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「非課税枠が台無しに」お金のプロが警告。NISAなのに税金が引かれてる…初心者が陥りがちな「最悪の設定」とは?

  • 2026.1.24
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「せっかくNISAで買った株なのに、入金された配当金を見たら税金が引かれていた……」 そんな“最悪の事態”に直面する投資家が後を絶ちません。

NISAは、利益や配当金が非課税になることが最大のメリットです。しかし、実は口座開設時の「ある設定」を一つ間違えるだけで、そのメリットが消滅し、通常通り約20%の税金が差し引かれてしまうことをご存知でしょうか。

では、どの設定を選べば正解なのか? なぜ複数の証券口座を持っているとリスクが高まるのか?今回は、1級ファイナンシャル・プランニング技能士であり社会保険労務士でもある柴田充輝さんにインタビュー。「NISAの配当金で損をしないための唯一の受取方法」と「絶対に知っておくべき口座連携の仕組み」について、徹底解説していただきました。

銀行振込はNG? NISAの恩恵を捨てる「最悪の設定ミス」と、選ぶべき唯一の受取方法

---NISAで買った株なのに、配当金に約20%の税金がかかってしまう「最悪の設定ミス」とは具体的にどのような状態ですか? 初心者が陥りやすい「受取方法」の勘違いについて教えてください。

柴田 充輝さん:

結論から言うと、国内株の配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」以外に設定していると、NISA口座で保有している株であっても、配当金に20.315%の税金がかかってしまいます。

配当金の受取方法には、主に4つの種類があります。まず「株式数比例配分方式」は、配当金が証券口座に自動入金される方法で、これが唯一、NISAの非課税メリットを受けられる方式です。

「登録配当金受領口座方式」は、あらかじめ指定した銀行口座に振り込まれる方式。そして「配当金領収証方式」は、届いた領収証をゆうちょ銀行などに持っていって現金で受け取る昔ながらの方法です。最後に「個別銘柄指定方式」は、銘柄ごとに振込先を指定する方式です。

初心者が陥りやすい勘違いは、「銀行口座に振り込まれたほうが便利だから」と登録配当金受領口座方式を選んでしまうパターンです。確かに、証券口座にお金があると出金の手間がかかりますし、銀行口座で一括管理したい気持ちはわかります。しかし、この選択をした瞬間、せっかくのNISA非課税枠が台無しになってしまうのです。

例えば、年間10万円の配当金を受け取る場合、株式数比例配分方式なら10万円がまるまる手元に残ります。ところが、銀行振込の方式だと約2万円が税金として引かれ、受取額は約8万円になってしまいます。10年続ければ、その差は約20万円にもなるのです。

特に注意が必要なのは、証券口座を開設したときの初期設定です。証券会社によっては、口座開設時に株式数比例配分方式以外がデフォルトになっていることがあります。「よくわからないから、とりあえずそのまま」で進めてしまうと、知らないうちに課税される設定のまま取引を始めてしまう危険があります。NISA口座を使い始める前に、必ず自分の配当金受取方式を確認し、「株式数比例配分方式」になっているかチェックしてください。

実務上「株式数比例配分方式」以外の受取方法は、使う場面がないと考えて差し支えありません。

複数口座を持つ人がハマる「ほふり」の落とし穴

---実は怖いのが「複数の証券口座」を持っているケースだと聞きます。「A証券で設定を変えたら、B証券の設定まで勝手に変わって課税された」という事態はなぜ起こるのでしょうか?

柴田 充輝さん:

「A証券で設定を変えたら、B証券の設定まで変わってしまった」というのは、珍しい話ではありません。この現象の原因は、「ほふり」(証券保管振替機構)という仕組みにあります。

ほふりとは、日本の上場株式をまとめて管理している機関です。皆さんが証券会社で株を買うと、その株の所有情報はほふりに登録されます。そして重要なのは、配当金の受取方式もほふりで「一元管理」されているという点です。つまり、配当金の受取方式は「投資家一人につき一つ」しか設定できない仕組みになっているのです。

例えば、A証券とB証券の両方に口座を持っていて、両方とも「株式数比例配分方式」に設定していたとします。ある日、A証券で何気なく「配当金を銀行口座で受け取る」に変更したとしましょう。すると、ほふりの情報が更新され、B証券で保有しているNISA口座の株の配当金も、自動的に銀行振込に変わってしまうのです。

