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「1月の給料日まで持たない…」“正月貧乏に陥る人”はやっていた…年末年始休暇の「3つの隠れ散財」とは?【お金のプロが解説】

  • 2026.1.10
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

年末年始といえば、帰省の交通費や宿泊費、お年玉など大きな支出を覚悟している人が多いですが、実は家計の圧迫はそれだけではありません。

知らず知らずのうちに増えてしまう「隠れ散財」が、家計に大きな影響を与えていることをご存じでしょうか?なぜそのような無意識の出費が起こるのか、その原因と対策を元厚生労働省勤務の柴田 充輝さんに詳しく伺いました。

この時期ならではの心理的な落とし穴を理解し、賢く乗り切る方法を知ることで、新年の家計を健全に保ちましょう。

年末年始の出費は「大きな支出」だけじゃない?心理的要因で増える散財

---年末年始にお金がなくなる原因として、旅行や帰省といった『大きな出費』は皆さん覚悟していると思います。そうではなく、多くの人が計算に入れ忘れている、あるいは無意識に使ってしまっている『意外な盲点(隠れ散財)』には、具体的にどのようなものがありますか? ぜひ代表的なものを3つ教えてください

柴田 充輝さん:

年末年始の出費といえば、帰省の交通費や宿泊費、お年玉など「大きな支出」はあらかじめ覚悟している方がほとんどです。しかし実際に家計を圧迫しているのは、そうした想定内の出費ではなく、無意識のうちに積み重なる「隠れ散財」であることが少なくありません。

年末年始は「今年も1年よく頑張った」という達成感と解放感に包まれる時期です。この高揚感が、普段なら買わないようなものへの出費を正当化させてしまいます。たとえば、「自分へのクリスマスプレゼント」として高価なアクセサリーや家電を購入したり、「年末くらいは」と普段より高いお酒やスイーツを買ったりすることもあるでしょう。一つひとつは数千円から数万円程度でも、このような出費が何度も発生すると、気づけば数万円以上の出費になっていることがあります。

テレビCM、新聞の折り込みチラシ、スマートフォンに届くセール通知など、特に年末年始は購買意欲を刺激するマーケティングメッセージであふれています。「歳末大感謝祭」「初売り限定価格」「福袋」「タイムセール」といった言葉を見ると、「今買わないと損をする」という心理が働き、本当に必要かどうかを冷静に判断できなくなりがちです。

福袋は典型的な例です。「5万円相当が1万円」などと書かれていると、お得に感じて購入しますが、中身をよく見ると自分では選ばない色やデザインの商品が入っていることも少なくありません。結局使わずにクローゼットの奥にしまい込むのであれば、その1万円は完全な無駄遣いです。また、「期間限定」「残りわずか」といった希少性を強調する表現は、人間の「損失回避」という心理を巧みに突いています。冷静に考えれば不要なものでも、「今買わないと二度と手に入らない」と思わせることで購入を促すのです。

帰省や親族との集まりでは、交通費や宿泊費という大きな出費以外に、細かい支出が積み重なります。たとえば、実家への手土産や親戚の子どもたちへのお菓子など。一つひとつは数百円から数千円でも、帰省の往復で合計すると1〜2万円になっていることは珍しくありません。また、年末年始は外食の機会が増えます。おせちに飽きたからとファミリーレストランに行ったり、久しぶりに会う友人とカフェでお茶をしたりすることもあるでしょう。スーパーが閉まっている場合はコンビニで割高な食材を買わざるを得ず、出費がかさんでしまうケースも考えられます。

なぜ年末年始に「隠れ散財」が増えるの?心理的メカニズムを専門家が解説

---1月が特に苦しくなる背景には、冬のボーナスによる『気が大きくなる心理』に加え、給料日の間隔(12月は早く、1月は長い)も関係していると聞きます。なぜ私たちは『お正月だから』という理由で、ここまで予算管理ができなくなってしまうのでしょうか? 陥りやすい心理的な罠について教えてください

柴田 充輝さん:

年末年始は、この時期特有の複数の心理的要因が重なり合い、普段は堅実な方でも予算管理がザルになりがちです。

行動経済学では、人間が心の中でお金を異なる「口座」に分けて管理する傾向を「メンタルアカウンティング(心理的会計)」と呼びます。毎月の給料は「生活費」として慎重に使う一方で、ボーナスは「臨時収入」「特別なお金」として、日常のルールとは別枠で考えがちです。

