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「3月15日過ぎたら終わり」は間違いだった。 確定申告期限を過ぎても「税金が戻る」意外なケースとは?【お金のプロが解説】

  • 2026.1.18
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「確定申告は3月15日までに終えなければならない」と考えている方は多いでしょう。しかし、医療費控除やふるさと納税などで払いすぎた税金を取り戻す還付申告については、実は期限のルールが異なります。

期限内に申告しないと損をするのではないか?と不安に感じる方もいるかもしれません。この記事では、還付申告の正しい期限や手続きのポイントについて、金融機関勤務の現役マネージャー 中川 佳人さんの見解をもとにわかりやすく解説し、あなたのお金をムダにしないための具体的な対策を紹介します。

還付申告の期限は5年!3月15日が過ぎても申告できるって本当?

---一般的に「確定申告は3月15日まで」と認識されていますが、税金を納める場合と、戻してもらう場合(還付申告)では、期限のルールが全く異なると聞きます。具体的にいつまでならセーフなのか、その「5年ルール」の仕組みと、なぜ多くの人がこの制度を知らないのか教えてください。

中川 佳人さん:

「『確定申告は3月15日まで』というイメージは、多くの方に強く刷り込まれています。しかし、この期限は『税金を納める必要がある人』に向けたルールです。一方で、払いすぎた税金を取り戻す『還付申告』の場合、期限の考え方が大きく異なります。

還付申告は、原則として『申告できる年の翌年1月1日から5年間』が有効期限とされています。たとえば、2020年分の医療費控除を申告し忘れていた場合でも、2025年12月31日までは手続きが可能です。これがいわゆる『5年ルール』と呼ばれるもので、確定申告期限を過ぎたからといって、すぐに税金が戻らなくなるわけではありません。

この『5年ルール』があまり知られていない理由として、税制の説明が『納税』を前提に作られていることが多く、還付を受ける側の情報が目に入りにくい点が挙げられます。学校教育や会社の年末調整でも、『期限内に申告する』ことだけが強調されがちなのが実情です。

還付申告の期限を知らないことで、本来は戻ってくるお金を申告せず、そのまま諦めてしまうケースも少なくありません。

還付申告には『5年ルール』が適用されます。過去の医療費や控除を振り返り、還付申告をしていないものがないか、一度落ち着いて確認してみることが大切です。家計を見直す良いきっかけにもなるでしょう。」

期限を過ぎた還付申告にペナルティはある?税務署に目をつけられる心配は?

---期限後の申告と聞くと、「延滞税」や「無申告加算税」といったペナルティが怖いというイメージがあります。税金が戻ってくるケースであっても、税務署から目をつけられたり、罰則を受けたりすることは本当にないのでしょうか? 心理的なハードルを下げるための正しい知識を教えてください。

中川 佳人さん:

「期限後の申告と聞くと、『延滞税』や『無申告加算税』といった言葉が頭に浮かび、不安になる方も多いと思います。ただ、税金が戻ってくる還付申告の場合、基本的な考え方は大きく異なります。期限を過ぎたという理由だけで、直ちに不利になるわけではありません。

延滞税や無申告加算税は、本来納めるべき税金を期限までに納めなかった場合に発生するものです。すでに税金を多く支払っている状態で、その返金を求める手続きに対して、罰則がかかる仕組みにはなっていません。還付申告であれば、期限を過ぎて申告してもペナルティが課されることはないのです。この点を正しく理解しておくことが、不安を和らげる第一歩になります。

また、『税務署に目をつけられるのでは』という心配もよく聞かれますが、還付申告そのものが不利に扱われることはありません。むしろ、正当な控除を申告する行為は、制度上きちんと認められています。申告内容に不自然な点がなければ、淡々と事務的に処理されるのが一般的です。

もちろん、内容に誤りがあれば確認を求められることはありますが、それは期限内申告でも同じことです。必要以上に身構える必要はありません。『戻る可能性があるお金を確認する』という気持ちで、落ち着いて手続きを進めていきましょう。家計の負担を軽くするきっかけにもなります。」

見落としがちな還付対象は?過去5年の支出を見直してみよう

---医療費控除やふるさと納税は有名ですが、それ以外にも「実は数年前のあの出費、今からでも申告すればお金が戻ってくる」という隠れた項目はありますか? 例えば、ドラッグストアの薬代(セルフメディケーション税制)や、実家の親への仕送り、災害による被害など、見落としがちなチェックポイントを教えてください。

中川 佳人さん:

「医療費控除やふるさと納税以外にも、見落とされがちな還付対象は少なくありません。数年前の支出を振り返るだけで、今からでも税金が戻ってくる可能性があります。

代表的なものの一つが『セルフメディケーション税制』です。健康診断や予防接種を受けている方が、対象となる市販薬を年間一定額以上購入していた場合、控除の対象になります。ドラッグストアで購入した風邪薬や胃腸薬が該当するケースもあり、レシートを確認すると意外な金額になっていることもあります。

また、災害や盗難、事故による損害を受けた場合には『雑損控除』が使えることがあります。自宅や家財が被害を受けたものの、申告していなかったという方は申告できるものがないか確認してみましょう。さらに、年の途中で退職し、年末調整を受けていない場合も、所得税が戻る可能性があります。

親への仕送りそのものは原則として控除対象になりませんが、親が扶養に入れる条件を満たしていたのに申告していなかった場合は、過去分を含めて見直す余地があります。『どうせ対象外だろう』と決めつけず、条件を一度整理してみることが重要です。

過去5年分は見直しが可能です。家計簿やレシートを振り返ることが、思わぬ安心につながるかもしれません。」

還付申告の「5年ルール」を味方に、賢くお金を取り戻そう

「確定申告は3月15日まで」とのイメージに縛られがちですが、払いすぎた税金を取り戻す還付申告には「5年ルール」があります。これを知っているかどうかで、数年前の医療費や控除、ふるさと納税など見落としがちな項目を申告し、戻ってくるお金をしっかり確保できるかが決まります。

また、期限後の申告でもペナルティがかからないため、焦らずに過去の支出を振り返り、必要な書類を準備して申告すれば安心です。税務署に不自然な事実がなければスムーズに処理され、家計の負担軽減にもつながります。

忙しさや知らなかったことを理由に諦める前に、ぜひ一度、過去の明細やレシートを見直してみてください。還付申告があなたの大切な資産を取り戻すきっかけになるはずです。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)(@YoshitoFinance)

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。"