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『正月ボケ』と『冬季うつ』には“決定的な違い”があった。→連休明けの“だるさ”…注意すべき「うつ病の初期サイン」とは?

  • 2026.1.16
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

連休明けに感じる強いだるさや無気力感。そのまま放っておくと、もしかすると「冬季うつ」と呼ばれる症状につながることがあります。

なぜ連休明けの憂うつが強まるのか?また、冬季うつと正月ボケの違いは何か?

心と体に影響を及ぼすそのメカニズムや見分け方、具体的な対処法について、株式会社脳レボ 代表 川谷潤太さんの見解をもとに詳しく解説します。この記事を読むことで、自分の体調の変化に気づき、適切なケアへ一歩を踏み出せるはずです。

連休明けのだるさはなぜ起こる?生理的・環境的な影響とは

---連休明けの「だるさ」や「やる気が出ない」という症状が冬季うつに移行する背景には、日照時間の減少以外にどのような生理的・環境的要因が関わっているのでしょうか?

川谷潤太さん:

「連休明けのだるさが冬季うつに移行する背景には、日照時間の減少だけでなく、いくつかの要因が複合的に関わっています。

【生理的要因】
まず、脳内ホルモンのバランスの乱れがあります。日照時間が減少すると、「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンの分泌量が低下します。セロトニンは心の安定ややる気に深く関わっているため、不足すると気分の落ち込みや無気力感が生じやすくなります。
また、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌リズムも乱れやすくなります。冬は暗い時間が長いため、日中でもメラトニンの分泌が抑制されにくく、「いくら寝ても眠い」「朝起きられない」といった過眠傾向につながることがあります。
さらに、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスも崩れやすい時期です。冬は寒暖差が激しく、体温調節のために自律神経に負荷がかかります。連休中に生活リズムが乱れると、この自律神経の切り替えがうまくいかなくなり、だるさや倦怠感が続く原因になります。

【環境的要因】
連休明けは「非日常から日常への急激な切り替え」が起こります。連休中は家族や友人とリラックスした時間を過ごし、仕事のプレッシャーから解放されています。この心地よい非日常に慣れてしまうと、仕事という日常へ戻る際に大きなギャップを感じ、心に負担がかかります。
また、冬は外出の機会が減り、人との交流も少なくなりがちです。孤立感やコミュニケーション不足は、メンタルの低下を加速させる要因になります。
加えて、年末年始の場合は「1年の振り返り」や「新年の目標設定」によるプレッシャーが重なります。「今年こそは○○を達成したい」「去年はうまくいかなかった」という思いが、かえって心を重くし、自己評価が揺れやすくなることもあります。」

冬季うつの初期サインとは?見逃してはいけないポイント

---連休明けの倦怠感を「正月ボケ」と片付けてしまう人が多い中で、冬季うつの初期サインを見逃さないために注意すべき具体的な症状を教えてください。

川谷潤太さん:

「冬季うつの特徴的な初期サインには5つあります。

①過眠傾向:通常のうつ病が『眠れない』ことが多いのに対し、冬季うつは『いくら寝ても眠い』『朝起きられない』という過眠気味になることが多いです。

②過食傾向(特に炭水化物や甘いものへの欲求):セロトニンの不足を補おうと、パンやご飯、チョコレートなどを無性に食べたくなる傾向があります。

③『楽しい』という感情が湧きにくい:正月ボケは好きなことをすれば回復しますが、冬季うつは以前楽しめていたことにも興味が持てず、何をしても楽しさが感じられなくなります。

④体の重さ・鉛のような倦怠感:『体が鉛のように重い』『手足がだるい』などの独特の倦怠感があり、単なる疲れと違って休んでも回復しにくいです。

⑤決まった季節に繰り返す:毎年秋から冬に調子が悪くなり、春に自然回復するパターンは冬季うつを疑うべきです。

正月ボケは通常1〜2週間で改善しますが、これらの症状が2週間以上続く場合や『職場や学校に行こうとすると涙が出る』『消えたい』『死にたい』といった強い否定的感情がある場合は、専門的なケアが必要です。」

