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「必ず確認してください」不動産会社が警告。退去時に“敷金”が戻ってこない…サインしてはいけない「契約書」とは?

  • 2026.1.9
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

賃貸住宅の退去時にトラブルになりやすい敷金の返還問題。なぜ余計な費用を請求されたり、敷金がほとんど戻らなかったりするのでしょうか?

多くの場合、その原因は契約時に交わす「特約条項」の内容を正しく理解していないことにあります。この記事では、合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さん見解をもとに、敷金トラブルの要因と未然に防ぐためのポイントを詳しく解説します。これを読めば、賃貸借契約を結ぶ際の不安が軽減し、安心して暮らせる賃貸生活への第一歩が踏み出せるはずです。

敷金トラブルは気づかぬうちの「特約」が原因?

---退去時に敷金が返還されないトラブルの背景には、どのような特約条項の記載内容や契約書のチェック不足が関係しているのでしょうか?

合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さん:

敷金トラブルの多くは、特約条項の中身をよく分からないまま契約してしまうことが原因です。賃貸借契約書には、原状回復の基本ルールとは別に、借主に不利になりやすい特約がまれですが小さな文字で書かれていることがあります。

例えば、次のような内容です。

・退去時の修繕費はすべて借主が負担する
・ハウスクリーニング費用は必ず敷金から差し引く

これだけを見ると「どの物件でも同じだろう」と思いがちですが、注意が必要です。実際には、普通に生活していれば避けられない壁紙の日焼けや、家具の跡、年数による傷みまで修繕費として請求されるケースがあります。

本来は貸主側が負担すべき部分であっても、特約の書き方があいまいだと、借主負担として処理されてしまうことがあるのです。

また、契約時の説明で特約が簡単に触れられるだけだと、「これは決まりだから、サインするしかない」と思い込んでしまう方も少なくありません。しかし実際には、費用の上限を決めてもらったり、対象を故意や過失がある場合に限定してもらえたりすることもあります。

さらに注意したいのが、退去時の判断基準を確認しないまま契約してしまうケースです。「退去時のことは、そのときに管理会社が判断します」と言われたまま契約すると、どこまでが借主負担なのか分からず、退去時に敷金がほとんど戻らない原因になります。

契約時には内容を読み流すのではなく、特約の内容が退去時にどんな請求につながるのかを具体的に確認しておくことが、敷金トラブルを防ぐ大きなポイントです。

契約前の確認が敷金トラブルを防ぐポイント

---賃貸借契約書の特約条項で「ハウスクリーニング費用を全額借主負担」「畳・壁紙は無条件で全額交換費用を請求」といった記載がある場合、サインする前に確認すべきポイントや交渉の余地について教えてください。

合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さん:

このような特約条項を見た場合、まずサイン前に確認してほしいのは、次の2点です。

・費用の金額が具体的に書かれているか
・どこまでが借主負担になるのかが明確か

例えば、「ハウスクリーニング費用一律3万円」と金額が明記されていれば、退去時にいくら差し引かれるのかを理解したうえで契約できます。一方で「実費を全額借主負担」とだけ書かれている場合、金額の上限がなく、退去時に想定以上の請求を受ける可能性があります。

畳や壁紙についても同様です。「無条件で全額交換費用を請求する」といった条項は特に注意が必要です。普通に生活していれば避けられない日焼けや色あせまで借主負担とするのは、国土交通省のガイドラインの考え方から見ても問題になるケースがあります。

少なくとも、故意に汚したり壊した場合に限るのか、入居期間に応じて負担割合が決まるのかといった条件が書かれているかを確認すべきです。

こうした特約は、必ずしもそのまま受け入れなければならないものではありません。クリーニング費用の上限額を設定してもらったり、畳や壁紙は故意や過失がある場合のみ借主負担と明記してもらえたりするケースもあります。

「書いてあるから仕方ない」と思い込まず、署名する前に一言確認するだけで、防げる敷金トラブルは想像以上に多いと感じています。

特約条項の具体的チェックポイントと対処法

---賃貸借契約時に特約条項をチェックする際、入居者が「これだけは必ず確認すべき」という最重要ポイントと、具体的な見分け方を教えていただけますでしょうか。

合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さん:

賃貸借契約時に特約条項をチェックするうえで必ず確認してほしい最重要ポイントは、通常の生活で生じる傷や汚れまで借主負担になっていないかという点です。

特約条項の中に「使用の程度を問わず」「理由のいかんを問わず」といった強い表現が使われている場合は注意が必要です。このような書き方は、普通に住んでいれば避けられない汚れや劣化まで借主の責任にされてしまう可能性があります。

具体的な見分け方としては、次の3点を確認してみてください。

・どの部分を借主が負担するのか、具体的に書かれているか
・金額または計算方法がはっきり示されているか
・国土交通省のガイドライン(原状回復の基準)との関係が説明されているか

これらがあいまいな特約は、退去時の判断が担当者任せになりやすく、トラブルにつながりやすい傾向があります。

重要事項説明の場では、「この特約はどんな場合に使われるのか」「普通に暮らしていてできた汚れは対象になるのか」といった点を、遠慮せず質問してみてください。こうした質問に対して説明がはっきりしない条項は、実務上も揉めやすいケースが多いです。

万が一、退去時に納得できない請求を受けた場合は、まず書面で請求の根拠を示してもらうことが大切です。それでも解決しない場合は、国土交通省が示している原状回復のガイドラインを基準に、冷静に主張することが有効です。

敷金トラブルは感情的になりやすい問題ですが、契約内容と客観的な基準を軸に対応すれば、不利な結果を避けられる可能性は十分にあります。

特約条項の理解が安心の賃貸生活を支える

賃貸借契約における敷金トラブルは、契約書の特約条項をしっかり理解し、必要に応じて内容を確認・交渉することで大半が回避できることが明らかになりました。特に、通常の生活でつく汚れや経年劣化まで借主の負担にされていないかを注意深くチェックすることが重要です。

契約時に疑問があれば遠慮せず質問をし、金額の上限や負担範囲が明確な契約にすることが、退去時のトラブルを未然に防ぐカギとなります。もし思いがけない請求があっても、冷静に契約内容や国のガイドラインをもとに対応すれば、不利な結末を防げる可能性は高いです。

こうしたポイントを意識し、賃貸借契約に臨むことで、より安心して新生活をスタートさせることができるでしょう。


監修者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹
合同会社ゆう不動産代表。『売る力 × 伝える力』を軸に、不動産の価値を最大化している。不動産売買の専門家として現場に立ちながら、不動産分野に特化したWebライターとして1,000本以上の記事を制作。売却査定から仲介・買取まで幅広く対応し、物件の魅力を正しく伝えることで「早く・高く・安心」の取引を実現している。派手な宣伝よりも、目の前の一人に誠実に向き合う姿勢を大切にしている。地域に寄り添いながら、不動産とWebを掛け合わせた独自の発信力で、オーナーに最良の選択肢を示すことが使命。「売買専門 × 情報発信」の融合ビジネスで、不動産の価値を丁寧に引き出している。