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「一切控除が受けられなくなる」お金のプロが警告。確定申告をしたら“全額無効”に…ワンストップ特例の「恐ろしい盲点」とは?

  • 2026.2.8
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

ふるさと納税を便利に利用できる「ワンストップ特例制度」。確定申告の手間が省けると人気の制度ですが、実は「医療費控除」などを求めて確定申告を行った瞬間に、その申請が無効になってしまうことをご存知でしょうか。良かれと思って行った確定申告が原因で、数万円単位の控除をドブに捨ててしまうケースが後を絶ちません。 本記事では、社会保険労務士・FP1級の柴田充輝さんにインタビュー。なぜワンストップ特例が無効になるのかという税制上の仕組みから、実際に起きた失敗事例、そして今すぐ実践できる「正しい申告手順」までを詳しく伺いました。還付金をもらうはずが、逆に損をしてしまった……という事態を防ぐための、必須の知識をお届けします。

なぜ消える?確定申告をすると「ワンストップ特例」が無効になる理由

---60代から老後資金を準備する場合、一般的な年金受給額を前提とすると、最低でも『毎月いくら』の積立が必要でしょうか?また、再雇用で収入が減る中でその金額を捻出するための、家計見直しの優先順位を教えてください。

柴田 充輝さん:

「ふるさと納税のワンストップ特例制度が確定申告により無効になるのは、税制上の仕組みによるものです。ワンストップ特例制度は「確定申告をしない人」のための簡便な制度として設計されており、確定申告を行った時点で、この前提条件が崩れてしまうのです。

具体的には、ワンストップ特例は寄付金控除を「住民税のみ」で処理する特殊な方式です。本来、寄付金控除は所得税と住民税の両方から控除されますが、ワンストップ特例では確定申告不要な人の便宜を図るため、控除額を全て住民税に寄せて処理します。しかし、確定申告を行うと、税務署に提出した申告内容が正式な記録となり、ワンストップ特例の申請は自動的に無効扱いとなります。

重要なのは、確定申告の内容に関わらず、確定申告書を提出した事実そのものがワンストップ特例を無効にするという点です。たとえ医療費控除だけを申告するつもりでも、確定申告書を提出すれば、ふるさと納税についても改めて寄付金控除として申告書に記載しなければ、一切控除が受けられなくなります。

この仕組みは、二重控除を防ぐための措置でもあります。税務システム上、ワンストップ特例による住民税控除と確定申告による所得税・住民税控除の両方が適用されてしまうと、過大な控除となってしまうため、確定申告が優先される設計になっているのです。」

典型的な失敗パターン。「医療費控除だけ」の申告が招く悲劇

---確定申告でふるさと納税のワンストップ特例と医療費控除を併用しようとした場合、ワンストップ申請が無効になることを知らずに手続きを進めてしまう方が多いと聞きますが、実際にどのような失敗事例がありますか?

柴田 充輝さん:

「典型的なのが「医療費控除だけを申告すれば問題ない」と考えて、確定申告書にふるさと納税の寄付金控除を記載せずに提出してしまうケースです。

重要なのは、「ワンストップが無効=寄附金控除が消滅」ではない点です。確定申告をする以上、ふるさと納税分も確定申告書の寄附金控除に含めれば、所得税の控除(還付・減額)と、翌年度住民税の控除として反映されます。

例えば、年間10万円のふるさと納税を行いワンストップ特例の申請も完了していた方が、翌年に医療費控除を受けようと確定申告を行ったケースがありました。「ワンストップ特例は既に申請済みだから」と考え、確定申告書には医療費控除のみを記載して提出したため、ワンストップ特例は無効となりました。これにより、10万円分のふるさと納税による控除が一切受けられなくなってしまったのです。

幸い、このケースではのちほど修正申告の必要性をお伝えしたため、無事にふるさと納税による寄附金控除を受けられました。ただし、必要以上に手間が発生してしまった点は否めません。

こうした失敗は、ワンストップ特例制度の仕組みが十分に理解されていないことに加え、確定申告時のチェック体制が不十分なことが主な原因です。

今回は医療費控除を例に紹介していますが、配当控除や雑損控除など、何らかの形で確定申告をする場合も同様です。「確定申告をする=寄附控除も同時に申告」をセットで覚えておきましょう。」

全額無効を避けるために。後から医療費控除を追加する「正しい手順」

---ふるさと納税のワンストップ特例を利用した人が、後から医療費控除を追加したくなった場合に、全額無効を避けるために「今すぐ取るべき正しい手順」を教えていただけますでしょうか。

柴田 充輝さん:

「ワンストップ特例を利用した後に医療費控除を追加したい場合、以下の手順で対応することで、ふるさと納税の控除も確実に受けることができます。

まず、各自治体から送付されたふるさと納税の寄付金受領証明書を全て集めます。ワンストップ特例を申請していても、確定申告では改めてこの証明書が必要です。紛失している場合は、速やかに各自治体に再発行を依頼してください。

確定申告書には、医療費控除に加えて、必ず「寄付金控除」の欄にふるさと納税の全額を記載します。国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用する場合、「寄付金控除」の項目で「都道府県・市区町村への寄付」を選択し、寄付先と金額を入力してください。この時、ワンストップ特例申請済みであっても全額を記載することが重要です。

通常、確定申告期間は2月16日から3月15日です。この期限内に確定申告書と寄付金受領証明書、医療費控除の明細書を提出します。e-Taxを利用すれば、証明書類は一定期間保管する形で省略できる場合もあります。

なお、既にワンストップ特例の申請書を提出していても、自治体への取り下げ連絡は不要です。確定申告を行った時点で自動的に無効となるため、確定申告書に正しく記載すれば問題ありません。

もし気づいたのが申告期限後であっても、5年以内なら更正の請求で修正できます。多くの方が同じ悩みを抱えていますので、焦らず丁寧に手続きを進めていきましょう。」

『確定申告=ふるさと納税も再申告』を合言葉に。賢い納税で損を防ごう

ふるさと納税のワンストップ特例と確定申告の併用は、多くの人がつまずく「税の迷路」です。柴田さんが強調するように、一度確定申告書を提出してしまえば、それまでのワンストップ申請は白紙に戻ります。「医療費控除を受けるから、ふるさと納税も一緒に書き直す」というシンプルなルールを徹底するだけで、せっかくの寄附が無駄になる事態は防げます。

万が一、申告漏れに気づいたとしても、5年以内であれば修正のチャンスは残されています。税金の制度は複雑ですが、正しい手順さえ踏めば、私たちが受けられるメリットを最大限に活かすことができます。今回の教訓を胸に、確定申告の時期には「すべての控除を一つの申告書にまとめる」ことを忘れずに、賢く家計を守っていきましょう。


監修者:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1200記事以上の執筆実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。


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