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6月に届く「住民税の通知」を見て絶句。ふるさと納税が「ただの寄付」に…損する人が“やりがちなミス”とは?【お金のプロが解説】

  • 2026.1.18
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ふるさと納税は、多くの人が利用している節税メリットのある制度ですが、その「控除上限」について正しく理解しているでしょうか?「年収が高いほどたくさん控除できる」と思い込んでいませんか?

実は控除上限は所得や税額の計算によって変動し、簡単なシミュレーションだけでは正確に判断できないことも多いのです。さらにiDeCoや医療控除、住宅ローン控除などの影響も受けるため、知らずに寄付すると控除額が減ってしまい、自己負担が増える可能性もあります。

この記事では、ふるさと納税の控除上限の仕組みと落とし穴を、元厚生労働省FPの柴田 充輝さんの解説を交えながら分かりやすく紹介します。これを読めば、ご自身の控除可能額を見誤るリスクを大幅に減らせるでしょう。

ふるさと納税の控除上限は「年収」ではなく「課税所得・税額」で決まる

---多くの人が「ふるさと納税サイト」の簡易シミュレーション結果を信じて寄付を行っていますが、それでも限度額オーバーや計算違いが起きてしまう「最大の盲点」は何でしょうか? 特に、iDeCoや医療費控除など、良かれと思って併用している他の節税策が、逆にふるさと納税の足を引っ張ってしまうケースについて詳しく教えてください。

柴田 充輝さん:

「ふるさと納税の「控除上限」は、年収そのものではなく、年末時点で確定する課税所得と、それに基づく「住民税の所得割額」と「所得税率」で決まります。ふるさと納税は、寄付額から2,000円を差し引いた金額が、所得税と翌年度の住民税から差し引かれる仕組みですが、住民税側の特例分には「所得割額の20%が上限」という上限があります。つまり、税額(特に住民税所得割)が小さくなればなるほど、同じ寄付額でも控除しきれない部分が出やすくなるのです。

ふるさと納税サイトの「簡易シミュレーション」が不正確なのは、入力項目が概ね「年収・家族構成」止まりで、年末まで変動し得る各種の所得控除・税額控除を十分に織り込めない(あるいは本人が入力zしない)ためです。詳細なシミュレーションツールを用意しているサイトもありますが、源泉徴収が手元にないと正確に入力できないケースがほとんどです。

iDeCoや医療費控除は課税所得を押し下げ、所得税と住民税のベースを同時に下げます。その結果、住民税の所得割額も下がり、前述の「20%の上限」自体が小さくなるため、上限見積りが目減りします。

たとえば、年収600万円の会社員がiDeCoに月額2万3,000円(年間27万6,000円)拠出している場合、ふるさと納税の限度額はiDeCoなしの場合と比較して約8,000円程度減少する計算になります。これを知らずに前年と同じ感覚で寄付を行うと、限度額を超過してしまう可能性があるのです。

結果として、寄付自体は正しく処理されていても「控除しきれない=自己負担が増える」という形で、結果的に「ただの寄付」で終わってしまうことがあります。

対策としては、年収入力だけの簡易シミュレーションを妄信しないことです。前年の住民税決定通知書にある所得割額をベースにしつつ、当年の控除(iDeCo掛金、医療費、生命保険料控除、配偶者控除の変動)も加味しましょう。上限が年末に確定する以上、確度を上げるには「税額の前提」を自分の実態に寄せるしかありません。」

簡易シミュレーションはなぜ不正確?iDeCoなどの控除が影響を与える理由

---住宅ローン控除を受けている人が、ふるさと納税で失敗するケースが多いと聞きます。特に「ワンストップ特例」を使うか「確定申告」をするかで、住宅ローン控除の恩恵が削られてしまう(損をする)パターンがあるそうですが、そのメカニズムと回避策を教えていただけますか?

