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「年末年始の後に明らかに増える」社労士が明かす実態。連休明けに「急に退職する人」の共通点とは

  • 2026.1.9
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

この記事では、あゆ実社労士事務所 加藤あゆみさんの見解をもとに、連休明け退職の背景にある心理や職場で気をつけるべきポイントを解説します。仕事と距離を置ける時間が生み出す感情の変化や、退職の前触れとなるサイン、そして企業が取るべき対応策について理解を深めていきましょう。

連休明けに退職が集中する理由とは?

---なぜ「連休明け」に退職が集中するのでしょうか? 休暇中に彼らの心境に何が起きているのですか?

あゆ実社労士事務所:

連休明けに退職が集中するのは、休暇中に「仕事から物理的にも心理的にも距離が取れる時間」が生まれるからです。

退職相談を受けていると、普段は業務に追われ「忙しいから仕方ない」「今は耐えるしかない」と自分の気持ちを後回しにしていた人ほど、休暇に入った途端、違和感が一気に表面化することが分かります。

人事の現場でも、GWや年末年始の後に相談が明らかに増える傾向があります。また、家族や友人と過ごす中で他者の働き方と比較し、「この働き方を今後も続けられるのか」「自分は何のために働いているのか」と現実的に問い直す人も少なくありません。連休は単なる休息ではなく、感情や価値観を整理する時間でもあるのです。

その結果、これまで先送りにしていた「辞めたい」という気持ちに、自分自身がはっきり気づいてしまうのです。連休明けの退職は衝動的に見えて、実際は“積み重なった違和感の最終確認”といえるケースがほとんどです。だからこそ企業側には、連休前に一度立ち止まって「最近どう?」と声をかける習慣や、連休明けに急に様子が変わった社員がいないか意識的に観察する姿勢が求められると思いま。

突然来なくなる社員は「無責任」?真実は違う

---突然来なくなるのは「無責任な若者」だけですか? それとも「真面目な社員」ほど危ないのでしょうか?

あゆ実社労士事務所:

相談を受ける中で強く感じるのは、『無責任だから突然来なくなる』というケースは意外と多くない、ということです。

むしろ人事として長く見てきた中では、真面目で責任感が強く、周囲に迷惑をかけたくないと思っているタイプの社員ほど危ないと言えます。こうした人は不満や限界を口に出せず、「自分が頑張れば何とかなる」と抱え込んでしまい、誰にも相談しないまま耐え続けます。

本人の中では「もう少し」「もう少しだけ」と踏ん張っていたはずが、ある日突然、糸がぷつっと切れたように連絡が取れなくなるのです。心身の限界は、本人が気づかないうちに静かに近づいていることが少なくありません。

一方で、こうした「限界まで我慢してしまう」背景には、責任を果たそうとする意識や、やり切ろうとする姿勢が強すぎることも関係しています。若手にワークライフバランスを重視する価値観が広がっているのは良い変化ですが、自分の役割や責任をどこまで果たすべきかという感覚が曖昧なまま自由だけを求めると、周囲とのギャップが生まれやすくなります。企業側としては、「真面目に見える=大丈夫」という思い込みを捨て、むしろ真面目な社員ほど定期的に本音を聞く機会を設けることが、予防につながると感じています。

退職の前触れは「サイン」として現れる

---突然辞めたように見えても、実は何らかのサインがあったのでしょうか?職場でどう見極めるべきですか?

あゆ実社労士事務所:

多くの場合、「突然辞めたように見える」だけで、実際には何らかのサインが出ています。

企業支援をする中でよく聞くのは、以前より口数が減った、雑談や会議で発言しなくなった、評価や将来の話題に関心を示さなくなった、といった変化です。

また、有給休暇の取り方が極端になる、引き継ぎ資料を必要以上に丁寧に整え始める、業務を淡々と“こなすだけ”の状態になるのも、典型的な兆候と言えます。

特に注意したいのは「急に静かになる」パターンで、これは諦めのサインかもしれません。ただ、これらは「問題行動」ではなく、本人なりのSOSであることがほとんどです。

周囲が「忙しそうだから」「静かなだけ」と受け流してしまうと、そのまま連休をきっかけに退職やフェードアウトにつながります。人事の現場で感じるのは、制度よりも日常の関係性が重要だということです。困る前に声を上げられるか、弱音を吐いても評価が下がらないと本人が信じられているかが大事です。小さな変化に気づいたら、評価や指導ではなく「最近元気ないけど大丈夫?」とフラットに声をかけること。それだけで救えるケースは少なくないと強く感じています。

連休明け退職を減らすために、職場でできること

連休明けに退職が集中する理由や背景を理解すると、突然の退職が「衝動的」ではなく、長い間蓄積された違和感の結果だと分かりました。そして、真面目な社員ほど自分の限界を抱え込みやすいことも明らかです。職場では、連休の前後をきっかけに普段と違う変化に目を配り、態度の変化や小さなサインに気づくことが重要です。

何よりも、声かけは評価や指導ではなく、まず「大丈夫?」というフラットな関わりであることがポイント。こうした関係性づくりは、制度の整備以上に社員の心理的な負担軽減につながります。今日からでも、部下や同僚に「最近どう?」と気軽に声をかけることから始めてみてはいかがでしょうか。


監修者:あゆ実社労士事務所
人材育成とキャリア支援の分野で約10年の経験を持ち、社会保険労務士・国家資格キャリアコンサルタントとしても活動。
累計100名以上のキャリア面談を実施し、1on1面談制度の設計やキャリア面談シート作成などを通じて、組織の人材定着と成長を支援してきた。
新入社員向け「ビジネスマナー」「マインドセット」「ロジカルシンキング」研修やキャリア研修では、企画・コンテンツ作成から講師まで一貫して担当。
人間関係構築や部下育成、効果的な伝え方に関する豊富な実務経験を活かし、読者や受講者が一歩踏み出すきっかけとなる関わりを大切にしている。