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「個人情報を入力しないで」ANAが“異例の注意喚起”。企業を名乗る『詐欺メール』が急増…弁護士「見分けるのが非常に困難」

  • 2026.1.15
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

近年、フィッシング詐欺メールは企業のロゴや配色、文面の言い回しに至るまで本物と見分けがつかないほど巧妙になっています。

2026年1月9日にANA【公式】(@ANA_travel_info)が「ANAグループを装った詐欺メール・詐欺電話にご注意ください」との注意喚起を行い、話題となりました。

なぜ一見しただけでは詐欺かどうか判別が難しいのでしょうか?そして、もし自分が被害に遭ってしまった場合、どのように対応すれば金銭的な被害や補償の問題を最小限に抑えられるのでしょうか?本記事では、寺林智栄 弁護士の見解をもとに、メールのどこを見れば「怪しい」と判断できるのか、被害にあった後に取るべき具体的な行動について詳しく解説します。これを読むことで、フィッシング詐欺メールに騙されない目を養い、万が一の被害時にも冷静に対応できる知識が身につきます。

巧妙なフィッシング詐欺メールはどこを見て見破る?

---1月9日にANA【公式】(@ANA_travel_info)が「ANAグループを装った詐欺メール・詐欺電話」についての注意喚起を行いました。最近の偽メールはロゴや文面が本物と瓜二つで、一見して見分けるのが困難です。 弁護士から見て、「ここがおかしい」と判断すべき決定的なチェックポイントはどこにありますか? また、企業側が「メールでクレジットカード番号を聞くことは絶対にない」といった原則はあるのでしょうか?

寺林智栄さん:

近年のフィッシング詐欺メールは、企業ロゴや配色、文面の言い回しまで本物とほぼ同一で、一見しただけでは見分けるのが非常に困難です。その中で弁護士の立場から「決定的におかしい」と判断すべきポイントはいくつかあります。まず最重要なのは送信元メールアドレスです。表示名が企業名でも、実際のアドレスを見ると、公式ドメインとは無関係な文字列や、無料メールに近い不自然なドメインが使われているケースが多く見られます。次に注意すべきはメール内のURLです。正規サイトとは微妙に異なる綴り(アルファベットの置き換え、余計な記号や数字)が含まれていることがあります。
また、文面上の違和感として、「至急」「○時間以内に対応しないと利用停止」など過度に不安をあおる表現が多用されている点も典型的です。正規企業の案内は、原則として冷静かつ定型的な表現にとどまります。
さらに重要なのが企業側の基本原則です。金融機関や大手ECサイトが、メールでクレジットカード番号、暗証番号、セキュリティコード、ワンタイムパスワードを直接入力させることは原則としてありません。この点は多くの企業が公式サイトで明示しています。
したがって、「メールで個人情報や決済情報の入力を求めてくる」という一点だけでも、詐欺を強く疑うべき決定的なサインといえるでしょう。

フィッシング詐欺で被害にあった場合、補償はどうなる?

---万が一、偽サイトにカード情報やログインIDを入力し、金銭的被害やマイルの不正利用に遭った場合、被害額は法的に全額補償されるのでしょうか? それとも、「怪しいメールを開いたユーザー側の過失(重過失)」とみなされ、補償が受けられないケースもあるのでしょうか?

寺林智栄さん:

フィッシング詐欺によって偽サイトにカード情報やログインIDを入力し、金銭的被害やマイルの不正利用が生じた場合、必ずしも被害額が全額補償されるとは限りません。結論からいえば、多くのケースではカード会社やサービス提供者の補償制度により一定の補填が受けられますが、利用者側に「重過失」があると判断されると、補償が一部または全部否定される可能性があります。
クレジットカードの不正利用については、各カード会社の会員規約で「本人に過失がない場合は補償する」と定められているのが一般的です。一方で、暗証番号やセキュリティコードを自ら入力した場合や、明らかに不自然なメール・URLであることを認識できたはずなのに対応した場合には、「通常人として求められる注意義務を著しく怠った」として重過失と評価される余地があります。
マイルやポイントの不正利用についても、原則は同様で、事業者の利用規約に基づく判断となります。補償の有無や範囲は会社ごとに異なり、金銭被害よりも補償が限定されるケースも少なくありません。
重要なのは、被害に気づいた時点で速やかにカード会社やサービス提供者へ連絡し、警察への相談や証拠保全を行うことです。対応の遅れ自体が、補償判断に不利に働く可能性もあるため、「被害後の行動」も法的には重要なポイントとなります。

被害に気づいたらすぐに取るべき行動は?

---情報を入力した直後に「あ、これ詐欺だ」と気づいた場合、被害を最小限に食い止めるために法的に最も優先すべき「最初のアクション」は何ですか? クレジットカードの停止が先か、警察への届け出か、それとも証拠としてメール画面を保存(スクショ)すべきか、弁護士が推奨する手順を教えてください。

寺林智栄さん:

偽サイトに情報を入力した直後に詐欺だと気づいた場合、被害拡大を防ぐために最優先すべき行動は、カード会社やサービス提供者への即時連絡と利用停止です。これは法的観点からも極めて重要で、二次被害を防ぐだけでなく、後の補償判断において「適切な注意義務を尽くした」と評価される決定的な行動になります。クレジットカードであれば、コールセンターやアプリから利用停止・再発行の手続きを直ちに行うべきです。
次に行うべきは証拠の確保です。詐欺メール本文、送信元アドレス、URL、偽サイトの画面、入力直前・直後の画面などをスクリーンショットで保存し、可能であれば日時が分かる形で保全します。これは警察への相談や、後に補償を求める際の重要な資料になります。
その上で、警察への相談・被害届の提出を行います。金額が小さい場合でも、相談実績があることで、カード会社や事業者との交渉がスムーズになることがあります。
まとめると、弁護士が推奨する基本的手順は、①利用停止の即時連絡、②証拠保全、③警察への相談の順です。冷静かつ迅速な初動対応が、法的にも実務的にも被害回復の可能性を大きく左右します。

詐欺メールの見抜き方と被害時の冷静な対応が鍵

今回の取材を通じて分かったことは、巧妙に偽装されたフィッシング詐欺メールでも、送信元のメールアドレスやURL、不自然に不安を煽る文面を注意深く見ることで見抜ける可能性があるという点です。さらに、金融機関や大手ECサイトがメールで個人情報や決済情報の直接入力を求めることは基本的にないため、その一点だけでも危険信号と言えます。もし被害に気づいたら、即座にカード会社やサービス提供者に連絡して利用停止手続きを取り、証拠を保全し、警察に相談・被害届を提出するという流れを守ることが、被害の拡大防止と補償確保のために不可欠です。日頃から怪しいメールの見分け方を知っておくことと、被害が起きた際には冷静かつ迅速に動くことが、フィッシング詐欺の被害を最小限に抑えるカギとなるでしょう。


監修者:寺林智栄
2007年弁護士登録。札幌弁護士会。てらばやし法律事務所。2013年頃よりネット上で法律記事の執筆・監修を開始する。Yahoo!トピックスで複数回1位を獲得。読んだ方にとってわかりやすい解説を心がけています。