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「試験中に睡魔に襲われる」管理栄養士が警告。受験生に“カツ丼”は間違いだった…集中力を上げる「勝負メシ」の正解とは?

  • 2026.1.23
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「明日は大事な試験だから、夕飯はカツ丼で『勝つ』!」受験シーズンの定番風景、実は管理栄養士の視点から見ると、合格を遠ざけてしまうリスクがあることをご存知でしょうか。

親としては「せめて縁起の良いものを食べて、力をつけてほしい」と願うもの。しかし、極度の緊張状態にある受験生の胃腸にとって、良かれと思ったその食事が、睡眠不足や翌日の胃もたれを引き起こす原因になってしまうこともあります。

今回は、管理栄養士の工藤まりえさんにインタビュー。「前夜にカツ丼が危険な理由」から、「午後の眠気を防ぐお弁当の黄金ルール」、そして「脳の疲れを取る最強の夜食」まで、精神論ではなく医学・栄養学に基づいた“本当に勝てる食事術”を教えていただきました。

「前夜にカツ丼」は消化不良と寝不足の元? 令和の常識は「栄養を詰め込む」より「胃腸を整える」

---一般的に「試験前日はカツ丼でゲン担ぎ!」というイメージがありますが、管理栄養士の視点からすると、これは正解ですか? それとも避けるべきですか?

工藤まりえさん:

「試験前日はカツ丼でゲン担ぎ!」――このフレーズ、どこか懐かしくて、受験シーズンらしい風景ですよね。カツ丼、という響きも相まって、今でも根強い人気があります。親としては「せめて縁起のいいものを」と思うのも自然な気持ちです。

ただし、管理栄養士の視点で少しだけ現実的に考えてみると、令和の受験前夜には、食事の考え方をアップデートしてもよさそうです。試験前日の受験生は、頭はフル稼働でも、体は強い緊張状態。特に胃腸はストレスの影響を受けやすく、消化力が落ちがちになります。そこに揚げ物たっぷりのカツ丼が入ると、胃もたれや消化不良を起こしやすく、夜の睡眠の質を下げてしまうことがあります。

前日の夜に一番避けたいのは、「しっかり寝られない」こと。記憶の整理や集中力の回復は、実は睡眠中に進みます。脂質や糖質が多い食事は血糖値を大きく動かしやすく、夜中のだるさや翌朝のコンディションに影響を与えかねません。「気合を入れたはずなのに、朝から重たい」という状態は、避けたいですよね。

とはいえ、ご家庭での経験上、カツ丼が安心材料になる子もいらっしゃるかもしれません。その場合は無理にやめさせる必要はありません。量を控えめにしたり、衣を少し外したり、消化の良い副菜を添えるなど、体への負担を減らす工夫をするのがおすすめです。

ゲン担ぎは気持ちだけにとどめ、前日の食事は「栄養を詰め込む」のではなく、「整える」ことに全集中。これが、令和版・試験前夜の考え方です。

午後の試験で「急に眠くなる」のは気合不足じゃない。魔の時間を攻略する「お弁当の黄金ルール」

---試験当日、午後の科目で集中力が切れたり、眠くなったりするのを防ぐための「お弁当の黄金ルール」はありますか?

工藤まりえさん:

試験当日、とくに午後の科目で「急に眠くなる」「集中力が切れる」というのは、実は珍しいことではありません。

これは気合や根性の問題ではなく、当日の食事設計が影響しているケースがとても多いです。令和版・勝負メシの基本は、ここでも「攻めすぎない」ことにあります。

まず朝食についても触れさせてください。大事な試験当日にで新しいことを試す必要はありません。大切なのは、いつもの食べなれた内容を、無理のない量で食べること。試験だからと特別メニューにすると、かえって胃腸が驚いてしまうことがあります。朝は体と脳をゆっくり起こすイメージで十分です。

そして昼食。午後に眠気を招きやすいお弁当の特徴は、糖質に偏りすぎていることです。白米やパン、麺類をしっかり食べすぎたり、甘辛い味付けのおかずが重なると、血糖値が一気に上がり、その後ストンと下がります。そうすると、試験中に睡魔に襲われることになります・・・。

そこで意識したいのが、血糖値を急に上げない組み合わせ。ごはんはゼロにする必要はありませんが、少し控えめを意識し、その分、たんぱく質と食物繊維をきちんと入れることが黄金ルールです。

鶏肉、魚、卵、大豆製品などは、脳の集中力を支える材料になり、腹持ちも安定します。野菜や海藻が加わることで、エネルギーが午後まで穏やかに続きやすくなります。
もう一つのポイントは脂っこさ。脂質が多いと消化に時間がかかり、体は一気に「食後モード」に入ってしまいます。揚げ物やマヨネーズを多用したお弁当は、ここでは控えめが正解です。

