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「非常に危険です」元自動車エンジニアが警告。冬の運転席でやりがち…重大事故を引き起こす「NG服装」とは?

  • 2026.1.16
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

冬の寒さ対策として厚手のコートやダウンジャケットを着て車を運転する方は多いでしょう。

しかし、その厚着が実は大きなリスクを生むことをご存じですか?「なぜ厚着が運転に悪影響を及ぼすのか?」と不思議に思う人も多いはずです。

この記事では、冬の厚着が引き起こす安全上の問題点を、元自動車会社エンジニアのAtsushiさんに分かりやすく解説していただきました。事故を未然に防ぐためのポイントも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

冬の厚着がシートベルトの命を奪う?安全装置の盲点

---寒いのでダウンジャケットや厚手のコートを着たまま運転する人が多いですが、これがハンドルの操作性や、万が一の時のシートベルトの効果にどのような悪影響を及ぼすのでしょうか? 「服の厚みの分だけシートベルトが体に密着せず、衝突時に体が投げ出される(サブマリン現象)」などの具体的なリスクについて教えてください。

Atsushiさん:

「冬に厚着をしたまま運転すると、大きく分けて次の3つのリスクがあります。

① シートベルトなど安全装置が十分に機能しないリスク
② 着座位置の変化による視界・運転姿勢の悪化
③ 服の厚みによる操作性の低下

①シートベルトなど安全装置が十分に機能しないリスク
最も大きな問題は、シートベルトが体に密着しないことです。
厚手のコートやダウンジャケットを着ていると、シートベルトと体の間に隙間ができ、衝突時に身体がベルトの下に潜り込んでしまう「サブマリン現象」が起こりやすくなります。この現象が起きると、

1)エアバッグが本来の位置で身体を保護ない。
2)腹部に強い衝撃が加わり、内臓損傷を起こす。
3)シートベルトが首にかかり、最悪の場合は窒息

といった、重大な傷害リスクが高まります。

②着座位置の変化による視界・運転姿勢の悪化
厚手の服を着ると、背中や腰回りが膨らみ、普段と同じ姿勢で座れていないケースが多くなります。
その結果、身体が前に出てハンドルに近づきすぎる。上半身が立ちすぎて、自然な操作姿勢が崩れる。ルームミラーやドアミラーの見え方が変わり、接近車両を見落とす。といった問題が起こりやすくなります。
これらは、とっさのハンドル操作ミスや接触事故につながる要因になります。

③服の厚みによる操作性の低下
厚手のコートを着ると、腕や肩の可動域が制限されます。
そのため、ハンドルを大きく切る動作が遅れる。ウインカーやスイッチ操作に手間取る。細かい操作に無意識のストレスがかかる。といった操作性の低下が起こります。
これが積み重なると、判断や操作がワンテンポ遅れ、事故につながる可能性があります。

さらに見落とされがちなのが、運転中にコートを脱ごうとする行為です。
信号待ちなどでジャンパーを脱いでいる最中に信号が変わり、袖が引っかかってヒヤッとした経験がある方も多いのではないでしょうか。
運転中の着脱行為は、一瞬でも視線や意識が逸れて大変危険です。」

厚着による着座位置の変化がもたらす視界の低下と誤操作

---ムートンブーツや厚底の防寒靴は、足元が冷えないので重宝しますが、微妙なブレーキ調整や、とっさの踏み替えにおいて、スニーカーと比べてどれほどのタイムラグ(遅れ)が生じるのでしょうか? 「ブレーキとアクセルを同時に踏んでしまう」といった誤操作のリスクについても、プロの見解をお願いします。

Atsushiさん:

「厚底の靴は、足の踵から靴底までの距離が長くなるため、ペダルとの位置関係が通常の靴と変わってしまいます。

その結果、意図した以上に早くペダルに接触し、アクセルを踏みすぎてしまう危険性があります。これは JAFのユーザーテスト「運転に適した靴、履いていますか?~履物の違いによる運転の危険性~」でも確認されています。