実際に、ほふりも名寄せ後は「最も新しく通知された受取方式」を株主情報として扱う、と注意喚起しています。

この仕組みの怖いところは、B証券から「設定が変わりました」という通知が来ないケースが多いことです。気づかないまま配当金の支払日を迎え、銀行口座に入金された明細を見て初めて「あれ、税金が引かれている」と気づくケースは往々にしてあります。

また、新しく証券口座を開設したときにも要注意です。C証券で新規口座を作り、そこで配当金受取方式以外を選ぶと、既存のA証券・B証券の設定も連動して変わってしまいます。「新しい口座だから関係ない」と安易に考えないようにしましょう。

複数の証券口座を持っている方は、どこか一つの証券会社で設定を変更したら、すべての口座の設定が変わると覚えておいてください。特にNISA口座で高配当株投資をしている方は、定期的に受取方式が「株式数比例配分方式」のままになっているか確認する習慣をつけることをおすすめします。

間違って課税された税金は戻ってくる?

---もし設定ミスに気づかず、課税されて配当金を受け取ってしまった場合、後から確定申告などで税金を取り戻す救済措置はあるのでしょうか?

柴田 充輝さん:

残念ながら、NISAで受け取るはずだった配当金が課税されてしまった場合、「NISAとしての非課税扱い(税金ゼロ)」に戻すことはできません。

通常の株式投資であれば、配当金にかかった税金は確定申告で「配当控除」を受けたり、損失と相殺する「損益通算」をしたりして、一部を取り戻せる場合があります。しかし、NISA口座は「そもそも非課税だから申告不要」という建前で制度が作られています。そのため、本来なら非課税だったはずの配当金が設定ミスで課税されても、「NISAの非課税枠を使い損ねた」という扱いになり、NISA特有の救済措置が用意されていないのです。

税務署や証券会社に相談しても、おそらく対応はしてもらえないでしょう。つまり、一度課税されてしまったら、残念ながらその税金は永久に戻ってきません(ただし、その配当を確定申告することで配当控除が適用され、結果的に税負担が軽くなる可能性はあります)。

このような事態を防ぐためには、事前の予防しかありません。まず、今すぐ自分の配当金受取方式を確認しましょう。証券会社のマイページにログインし、「配当金受取方式」や「配当金振込先」といった項目を探してください。「株式数比例配分方式」になっていればOKです。

複数の証券口座を持っている場合は、やや面倒ですがすべての口座で設定を確認してください。前の質問で説明した通り、一つの証券会社で変更すると他も連動して変わります。特に新しく口座を開設した直後は要注意です。

そして、配当金の支払通知が届いたら、「税金が引かれていないか」を必ず確認する習慣をつけてください。もし課税されていたら、次回の配当からは非課税で受け取れるよう、すぐに設定を修正しましょう。過去の分は取り戻せませんが、将来の損失を防ぐことが大切です。

「銀行受取」の便利さより「非課税」の実利を。今すぐマイページで設定確認を!

NISA制度において、国内株の配当金を非課税で受け取るための条件は非常にシンプルかつ厳格です。柴田さんの解説を整理すると、以下の3点が鉄則となります。

  1. 受取方法は必ず「株式数比例配分方式」を選ぶ:これ以外(銀行振込など)を選ぶと、NISA口座であっても約20%の税金が引かれます。(※投資信託や米国株は対象外)
  2. 複数の証券会社の設定は「連動」する:どこか1社で受取方法を変更したり、新規口座で別の方法を選んだりすると、全ての口座の設定が書き換わります。
  3. 後から気づいても税金は戻らない:設定ミスで課税された場合、NISAの非課税メリットを復活させる救済措置はありません。

「自分は大丈夫」と思っていても、口座開設時にデフォルト設定のまま進めていたり、別の口座を作った拍子に設定が変わっていたりすることは十分にあり得ます。 この記事を読み終えたら、まずは証券会社のマイページにログインし、「配当金受取方法」が「株式数比例配分方式」になっているか、今すぐ確認することをお勧めします。その数分の確認が、将来の数十万円を守ることにつながります。


監修者:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1200記事以上の執筆実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。