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通帳や印鑑「親が管理」はNGだった。子どもの『お年玉貯金』…トラブルになる「意外な落とし穴」とは?【お金のプロが解説】

  • 2026.1.13
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

子どもの名前で銀行口座を開設している家庭は多いものの、その口座が「名義預金」とみなされてしまい、税務上のトラブルに発展するケースが増えています。なぜ子ども名義でも、親が管理していると問題になるのでしょうか?また、どうすれば適切に資産を管理できるのか、悩んでいる方も多いでしょう。この記事では、金融機関勤務の現役マネージャー 中川 佳人さんの見解をもとに、名義預金と見なされやすいケースやその対策、さらには資産運用のポイントまで、子どものための資産形成に役立つ情報をわかりやすく解説します。最後まで読めば、子どもの名義口座を安心して管理するためのポイントが理解できるはずです。

子ども名義の口座が「名義預金」とみなされるのはどんな場合?

---多くの親御さんは「子供の将来のために」とお年玉を貯金していますが、具体的にどのような管理状態だと『名義預金(親の財産)』とみなされてしまうのでしょうか? 「印鑑が親と同じ」「子供が口座の存在を知らない」など、やってしまいがちなNG行動を教えてください。

中川 佳人さん:

「名義預金とみなされやすいのは、子供名義の口座であっても、実際には親が自分の財産と同じ感覚で管理しているものです。

特に、通帳や印鑑を親が管理し、子供が自由に使えない、あるいは口座の存在自体を知らないケースは、典型的なNG例といえます。

税務署は、通帳に書かれている名前よりも『預金の原資が誰のお金か』『誰が通帳や印鑑を管理しているか』といった実態を重視します。形式上は子供名義の口座であっても、親が管理していると判断されれば、親の財産として扱われやすくなるのです。

実務でよく見られるのは、通帳やキャッシュカード、印鑑をすべて親が保管し、子供本人は口座の存在自体を知らないケースです。この場合、贈与に必要な『もらう側の認識と同意がない』と判断されやすくなります。また、銀行に届け出ている印鑑が親の印鑑と同じであったり、親の預金と一緒に管理されていたりすると、親の資産の一部とみなされる可能性が高まります。

名義預金と疑われないためには、子供が口座の存在を認識し、将来的に自分のお金として使える状態にしておくことが大切です。お年玉など子供のために貯めたお金を守るためにも、管理の状況を確認してみると良いでしょう。」

赤ちゃんや幼児の口座管理で注意すべき記録の残し方とは?

---子供がまだ小さく(赤ちゃんや幼児など)、自分でお金を管理できない場合、親が管理するのは当然だと思います。 このような時期において、将来的に『名義預金』と疑われないようにするためには、どのような記録の残し方や運用ルールを設けておくべきでしょうか?

中川 佳人さん:

「子供が赤ちゃんや幼児のうちは、親が通帳を管理するのは自然なことです。この時期に重要なのは、『親が勝手に管理していた』と後から見られないよう、資金の性質ごとに記録を残しておくことです。

まず、お年玉や出産祝い、誕生日祝いなど、親や祖父母、親戚から子供に贈られたお金については、必ずしも贈与契約書まで作る必要はありません。ただし、誰から、いくら、いつ、どのような目的でもらったお金なのかをメモしておくことが大切です。親がまとめて子供名義の口座へ預け入れる場合も、『〇年〇月〇日、祖父母からのお年玉〇円』と記録しておくと安心です。

一方、まとまった資金を親から子供へ渡す場合は、年ごとに簡単な贈与契約書を作成し、親が子供の代理人として贈与を受けたことを明確にします。あわせて銀行振込を利用し、『教育資金贈与』『子〇〇への贈与』など内容が分かる振込名義にしておくと、通帳だけでも経緯を説明しやすくなります。

赤ちゃんであっても、資金の出どころに応じて記録の残し方を整理しておけば、将来『親の財産』と見なされるリスクは下げられます。記録を残すのは少し手間ですが、後から困らないための備えとして、無理のない範囲で残しておきましょう。」

子ども名義の口座やNISAでの資産運用のポイントは?

---これから資産形成を考える場合、単に子供名義の銀行口座にお金を寝かせておくよりも、NISA制度などを活用して運用に回したほうが、税務上のリスク管理や教育的観点からもメリットはあるのでしょうか? 子供への資金移動をスムーズに行うための、現代的な最適解を教えてください。

中川 佳人さん:

「税務上のリスク管理という観点では、銀行口座で管理する場合でも、投資を活用する場合でも、基本的な考え方は同じです。

一方で、子ども名義で運用することは、金融教育の面ではメリットがあります。NISAなどを活用するかどうかは、名義預金対策を目的に判断するものではなく、投資期間の長さを踏まえて考えることが大切です。金融教育を行いたい場合には、子ども名義の証券口座で運用することも一つの方法といえるでしょう。

名義預金と判断されるかどうかは、資金の置き場所ではなく、『いつ』『どのような形で』子どもにお金を移し、その後、誰が管理しているかで決まります。将来分の教育資金として多額の資金を子ども名義に移しながら、親が管理を続けている場合には、相続時に『親の財産』とみなされる可能性があります。この点は、銀行預金でもNISAでも変わりません。

そのため、NISAを活用するかどうかは、銀行預金と同様に、資産の管理主体を子ども側に移せているかという視点で考えることが重要です。また、投資の目的に金融教育を含める場合には、子ども名義の証券口座で運用し、運用成果を一緒に確認することで、金融リテラシーを高めるきっかけにもなります。

子どものための資産形成では、その資産を誰が管理しているかを説明できる状態になっているかが重要です。名義預金のリスクを意識しながら、投資期間や家庭の考え方に応じて、NISAなどを活用していくとよいでしょう。」

子ども名義資産を安心して管理・活用するために

子ども名義の口座は、お年玉や祝い金、将来の教育資金を管理するうえで便利な一方で、親が一方的に管理していると税務署から「名義預金」とみなされるリスクがあります。大切なのは、子ども自身が口座の存在を認識し、資金の出所や管理状況を明確にし、将来自分のお金として自由に使える状態にすることです。特に幼児期には、贈与の記録をしっかり残すことがトラブル回避の要です。

また、NISAなどを活用した子ども名義の資産運用は、単に税務上のリスク管理だけでなく、金融教育の良い機会にもなります。どの方法を選ぶにせよ、「誰がいつどのように管理しているか」を明確に説明できることが、安心して資産形成を進めるための最大のポイントです。子どもの未来のために、適切な管理と記録を心がけましょう。


監修者:中川 佳人
監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)(@YoshitoFinance)

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。