冬季うつの対処法:明日からできる簡単なステップ3つ

---連休明けの"だるさ"が冬季うつのサインかもしれないと感じたとき、明日からすぐに実践できる最も効果的な対処法を教えていただけますでしょうか。

川谷潤太さん:

「冬季うつのサインを感じたとき、まず大切なのは「頑張らなきゃ」「無理にポジティブになろう」と自分を追い詰めないことです。「今はしんどい」と自分の状態を素直に認めることが、回復の第一歩です。ここでは、明日からすぐに実践できる対処法をご紹介します。

【対処法①】朝の光を意識的に浴びる
冬季うつの大きな原因は、日照時間の減少によるセロトニン不足です。朝起きたらまずカーテンを開け、太陽の光を浴びることを習慣にしてください。曇りの日でも、室内の照明よりはるかに明るい光を得ることができます。
具体的には、起床後30分以内に窓際で過ごす、通勤時に日当たりの良い道を選ぶ、昼休みに少しでも外に出るなど、「光を浴びる時間」を意識的に確保してみてください。

【対処法②】「未来の楽しみ」を具体的にリストアップする
脳は「不確実な未来」よりも「楽しみな未来」に意識を向けているときの方が、やる気や活力を生み出しやすくなります。小学生の頃、遠足の日の朝はワクワクして早起きできた、あの感覚を思い出してみてください。
次の3つのリストを作成してみましょう。

・やりたいことリスト:仕事で新しいことに挑戦する、映画を観る、家族でお出かけするなど
・行きたい場所リスト:「春に京都の桜を見に行く」「夏に北海道旅行を計画する」など、「いつ?」「誰と?」まで具体的に
・欲しいものリスト:「パソコン」ではなく「MacBook」など、できるだけ具体的に

作成したリストは、スマホのメモや冷蔵庫など、日常的に目にする場所に貼っておくのがおすすめです。リストを眺めるたびに、「これを叶えるために今日も少し頑張ろう」という気持ちが湧いてきます。

【対処法③】連休明け直後に「小さな楽しみ」を仕込んでおく
連休が終わると「また日常が始まる」と気分が沈みがちですが、仕事復帰後すぐの楽しみを用意することで、その憂うつ感を和らげることができます。

・仕事始めの日に、仲間とランチの予定を立てる
・週末に家族や友人と食事に行く予定を入れる
・仕事帰りにお気に入りのカフェに立ち寄る
・新しく買った服やリップを「翌日初おろし」にする
・お気に入りのコーヒーや紅茶を「明日の朝のお楽しみ」として用意しておく

このような小さな楽しみが、日常に戻るモチベーションを支えてくれます。」

自分を責めず、未来に希望をもって一歩ずつ進もう

川谷潤太さんによると、冬季うつは日照時間の減少やホルモンバランスの乱れ、自律神経の負荷、環境的ストレスの複合的な影響が原因とのこと。

連休明けのだるさや倦怠感は決して「甘え」ではなく、心と体が「少し休ませてほしい」と示すサインです。無理に気合で乗り切ろうとせず、自分の状態を認めることが回復の第一歩。

今回紹介した「朝の光を浴びる」「未来の楽しみをリストアップする」「小さな楽しみを仕込む」3つの実践法は手軽にでき、気分の改善につながります。また、2週間以上症状が続く場合は無理をせず、医療機関や専門家に相談することが重要です。心身の声を大切に、未来に小さな希望を持ちながら自分のリズムで一歩ずつ進んでいきましょう。


監修者:川谷潤太(株式会社脳レボ代表)
株式会社脳レボ代表取締役。兵庫県神戸市出身。学習塾講師時代に当時最年少で校長に就任し、西日本最大の学習塾へと発展させる。その後、岡山県の創志学園高校へ赴任し、学校改革とスポーツメンタル指導を担当。硬式野球部では3季連続甲子園出場を果たし、プロ野球選手も輩出。現在はプロ野球選手などのアスリートやスポーツチームへのメンタル指導、企業の人材育成に携わり、講演回数は累計1,500回以上、受講者は12万名を突破。脳科学・大脳生理学をベースに、心理的および生理的要因からベストパフォーマンスを引き出す専門家として活躍中。