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「3月に退職する人は要注意」お金のプロが警告。4月からの『社会保険料』で損になる…見落としがちな「手続きの落とし穴」

  • 2026.2.16
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出典元:phootAC(※画像はイメージです)

「いつまでに何をするの?」「月末退職と月初退職で保険料が変わるって本当?」「どれを選べば一番お得なの?」といった疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

もし手続きを怠れば、医療費を全額自己負担するなど、思わぬ不利益を被る可能性も。

今回は、金融機関勤務の現役マネージャーで、1級ファイナンシャル・プランニング技能士の中川佳人さんに、退職後の健康保険に関するギモンをぶつけました。専門家の見解から、疑問を解消し、安心して次のステップへ進むための正しい知識と賢い選択のヒントをお届けします。

期限厳守!退職後の健康保険手続き、遅れるとどうなる?

---3月末に退職する場合、4月からの社会保険料の取り扱いで損をするケースがあるとのことですが、その仕組みや手続き上の落とし穴について教えていただけますでしょうか?

中川 佳人さん:

「退職後の健康保険の手続きには期限があり、遅れると一時的に医療費を全額自己負担するなどの不利益が生じる可能性があります。

退職日が決まった段階で、必要な書類や提出先を確認しておくことが重要です。

健康保険の任意継続を選択する場合は、退職日の翌日から20日以内に加入していた健康保険組合などへ申請する必要があります。この期限は厳格で、1日でも過ぎると原則として加入できません。保険証の返却や申請書類の準備も必要になるため、余裕をもって手続きを進めることが大切です。

国民健康保険に加入する場合は、退職日の翌日から14日以内に市区町村で届出を行います。手続き前に医療機関を受診した場合は、いったん医療費を10割負担し、後日精算となることがあります。また、加入が遅れると保険料が遡って請求される点にも注意が必要です。

家族の扶養に入る場合は、家族の勤務先を通じて手続きを行います。具体的な期限は勤務先の手続き規定によりますが、できるだけ速やかに対応することが大切です。収入要件などの条件を満たしているかどうかも事前に確認しておきましょう。

なお、4月1日から再就職する場合は、新しい勤務先が手続きを行います。ただし退職日と入社日の間に空白期間がある場合は、その期間をカバーする医療保険への加入が必要になります。

退職前は忙しい時期ですが、健康保険は医療費に直結する重要な制度です。期限を確認し、余裕をもって手続きを進めていきましょう。」

月末退職と月初退職、社会保険料は本当に大きく変わる?

---3月末退職と4月初退職では社会保険料の負担額に大きな差が生じると聞きますが、具体的にどのような仕組みで損をしてしまうのでしょうか?

中川 佳人さん:

「3月末退職と4月初退職では、一般的に社会保険料の負担額に大きな差は生じません。

ただし、3月末退職の場合、3月の給与から2か月分(2月分・3月分)の社会保険料が控除されるため、負担が大きいと誤解されることがあります。

社会保険料は、『月末時点で被保険者であるか』によって、その月の納付義務を判定します。

たとえば、3月31日に退職した場合、3月末時点では被保険者であるため、3月分の社会保険料の支払い義務が発生します。
一方、4月1日に退職した場合、4月末時点ではすでに被保険者ではないため、4月分の社会保険料を支払う必要はありません。つまり、3月末退職であっても4月初退職であっても、3月分までの社会保険料の支払いとなり、金額に大きな差は発生しないのです。

差があるように誤解してしまうのは、3月末で退職した場合、2月分と3月分の保険料が3月給与から控除されるためです。4月初退職では、4月分の給与から3月分の社会保険料が差し引かれます。実際には、控除する月が異なるだけですが、3月末退職の場合は2か月分が一度に控除されるため、負担が大きくなったように感じてしまうのです。

退職時期を考える時には、社会保険料の納付義務は『月末時点で被保険者であるか』によって判定されることを覚えておきましょう。」

退職後の健康保険、あなたの選択肢は?お得な選び方とは

---3月末に退職を予定している方が、保険料で損をしないために退職前に必ず確認・準備しておくべきことを教えていただけますでしょうか。

中川 佳人さん:

「住所地の市区町村窓口で国民健康保険の概算保険料を計算し、健康保険を任意継続した場合の保険料と比較して、どちらが世帯全体の支出を抑えられるか確認することです。

退職後の健康保険には、主に『任意継続』『国民健康保険への加入』『家族の扶養に入る』の3つの選択肢があります。

任意継続とは、退職前まで加入していた健康保険に最長2年間継続して加入できる制度です。在職中は、保険料の半分を会社が負担していますが、退職後は全額自己負担となるため、基本的には在職時の2倍の保険料となります。任意継続の保険料計算には上限が設定されており、現役時代の所得が高かった人にとっては国民健康保険に加入するより保険料が安くなる可能性が高いです。

国民健康保険に加入する場合も保険料は全額自己負担になります。また、国民健康保険には扶養の概念がないため、扶養家族がいる場合は任意継続よりも負担が増えるケースが多いです。

最も経済的に有利な方法は、親族の社会保険の被扶養者になることです。この場合、保険料負担なく社会保険に加入できますが、厳しい収入要件があるため条件に当てはまるか確認が必要です。

退職後の健康保険は、どの方法を選択するかによって支払う保険料に大きな差が出てきます。退職前にそれぞれの保険料を計算し、自分の条件ではどの方法が最も有利になるか確認しておきましょう。」

未来を見据えて、賢く健康保険を選びましょう

退職後の健康保険は、ただの手続きではなく、あなたの生活や医療費に直結する重要な選択です。手続きには厳格な期限があり、遅れると不利益を被る可能性があること、そして月末退職と月初退職での保険料の誤解が解消されたことで、不安なく退職時期を検討できるようになったのではないでしょうか。

さらに、任意継続、国民健康保険、家族の扶養という3つの選択肢がある中で、自分や家族にとって最も経済的に有利な方法を見つけるためには、事前の比較検討が不可欠です。

退職という大きな転換期を迎えるにあたり、ぜひこの記事で得た知識を活かし、住所地の市区町村窓口や加入していた健康保険組合に相談するなど、早めに情報収集と準備を進めていきましょう。適切な選択と timely な手続きが、あなたの未来を安心なものにする鍵となります。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)(@YoshitoFinance)

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。 20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。 専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。


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