また、厚底靴ではブレーキを踏む力がペダルに伝わりにくくなる場合があり、さらにブーツタイプの場合は靴自体が重く、足首まで固定される構造のため、アクセルからブレーキへの踏み替え動作が遅れる可能性があります。

さらに、厚底靴やブーツは足裏の感覚が伝わりにくく、ペダルの踏み込み量を微調整しづらいことや、ペダルに引っかかりやすいといった要因から、アクセルとブレーキを踏み間違えたり、同時に踏んでしまう誤操作のリスクも高まります。

加えて冬場は、雪や雨で靴底が濡れることも多く、厚底靴ではその状態が足裏に伝わりにくいため、ペダルから足を滑らせてしまう危険性もあります。

なお、著しく運転操作に支障を及ぼす履物については、道路交通法第70条(安全運転義務)に基づき、各都道府県の施行細則で禁止されている場合があります。
厚底靴も状況によっては、サンダル等と同様に違反と判断される可能性がある点には注意が必要です。」

厚手のコートは操作性低下の原因に?細かな動きが遅れるリスク

---ハンドルが冷え切っているため、手袋(ウールや革製など)をしたまま運転しがちです。 しかし、素材によってはハンドルが滑って空回りする危険があると思います。プロの視点から見て「運転に適した手袋・適さない手袋」の基準はありますか? また、やはり素手が一番安全なのでしょうか?

Atsushiさん:

「運転に適した手袋の基準は、ハンドルが滑らず、確実な操作ができ、かつ快適であることです。

これらを満たす代表が、タクシーやバスの運転手などプロドライバーが使っている綿製の白い手袋です。綿素材は適度な摩擦があり滑りにくく、汗でベタつきにくいため、季節を問わず安定したハンドル操作が可能です。
また、市販のドライビンググローブも、操作性とフィット感に優れ、実用性とファッション性を兼ね備えており、カーマニアの愛用品となっています。

一方、一般ドライバーの場合、運転専用の手袋など持つことなく、寒さ対策として厚手のウール手袋や防寒用グローブで運転してしまいがちですが、これらは注意が必要です。
それは、素材によってはハンドルが滑りやすく、レバーやスイッチ操作で誤操作を招く可能性があるからです。さらに、運転中に手が暑くなり、走行中に手袋を外そうとする行為は、誤操作や反応遅れの可能性があり非常に危険です。

真冬でなければ素手で運転する選択肢もありますが、指先が冷えると感覚が鈍くなり、ハンドルやボタン操作を誤る可能性があります。冷たさを避けようとしてハンドルをしっかり握ってないと、とっさのハンドル操作が遅れる原因にもなります。

対策としては、ハンドルヒーター付き車両が理想ですが、車内に運転専用の手袋(白手袋やドライビンググローブ)を常備する、あるいは薄手でフィット感が高く、滑りにくい手袋を運転用として使い分けることをおすすめします。」

冬の厚着は運転のリスクを高める。安全対策を心掛けよう

今回の取材で判明したことは、冬の厚着がシートベルトの機能を阻害し、適正な着座姿勢や視界を妨げるだけでなく、操作性を低下させてしまうという点です。これらはすべて、安全運転に深刻な影響を与えかねません。運転中の着脱動作も危険であるため、信号待ちなどでも注意が必要です。寒さ対策も大切ですが、事故を防ぐために、運転時にはなるべく服を薄くする工夫や、運転用にデザインされた手袋を活用するなどの対策が有効です。安全第一で冬のドライブを楽しみましょう。


参考:JAFのユーザーテスト「運転に適した靴、履いていますか?~履物の違いによる運転の危険性~」

監修者:Atsushi

1960年生まれ、三重県在住。大学で機械工学を学び、三菱自動車で37年間生産技術エンジニアとして勤務。留学や海外駐在経験はないものの、定年後「好きなことを仕事にしたい」と50代から英語を学び、国家資格・全国通訳案内士を取得。現在はインバウンドツアー添乗、通訳ガイド、企業研修通訳などに従事。2025年には大阪・関西万博コモンズ館でアシスタントディレクターとして勤務。趣味はクルマ、バイク、お酒。夢は好きな分野で通訳を続け、楽しく誇らしく一生現役!