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『仲介手数料は1ヶ月分が基本』は間違いだった。不動産会社が明かす、手数料が半額にするための「交渉術」とは?

  • 2026.1.24
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「仲介手数料は家賃の1ヶ月分」──。 賃貸契約において、これは当たり前のルールだと思っていませんか? しかし、実は法律(宅建業法)での原則は「0.5ヶ月分」であり、私たちが支払っている「1ヶ月分」は、知らず知らずのうちに“特例”を認めさせられている結果だということをご存知でしょうか。

引越しの初期費用で最も大きなウェイトを占めるこの手数料。仕組みを知っているだけで数万円、場合によっては全額(0円)浮く可能性があるとしたら、交渉しない手はありません。

そこで今回は、合同会社ゆう不動産代表の岩井佑樹さんにインタビュー。「勝手に承諾したことにされる書類の罠」や「審査に響かないスマートな交渉のタイミング」、そして手数料をゼロにできる「AD物件」の見抜き方について、業界の裏側を包み隠さず解説していただきました。

法律では「原則0.5ヶ月」なのに、当たり前のように「1ヶ月分」請求される書類のトリック

---国の原則は「0.5ヶ月分」なのに、なぜ世の中の仲介手数料は「1ヶ月分」が当たり前になっているのですか? 私たちが知らないうちに「承諾」したことにされている、書類のカラクリについて教えてください。

岩井佑樹さん:

仲介手数料については、宅地建物取引業法で上限が定められています。

不動産会社が受け取れる仲介手数料は「賃料1ヶ月分以内」とされ、一般的には家賃の0.5ヶ月〜1ヶ月分に消費税を加えた金額が目安です。
ただし見落とされがちな原則として、本来、不動産会社が貸主・借主の双方から受け取れる手数料は、それぞれ家賃の0.5ヶ月分までとされています。例外として、貸主または借主のどちらか一方から、あらかじめ承諾を得ている場合に限り、1ヶ月分まで受け取れる仕組みです。

問題は、この承諾がどのように取られているかです。多くの賃貸借契約では、入居申込書や重要事項説明書に「仲介手数料:賃料1ヶ月分(税別)」と最初から記載されています。重要事項説明の場でも「仲介手数料は家賃1ヶ月分です」と簡単に触れられるだけで終わるケースが少なくありません。
そのため入居者は、「これは決まった費用」「どの物件でも同じ」と受け止め、疑問を持たないまま手続きを進めてしまいます。結果として、自分が承諾しているという認識がないまま、書面上は同意した形になる。これが、仲介手数料1ヶ月分が当然のように請求され続けている大きな理由です。

引越し費用が数万円浮く? 仲介手数料を「原則の0.5ヶ月」や「0円」にするための魔法の質問とは

---「手数料を安くして」と言うと、入居審査で落とされたり、態度が悪くなったりしないか不安です。プロの営業マンが言われて「これは断れない(0.5ヶ月にするしかない)」と観念する、交渉の「魔法の言葉」や「タイミング」はありますか?

岩井佑樹さん:

仲介手数料の話をすると、不利になるのではと不安に感じる方は多いと思います。ただ、言い方とタイミングを間違えなければ、入居審査や契約で不利になる可能性はほとんどありません。

まず知っておいてほしいのは、仲介手数料と入居審査は別物だということです。審査を行うのは管理会社や貸主であり、仲介会社が「交渉されたから落とす」といった判断をすることはできません。それでも不安になるのは「面倒な入居者だと思われたくない」という気持ちがあるからではないでしょうか。大切なのは、強く主張するのではなく、確認として聞く姿勢です。

ただし、注意点もゼロではありません。人気物件で複数の申込みが重なった場合など、仲介会社としては「スムーズに満額支払ってくれるお客様」を優先して手続きを進めたいと考えるのがビジネスの心理です。そのため、交渉には「タイミング」と「伝え方」が重要になります。

例えば、次のような聞き方です。大切なのは、強く主張するのではなく、確認として聞く姿勢です。

「念のため確認したいのですが、仲介手数料は法律上、借主負担は0.5ヶ月分が原則ですよね?」
この一言で、相手は「制度を理解している人だ」と受け取ります。続けるなら「今回は1ヶ月分になっていますが、0.5ヶ月にしていただくことは可能でしょうか? もし難しい場合は、その理由も教えていただけますか?」と、落ち着いて伝えれば十分です。