量も大切で、満腹まで食べるのは避けたいところ。腹6~7分目で終えることで血流が脳に回りやすくなり、思考がクリアになります。午後の集中力は根性論ではなく設計次第。食べ方ひとつで、結果はしっかり変わってきます。

カップ麺は逆効果。「小腹が空いた」を味方につける、脳が回復して太らない“最強の夜食・おやつ”

---受験勉強の追い込み時期、夜遅くに小腹が空いた時の「夜食」や、試験の合間の「気分転換(おやつ)」として、脳の疲れを取りつつ太らない“最強のパートナー”は何でしょうか?

工藤まりえさん:

受験勉強の追い込み時期や試験当日、「ちょっと小腹が空いた」「頭が疲れて甘いものが欲しい」という瞬間は必ずやってきます。ここで大切なのは、空腹を我慢することではなく、何をどう食べるか。選び方次第で、脳の回復にもなれば、逆に集中力を下げてしまうこともあります。

まず夜遅くの夜食について。目的はエネルギー補給というより、脳と気持ちを落ち着かせ、翌日に疲れを残さないことです。がっつり食べる必要はありませんが、空腹を無理に我慢するのも逆効果な場合があります。おすすめなのは、少量で安心感があり、消化にやさしいもの。温めた豆乳や牛乳、ヨーグルト、少量のチーズに加えて、小さめのおにぎりも良い選択です。炭水化物は控えめであれば、脳のエネルギー補給になり、気持ちも落ち着きやすくなります。反対に避けたいのは、カップラーメンやスナック菓子のような脂質と塩分が多いもの。消化に時間がかかるうえ、胃腸に負担がかかり、喉の渇きや寝つきの悪さにつながりやすくなります。夜食は「手軽さ」より「翌朝の自分への優しさ」を基準に選びたいところです。

次に、試験の合間や勉強中の気分転換おやつ。ここでは眠くならず、血糖値を急に上げないことが最優先です。チョコやグミを無意識に食べ続けると、一時的に元気は出ても、その後集中力が落ちやすくなります。ナッツや高カカオチョコを数粒、ドライフルーツを少しなど、少量で満足感があり、噛む動作があるものが向いています。

「太らないか心配」というのは、特に思春期のお子さんに多い悩みですね。ただ、受験期は体も心もエネルギーを必要とする時期です。集中力や思考力を保つために、あえて少し食べたほうがパフォーマンスが上がる場面もあります。大切なのは我慢ではなく、量とタイミングを見極めること。夜食もおやつも、主役はあくまで勉強。食べ物は、うまく使えば心強いサポーターになってくれます。

受験は、本人だけでなく、支える家族にとっても長い戦いです。完璧な食事を用意しようと気負わなくて大丈夫。大切なのは、「ちゃんと食べて、ちゃんと休める環境がある」という安心感です。どうか体調を最優先に、できることを一つずつ。受験生もご家族も、ここまで本当によく頑張っています。応援しています。

食事は「攻め」より「守り」で。親子の安心感が一番の栄養になる

受験当日のパフォーマンスは、根性ではなく「事前のコンディション作り」で決まります。工藤さんの解説を整理すると、勝負メシのポイントは以下の3点です。

  1. 前夜は「カツ丼」より「消化」 揚げ物は避け、胃腸を休めて良質な睡眠を確保することを最優先にしましょう。ゲン担ぎは気持ちだけで十分です。
  2. 当日は「満腹」を避ける 糖質の摂りすぎと満腹は、午後の強烈な眠気を招きます。「腹6〜7分目」と「たんぱく質・野菜」のバランスが集中力を守ります。
  3. 夜食は「翌朝への優しさ」 脂っこいスナックやカップ麺はNG。温かいスープやおにぎりなど、脳をホッとさせるものを選びましょう。

受験は本人だけでなく、支える家族にとっても長い戦いです。「完璧な栄養管理をしなきゃ」と気負いすぎず、いつもの食卓に少しの工夫をプラスして、温かい「安心感」という栄養を送り出してあげてください。


監修者:工藤まりえ
大学にて栄養学と分析化学を専門とし、管理栄養士免許を取得。卒業後は都内飲食系会社にてフードコーディネーターとして勤務。また、管理栄養士としてはスポーツジムに通う方を対象に、体質改善・ダイエットのための栄養指導を実施。短期的な痩身だけではなく、健康的で太りにくい体質への改善を目指した、専門的かつ行動に移しやすいアドバイスを毎月100名程に対して行っている。