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「なぜか部屋に物があふれてしまう…」スペースはあるのに散らかる、やりがちな“NG収納”とは?【一級建築士が解説】

  • 2026.1.18
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「収納率は高いのに、なぜか部屋に物があふれてしまう…」そんな悩みを抱えていませんか?

一生懸命に収納スペースを確保しても、気づくとソファやテーブルの上に物が散乱してしまうことがあります。その原因は果たして何なのでしょうか。この記事では、一級建築士 yukiasobiさんの見解をもとに、「なぜ物があふれるのか」から「すぐにできる収納の工夫」まで、実践的なヒントをわかりやすく解説します。スムーズな収納で快適な暮らしを目指しましょう。

なぜ収納率が高くても部屋が片付かないのか?

---家づくりや物件選びの際、床面積に対する収納の割合(収納率)は10~15%が理想と言われますが、数字だけで判断するのは危険と聞きます。なぜ広い収納スペースがあっても片付かない家が生まれるのでしょうか? 面積よりも重視すべき「配置」と「動線」の鉄則について教えてください。

yukiasobiさん:

「収納率は高いのに、なぜか部屋に物が溢れる」という現象は、非常によく見られます。その最大の理由は、「使う場所」と「しまう場所」が離れすぎているからです。

どれほど立派な「ファミリークローゼット」や「納戸」があっても、そこに行くまでに何歩も歩かなければならない、あるいは別の部屋を経由しなければならない設計だと、結局出し入れが面倒になり、近くのソファやテーブルの上に放置されるようになります。

面積よりも重視すべき鉄則は、「使う場所のすぐそばに、使う物を配置する」こと。そして「生活動線の邪魔にならない場所」に置くことです。 例えば、玄関にコートを掛ける場所があれば、リビングに上着が脱ぎ散らかされることはありません。収納は「一箇所にまとめて大きく」ではなく、「小分けにして、生活の流れの中に自然に現れる場所」に作るのが、片付く家を作るための最短ルートです。

深すぎる収納がもたらす「使いにくさ」の正体

---収納計画で最も失敗が多いのが「奥行き」の設定ミスだと聞きます。布団入れならともかく、日用品や書類、衣類をしまう際、使いにくくなってしまう「NGな奥行き」は何センチ以上ですか? また、深すぎる既存の収納を使いやすくリカバリーするための建築士的なアイデアはありますか?

yukiasobiさん:

収納において「深すぎる」は「使いにくい」と同義です。特に日用品や書類をしまう際、「45cm以上」の奥行きは要注意、押し入れサイズの「90cm」はNGと覚えておいてください。

奥行きが深すぎると、手前に物を置いた瞬間に「奥の物」が見えなくなり、死蔵品化するか、奥の物を取り出すたびに手前の物をどかす手間が発生します。文房具や書類なら奥行き30cm、衣類を畳んでしまうなら45cm程度が最も効率的です。
もし、すでに深すぎる収納でお困りなら、以下のリカバリーアイデアを試してみてください。

「引き出し式」の棚を後付けする: 奥の物を一気に手前に引き出せるようにすれば、深い奥行きを丸ごと活用できます。
「前後2列」の棚にする: 手前に低い棚、奥に高い棚を置く「ひな壇式」にするか、可動棚を前後で分割して設置することで、奥の物への視認性を確保します。
キャスター付きのワゴンを突っ込む: 押し入れのような深い場所は、棚を固定せず「台車付きの収納ボックス」ごと出し入れするように設計変更するのが、最も低コストで確実な解決策です。

扉なし棚とカゴで叶える「ズボラでも片付く」収納術

---「生活感を消したいから全部扉付きで隠したい」という要望は多いと思いますが、あえて扉を付けない、あるいはオープンにした方が部屋が片付く場所はありますか? ズボラな人ほど採用すべき、扉のない「投げ込み収納」や「一時置き場」の設計テクニックについて教えてください。

yukiasobiさん:

「隠す=片付く」という考え方は、実は整理整頓が苦手な方には不向きです。扉を開けるという「わずか1秒の動作」が、忙しい時には大きなハードルになります。そこでおすすめなのが、「扉なしの棚と、お揃いのカゴ」を組み合わせた設計です。

具体的には、キッチンのカウンター下やリビングの壁際に、扉のない棚(オープンシェルフ)を作り、そこにカゴを並べるだけの「カゴ専用の駐機場(ドッキングステーション)」のような場所を作ります。

•1アクションで片付く: 扉がないので、カゴの中にポイッと投げ込むだけで片付けが完了します。
•見た目がスッキリ: 中身がバラバラでも、同じデザインのカゴが並んでいるだけで、不思議と整って見えます。
•「とりあえず」の受け皿: 郵便物や脱ぎかけのパジャマなど、行き場の困る物を「とりあえずこのカゴへ」という一時置き場に指定します。

「扉を閉めて隠す」のではなく、「カゴに入れて視界から整理する」。この「扉なし+投げ込み式」の設計こそ、ズボラな人でもリバウンドせずにきれいなリビングを保てる最強のテクニックです。

使う場所の近くに「適切な収納」をつくり、続けやすい工夫を!

物があふれる原因の多くは、「使う場所」と「しまう場所」が離れていること、そして奥行きの深すぎる収納が使い勝手を悪くしていることにあります。まずは生活の動線に沿って、使う場所のすぐそばに収納スペースを設けることが大事です。

さらに、奥行きを抑えた棚の導入や引き出し・前後2列の活用、キャスター付きワゴンの設置など、今ある収納を見直す工夫も効果的。そして、扉なしのオープン棚と同じデザインのカゴを組み合わせた収納は、ズボラな方でもラクに片付けが続けられる最強の方法です。

収納は「隠す」だけでなく、「使いやすさ」と「動線」にこだわることで、空間が整い、毎日の生活が格段に快適になります。今日から取り入れられる工夫を少しずつ始めて、物あふれるストレスフリーな住まいを目指しましょう。


監修者:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。