冬のボーナスを受け取ると、「このお金は普段頑張った自分へのご褒美に使っていい」という意識が生まれます。すると、普段なら「高い」と感じる商品やサービスに対しても、「ボーナスがあるから」と心理的なハードルが下がります。実際には、ボーナスも含めて年間の収入と支出のバランスを考えるべきなのですが、「特別なお金」という認識があることで、計画的な使い方が難しくなるのです。

多くの会社では、12月の給料日が通常より早まります。年末年始の休業に合わせて、月末支給の会社が27~28日頃に前倒しになることも珍しくありません。この結果、12月の給料日から1月の給料日までの間隔が、通常の1ヶ月より長くなるのです。たとえば、12月28日に給料を受け取り、次の給料日が1月31日だとすると、その間隔は約35日。通常の感覚よりも長く、1月25日くらいの段階で生活が苦しくなってしまう事態が想定されます。

12月の給料を受け取った時点で「これで年末年始を乗り切ろう」と思っていても、実際にはいつもより長い期間をやりくりしなければなりません。この「時間感覚の狂い」に気づかないまま、いつも通りのペースでお金を使ってしまうと、1月中旬には手元が苦しくなるという現象が起きます。

さらに、先ほど触れたような「隠れ散財」が追い打ちをかけます。「大きな買い物はしていないはずなのに、なぜかお金がない」という状態に陥るのは、こうした小さな支出が気づかぬうちに積み重なっているからです。ボーナスで気が大きくなった心理状態と、いつもより長い給料日までの期間、そして無意識の散財が重なることで、1月後半に家計が一気に苦しくなるのです。

年末年始の家計ピンチを乗り切るための緊急節約術とは?

---すでに手元にお金がなく、給料日まであと10日以上ある……という『ピンチの状態』の人に向けて、今すぐ実行できる家計の応急処置(緊急の節約術)はありますか? また、来年同じ失敗をしないために、今から準備できる『特別費』の管理方法も併せて教えてください

柴田 充輝さん:

給料日まで日数があるにも関わらず、手元にお金がないというピンチの状態に陥ったら、まずは緊急の節約術で乗り切りましょう。カードローンやキャッシングのような高金利の借金に頼るのは、家計が自転車操業になりかねないため、愚かな考えです。

ピンチのときに最も大切なのは、シンプルに「とにかく使わないこと」です。節約テクニックをあれこれ試すよりも、まずは支出そのものを止めることが最優先です。

まず、給料日までの日数と手元の現金・口座残高を確認し、「1日あたり使えるお金」を計算してください。たとえば、入金まで残り10日で手元が18,000円なら、1日1,800円です。この数字を意識したうえで、日々の生活を送りましょう。

1日当たり使える金額は、「とにかく使わない」を実践するための、基本的な指針になります。漠然と「お金がない」と思っているだけでは不安ばかりが募りますが、具体的な数字で把握すると「意外となんとかなるかも」と冷静になれることも多いものです。

お金がないときに最初に見直すべきは食費ですが、実は買い物に行く前にやるべきことがあります。それは、家の中にある食材を徹底的に使い切ることです。冷蔵庫の奥に眠っている野菜、冷凍庫に入れっぱなしのご飯や肉、食品棚の乾麺や缶詰、レトルト食品、使いかけの調味料などで、何日も過ごせるかもしれません。AIに「冷蔵庫にある材料」を入力すれば、作れるレシピを提案してくれます。

そもそも店に行かなければ、余計なものを買う機会もありません。「冷蔵庫が空になるまでは買い物に行かない」と決めてしまうのが、シンプルで効果的な方法です。すでに使ったお金は戻ってこないため、とにかく借金に頼らずに済むような工夫を意識しましょう。

年末年始の隠れ散財を理解して賢く乗り切ろう

年末年始は、華やかなシーズンの裏で「隠れ散財」が静かに家計を圧迫しています。大きな出費だけでなく、小さな無意識の出費の積み重ねが意外な家計の赤字を生み出しかねません。専門家の解説から分かるように、心理的な高揚感やメンタルアカウンティングの影響が大きく、この時期の出費は計画的に管理することが大切です。

もし給料日前に資金が厳しくなった場合は、まずは「使わない」を徹底的に意識し、1日あたりの使える金額を具体的に把握しましょう。冷蔵庫の食材を使い切り、無駄な買い物を控えることも重要です。これらのポイントを押さえることで、年末年始の家計ピンチを乗り切り、明るい新年のスタートが切れるはずです。


監修者:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1200記事以上の執筆実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。