柴田 充輝さん:

「住宅ローン控除は、はじめて受ける場合は確定申告が必要です。確定申告をする場合は、ふるさと納税のワンストップ特例が使えません。つまり、ふるさと納税分も確定申告に含めて処理する必要があります。

ここで起きがちなのが、「ふるさと納税はワンストップで済ませたつもり」で、確定申告には寄付金控除を入れないケースです。この場合、自治体側ではワンストップが無効扱いになり、確定申告側にも寄付情報が載っていないため、結果としてふるさと納税の控除が反映されません。ふるさと納税が反映されていない事実に気づかなければ、結果的に「純粋な寄付をして終わり」という事態になりかねません。

次に、制度設計面から損をしてしまうこともあります。所得税においては先にふるさと納税の控除が行われ、そのあとに住宅ローンの控除が行われます。住宅ローン控除は「税額控除」であり、算出された税額から直接差し引く仕組みです。所得税から控除しきれなかった分は住民税からも控除でき、住宅ローン控除では所得税から控除しきれなかった額がある場合は住民税からも控除できます。ただし、その控除限度額は課税総所得金額の5%(最大9万7,500円)までと上限額が決められています。

たとえば年収700万円の会社員で、寄付額の上限が10万円のケースでも、住宅ローン減税初年度に25万円の住宅ローン控除が発生すると上限は約4万円へと圧縮されます。これは、住宅ローン控除によって所得税がほぼゼロになってしまい、ふるさと納税の控除先である所得税の枠がなくなってしまうためです。

このような事態を回避するためにも、確定申告が必要な年は必ず寄付金控除も同時に申告すること、住宅ローン控除が大きい人ほどふるさと納税の寄付上限を保守的に見積もることが大切です。」

住宅ローン控除とふるさと納税の申告ミスに注意!正しい確認方法とは?

---手元に届いた「住民税決定通知書」のどこを見れば、ふるさと納税が正しく処理されているか確認できますか? 「ここが空欄なら失敗」「この数字がこうなっていれば成功」といったチェックポイントと、もしミス(申告漏れなど)に気づいた場合、今からでもリカバリーできる方法はありますか?

柴田 充輝さん:

「ふるさと納税が正しく処理されているかを確認するためには、毎年5月から6月頃に届く「住民税決定通知書」をチェックしてください。会社員の場合は勤務先を通じて配布され、個人事業主や年金受給者の場合は自治体から直接郵送されます。

ワンストップ特例制度を利用した方は、住民税決定通知書の左下にある「摘要」という欄を確認します。摘要の欄に「寄附金税額控除額:〇〇円」と書かれてありますので、その金額を確認しましょう。この金額が、「ふるさと納税で寄付した金額-2,000円」となっていれば、問題なく控除がおこなわれています。

確定申告を行った方は、確認がやや複雑になります。確定申告した場合、ふるさと納税の控除は「住民税」と「所得税」のどちらからも行われます。しっかりと控除が行われ、自己負担2,000円に収まっているかどうかを確認するためには、「住民税決定通知書」に加えて「昨年の確定申告書の控え」を用意する必要があります。

まず、確定申告書の「課税される所得金額」から該当する所得税率を確認します。次に、「(寄附金額-2,000円)×所得税率×1.021(復興特別所得税)」を計算します。この金額が所得税から控除された金額です。そして、住民税決定通知書の摘要欄または税額控除欄の金額を確認します。「所得税の還付金+住民税の控除額=(ふるさと納税の寄附金額)-2,000円」となっていれば、適切な処理がされていることになります。計算は正直面倒ですが、気になる方は確認してみてください。

摘要欄に「寄附金税額控除」の記載がまったくない場合、ワンストップ特例の申請が自治体に届いていないか、確定申告で寄付金控除の記載を忘れている可能性があります。また、記載されている控除額が「寄附金額-2,000円」より大幅に少ない場合は、限度額を超過して寄付していたか、何らかの処理ミスが発生している可能性があります。

もし申告漏れやミスに気づいた場合でも、確定申告の申告期限前(3月15日)であれば、当初申告の訂正申告が可能です。期限を過ぎても、確定申告書の提出期限から5年以内であれば更正の請求という手続きを行うことによって、寄付金控除の適用を受けられます。」

ふるさと納税控除を正しく活用するためにできること

ふるさと納税の控除上限は年収だけでなく課税所得や税額により決まり、さらにiDeCoや医療費控除、住宅ローン控除の影響も受けます。単純な年収入力だけのシミュレーションを盲信せず、前年の住民税決定通知書や当年の控除情報を活用して、上限見積りの精度を高めることが重要です。また、住宅ローン控除を受ける年は必ず確定申告でふるさと納税の寄付金控除も同時に申告しましょう。控除の適用漏れを防ぐために、毎年の住民税決定通知書を確認して、記載がなければ速やかに申告漏れや処理ミスがないか見直すことが大切です。こうした注意を怠らなければ、ふるさと納税を「ただの寄付」に終わらせず、最大限の節税効果を享受できます。今日から始められる見直しが、数千円から数万円の節約につながるかもしれません。


監修者:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1200記事以上の執筆実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。