正直、不動産会社の立場からお伝えすると、仲介手数料を理由もなく値切られると良い印象は持ちにくいです。私たちは仲介手数料を収入の柱として仕事をしています。「とにかく安くしてほしい」という言い方をされると、構えてしまうのが本音です。
だからこそ大切なのは、値切ることではなく、仕組みを理解したうえで落ち着いて相談することです。

ポイントは次の3つです。
・命令口調にしない
・値切る言い方をしない
・感情的にならない

あくまで制度の確認として、淡々と聞くことが重要です。タイミングは、内見が終わった後、申込みを出す前が最適です。申込書にサインした後では「すでに同意していますよね」と言われるため注意しましょう。

プロが教える、仲介手数料を0.5ヶ月〜無料にするスマートな会話術

---実は手数料を0.5ヶ月分どころか「0円」にできる物件もあると聞きます。業界用語でいう「AD(広告料)」付き物件の見抜き方や、それを交渉材料にする方法を教えてください。

岩井佑樹さん:

仲介手数料を0.5ヶ月分どころか「0円」にできる物件の多くは、業界でいうAD(広告料)が関係しています。

ADとは、簡単に言えば貸主が仲介会社に支払う成功報酬です。空室を早く埋めたい物件ほど、家賃1ヶ月分や2ヶ月分といったADが設定されることがあります。
ADが付いている場合、仲介会社は貸主側から報酬を受け取れるため、借主から仲介手数料を取らなくても、また、0.5ヶ月分に下げても十分に利益が出るケースがあります。これが、仲介手数料が無料になる物件が存在する理由です。
では、どうやって見抜くのか。

いちばん確実なのは、正面から聞くことです。

「この物件は、オーナーさんから紹介料や広告料が出る物件ですか?」そして、もし出ているようであれば、「オーナーさんから報酬が出るのであれば、私の仲介手数料を少し調整していただくことはできませんか?」 と相談するのがスマートです。

実は、聞かれてはいけない決まりはありません。はっきり答えずに言葉を濁す場合は、ADが設定されている可能性があります。ほかにも、次のような特徴がある物件はAD付きのことが多いです。

・相場より条件が良い
・長期間、空室が続いている
・初期費用キャンペーンなどの表示がある

交渉に使う場合は、値切るのではなく、次のように相談してみてください。「もしADが出ている物件であれば、借主側の仲介手数料は不要にできませんか?」
これは失礼な要求ではありません。業界では、ごく普通に行われている相談です。

知識は最大の節約術。「値切る」のではなく「制度を確認」しよう

仲介手数料は「決まった金額」ではなく、あくまで「成功報酬」です。岩井さんの解説により、交渉の余地が十分にあることがわかりました。

今回のポイントを整理すると、以下の3点になります。

  1. 原則は「0.5ヶ月」 「1ヶ月」はあくまで貸主・借主の合意があった場合の特例です。無条件に従う必要はありません。
  2. 交渉は「申込書」を書く前に サインをした後は「合意した」とみなされます。内見後、申込みを入れる直前がベストなタイミングです。ただし、超人気物件の場合はスピード優先の判断も必要です。
  3. 「AD」の有無を聞く 広告料が出ている物件なら、仲介手数料を下げても不動産会社は利益が出ます。「オーナーさんから報酬は出ますか?」の一言が、数万円の節約につながります。

大切なのは、感情的に値切ることではなく、「仕組みを知っていますよ」と冷静に伝えることです。 これからお部屋探しをする方は、ぜひこの知識を武器に、納得のいく契約を目指してみてください。


監修者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹
合同会社ゆう不動産代表。『売る力 × 伝える力』を軸に、不動産の価値を最大化している。不動産売買の専門家として現場に立ちながら、不動産分野に特化したWebライターとして1,000本以上の記事を制作。売却査定から仲介・買取まで幅広く対応し、物件の魅力を正しく伝えることで「早く・高く・安心」の取引を実現している。派手な宣伝よりも、目の前の一人に誠実に向き合う姿勢を大切にしている。地域に寄り添いながら、不動産とWebを掛け合わせた独自の発信力で、オーナーに最良の選択肢を示すことが使命。「売買専門 × 情報発信」の融合ビジネスで、不動産の価値を丁寧に引き出している。