1. トップ
  2. 「退職金の振込額」を見て絶句。一時金にしなかった人の“末路”…手取りが数百万円変わる「受け取り方」の違い【お金のプロが解説】

「退職金の振込額」を見て絶句。一時金にしなかった人の“末路”…手取りが数百万円変わる「受け取り方」の違い【お金のプロが解説】

  • 2026.1.8
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

退職金の受け取り時に「思っていたより手取りが少ない」と感じたことはありませんか?その原因の多くは、退職金が給与と異なる特別な税制のもとで計算されていることを知らないまま受け取ってしまうことにあります。この記事では、退職金の一時金と年金形式の受け取りで異なる税金や社会保険料の仕組みを詳しく解説し、損をしないためのポイントを金融機関勤務の現役マネージャー 中川 佳人さんの見解からわかりやすくお伝えします。これを読めば、退職金の手取り額を上手に増やすためのヒントが見えてきます。

退職金の手取りが減る“最大の落とし穴”とは?

---退職金の受け取り方によって手取り額が大きく減少してしまう主な原因は、どのような税制上の仕組みや計算方法によるものなのでしょうか?

中川 佳人さん:

「退職金の手取り額が大きく減少してしまう主な原因は、退職金が『給与とは異なる特別な税制』で計算される一方、その仕組みを正しく理解しないまま受け取ってしまう点にあります。退職金には長年の勤務に配慮した税制優遇がありますが、その前提を知らないと、本来よりも多くの税金を支払う結果になることもあります。

まず押さえておきたいのが、退職金を一時金で受け取った場合の取り扱いです。一時金で受け取る退職金は『退職所得』として、他の所得と分けて計算されます。さらに、勤続年数に応じた『退職所得控除』が設けられており、控除後の金額についても、課税対象額が2分の1に圧縮される仕組みになっています。このため、同じ金額であっても、給与として受け取る場合と比べて税負担は大幅に軽くなります。

一方で、退職金を年金形式で受け取る場合は『雑所得』として扱われ、他の所得と合算される総合課税になります。公的年金等控除は適用されますが、退職所得のような2分の1課税といった強い優遇はありません。所得が増えることで税率が上がる可能性があり、結果として手取りが想定より少なくなるケースもあります。

このように、退職金の税負担は受け取り方によって計算方法そのものが異なります。仕組みを知らずに選択してしまうことが、手取り減少の大きな原因と言えるでしょう。」

年金形式の退職金で見落とされがちな社会保険料の負担増とは?

---退職金を一時金で受け取る場合と年金形式で受け取る場合では、それぞれどのような税制上の落とし穴があり、手取り額にどれほどの差が生じるのでしょうか?

中川 佳人さん:

「退職金を一時金で受け取るか、年金形式で受け取るかによって手取り額に大きな差が生じる理由は、税金だけでなく社会保険料の負担が変わる点にあります。特に見落とされやすいのが、年金形式を選んだ場合の社会保険料への影響です。

一時金で受け取る退職金は退職所得として分離課税され、退職所得控除や2分の1課税といった優遇を受けられます。加えて、原則として国民健康保険料や介護保険料の算定対象にならないため、税金と保険料の両面で手取りが残りやすい仕組みです。金額が大きいほど、一時金のメリットが実感しやすくなります。

一方、年金形式で受け取る退職金は雑所得として総合課税となり、公的年金等控除はあるものの、他の所得と合算されます。ここで注意したいのが、年金収入が増えることで、翌年の国民健康保険料や介護保険料が引き上げられる点です。税金自体はそれほど増えていなくても、保険料負担が大きくなり、『思っていた以上に手取りが減った』と感じるケースも少なくありません。

さらに、iDeCoや会社の退職金など、複数の退職一時金を受け取る場合には、受取時期によって退職所得控除が調整されるルールもあります。2026年以降はこの調整期間が10年に延長されるため、受け取り方次第では税負担が大きく増える可能性があります。

このように、一時金と年金形式では、見える税金以上に手取り差が生じる点が、最大の落とし穴と言えるでしょう。」

退職金の受け取りで損をしないためにまずすべきことは?

---退職金の受け取り方で損をしないために、退職前に何を確認しておくべきでしょうか?おすすめの準備や注意点を教えてください。

中川 佳人さん:

「退職金の受け取り方で損をしないために、退職前に確認しておきたいことは、『何を』『いつ』『どの形で』受け取る予定なのかを整理することです。制度を細かく覚えるよりも、まず全体像を把握することが重要になります。

最初に行いたいのは、会社の退職金制度とiDeCoなど、自分が受け取る予定の退職給付をすべて書き出すことです。一時金なのか年金なのか、受取開始年齢はいつかを一覧にするだけでも、判断材料が整理されます。そのうえで、一時金と年金形式それぞれの税金や社会保険料への影響を確認していきます。

次に意識したいのが、受け取る順番と時期です。iDeCoと会社の退職金の両方がある場合、受取時期が近いと退職所得控除が調整され、税負担が増えることがあります。2026年以降は調整期間が10年に延長されるため、受取間隔をどうするかは早めに検討しておく必要があります。

最後に、判断に迷う場合は『専門家に相談する』ことも大切です。退職金は一度の選択で影響が長く続くお金です。加えて、退職所得控除の調整期間などは、制度として非常に複雑であり、個別ケースになることが多くあります。退職前の余裕があるうちに、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することで、後悔のない選択につながります。事前準備こそが、老後資金を守る最大のポイントと言えるでしょう。」

退職金の賢い受け取りで手取りを最大化しよう

退職金の受け取り方によって、税負担や社会保険料の掛かり方が大きく変わるため、手取り額にも大きな差が生まれます。特に一時金での受け取りは税制優遇が手厚く、社会保険料の負担も軽いというメリットがありますが、その仕組みを知らずに年金形式を選ぶと、思わぬ負担増につながることも。

この記事で紹介したように、退職金の種類や受取時期、受け取り方を整理し、将来的な税金や保険料の影響を把握することが損を防ぐ第一歩です。さらに、複雑な制度については専門家の力を借りるのが安心です。これらの準備を通じて、老後資金を有効に活用し、安心できる生活設計につなげていきましょう。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)(@YoshitoFinance)

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。