にこそ必要とされるべき行為なのかもしれない。デジタルがあふれる令和だからこそ、活字でしか描けないロマンがある。気にしていなかったことに気付かされ、気付いたからこそ大切にできる。その価値を信じる大人たちの姿は、静かだが力強い。

放送開始当初は、そのタイトルや設定から誤解を受けやすかった本作だが、回を重ねるごとに視聴者の受け止め方は変化している。SNS上では「普通に面白いし勉強になる」「単なる下ネタドラマではない」「今期のダークホース」「逆に気になってきた」といった声が増え、静かに評価が広がりつつある。家族の前では観にくいシーンもあるかもしれないが、実際に同様の意見はあるものの、現在は内容を評価する声が多い。それは、このドラマが“刺激”ではなく“思想”で勝負していることに、多くの人が気づき始めたからだろう。そして何より、本作が物語や現代社会に真剣に向き合っていることが、視聴者に伝わった結果なのだ。

これは官能の話だけではない。言葉の力を信じ続ける者たちの物語なのである。


テレビ大阪『令和に官能小説作ってます』毎週水曜24時から放送

ライター:柚原みり。シナリオライター、小説家、編集者として多岐にわたり活動中。ゲームと漫画は日々のライフワーク。ドラマ・アニメなどに関する執筆や、編集業務など、ジャンルを横断した形で“物語”に携わっている。(X:@Yuzuhara_Miri