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ふるさと納税「ワンストップを出したからOK」は間違いだった。確定申告で“全額無効”になる…「やりがちなミス」とは?

  • 2026.1.12
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

ふるさと納税をしている方のなかには、「確定申告をしたらワンストップ特例が無効になる」と聞いて戸惑う方も多いのではないでしょうか。

ワンストップ特例と確定申告がどう違い、なぜ同時に使えないのか?また、確定申告でふるさと納税の控除を漏らさないためには何が必要なのか、理解しづらいところもあります。

この記事では、ワンストップ特例と確定申告の仕組みの違いと、控除漏れを防ぐための具体的なポイントについて、マネーシップス代表 石坂貴史さんに詳しく伺いました。

ワンストップ特例とは?確定申告との違いは何?

---ワンストップ特例申請を提出していても確定申告をすると全額無効になってしまう仕組みについて、どのような制度上の理由や背景があるのか教えてください。

石坂貴史さん:

ワンストップ特例が確定申告によって無効になるのは、税金の計算方法が制度上はっきり分かれているためです。ワンストップ特例は、もともと確定申告を行わない人を前提にした制度です。

主に会社員などが対象で、ふるさと納税による控除を、住民税の計算だけで反映させる簡易的な仕組みになっています。本人が税額計算を行わなくても、市区町村が申請書をもとに住民税を調整するため、手続きが簡単になる点が特徴です。

一方で、確定申告は、その年の所得や各種控除、税額をすべて本人が申告して、国が内容を確定させる正式な手続きです。医療費控除や住宅ローン控除の初年度など、理由は何であっても、確定申告を行った時点で「その年の税金は、申告書の内容で整理する」という扱いになります。

この二つの仕組みは前提が異なるため、同時に使うことができません。確定申告をすると、住民税側だけで処理するワンストップ特例は不要となり、制度上すべて無効になります。これは一部だけが無効になるのではなく、全体が対象外になる点が重要です。

二重に控除が行われることを防ぐための制度設計であり、手続き上のミスや例外ではありません。確定申告をするかどうかが、ワンストップ特例を使えるかどうかの分かれ目になります。

確定申告をするとワンストップ特例はどうなる?制度の仕組みを教えてください

---ワンストップ特例を申請したにもかかわらず、その後医療費控除などで確定申告をした場合、ワンストップ特例が自動的に無効になることを知らずに申告漏れをしてしまう方が多いと聞きますが、実際にどのようなケースが多いでしょうか?

石坂貴史さん:

多く見られるのは、「確定申告は医療費控除のためだけ」という認識から、ふるさと納税の申告が必要だと気づかないケースです。

特に、毎年ワンストップ特例を使って問題なく控除を受けてきた方ほど、「今回は医療費だけを申告すればよい」と考えがちです。その結果、確定申告書に、ふるさと納税の寄附金控除を記載しないまま、提出してしまうことがあります。

また、確定申告をすることで、ワンストップ特例が無効になるという制度自体を知らず、「ワンストップはもう提出済みだから大丈夫」と思い込んでいるケースも多いです。

特に、年末調整と確定申告の役割の違いや、住民税と所得税の関係が整理できていない場合、この誤解が生じやすくなります。

申告書作成時に、医療費控除の入力画面だけを進めて、寄附金控除の入力画面を開かないまま提出してしまうケースもあります。電子申告では入力しなければ、自動的に反映されることはないため、意識的に入力しない限り、控除は一切適用されません。

その結果、「寄附はしたのに、控除が反映されていない」という事態に、後から気づくことになります。制度の理解不足と、申告作業の流れが重なることで、起こりやすい典型例といえます。

確定申告でふるさと納税控除を漏らさないための正しい手続きとは?

---ワンストップ特例を申請済みの人が確定申告をする場合、ふるさと納税を無効にしないために必ず行うべき手続きを教えてください。

石坂貴史さん:

ワンストップ特例を申請しているかどうかに関わらず、確定申告を行う場合には、「ふるさと納税を寄附金控除として、申告書に必ず記載する」ことが非常に大切です。

これが唯一にして、必須の手続きといえるでしょう。ワンストップ特例の申請書を提出していても、それが確定申告に引き継がれることはありません。

具体的には、寄附先自治体から送付されている寄附金受領証明書を用意して、確定申告書の寄附金控除の欄に、ふるさと納税として支払った金額を正確に入力します。

これによって、所得税からの還付と、住民税からの控除が、通常の確定申告ルートで適切に反映されます。ワンストップ特例を使った場合と比較して、控除額自体が変わるわけではありませんが、手続きの経路が変わる点が重要です。

また、「医療費控除だけ申告する」「住宅ローン控除の初年度だけ申告する」といった場合でも、確定申告をする以上は、すべての控除を申告書にまとめて記載する必要があります。

ふるさと納税だけを除外するという選択肢はありません。確定申告をする時点で、ワンストップ特例は使えない制度になる、という前提を持つことが、控除漏れを防ぐ最大のポイントになるでしょう。

ワンストップ特例と確定申告、正しい手続きで控除漏れを防ごう

ワンストップ特例は確定申告をしない人のための簡便な制度であり、確定申告を行うと自動的に無効となります。

そのため、確定申告をする際には、ワンストップ特例に頼らず、必ずふるさと納税分の寄附金控除を申告書に記載しましょう。特に医療費控除や住宅ローン控除の申告が必要な年は、ふるさと納税の控除も一緒にまとめて申告することが控除漏れ防止には欠かせません。確定申告時の控除手続きにしっかり向き合うことで、せっかくの寄附のメリットを最大限に活かすことができます。正しい理解と手続きで、安心してふるさと納税の控除を受け取りましょう。


監修者:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、2級FP技能士、AFP、マネーシップス代表。累計1,200件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」の6つの分野が専門。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポートいたします。