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コンビニに『クレーンゲーム』を置いた店の“末路”…→処罰対象になる「違法なライン」とは?【弁護士が解説】

  • 2025.12.30
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「店舗の集客力を高めたい」「滞在時間を延ばしたい」――そんな狙いから、コンビニへのゲーム機を設置している店舗が増えてきています。しかし、その設置には「風営法」や「青少年保護条例」といった複雑な法的ルールが深く関わっていることをご存知でしょうか?

「知らなかった」では済まされず、最悪の場合は営業停止などの重い処分につながるリスクもあります。本記事では、ネット上の法律問題に詳しい寺林智栄 弁護士の解説のもと、コンビニにゲーム機を設置する際に絶対に押さえておくべき「法的リスク」と「事前のチェックポイント」を徹底解説します。安全な店舗運営のために、ぜひご一読ください。

風営法で規制されるゲーム機とは?設置前に知るべき基礎知識

---コンビニへのゲーム機設置を検討する際、風営法や青少年保護条例など、どのような法的規制が関わる可能性があるのでしょうか?

寺林智栄さん:

「コンビニエンスストアにゲーム機を設置することを検討する場合、まず注意すべきなのが風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(いわゆる風営法)との関係です。

一般に、風営法は「射幸心をそそるおそれのある遊技」を提供する営業を規制対象としています。たとえば、クレーンゲームやメダルゲームなどで、景品性が高いものや金銭的価値に近いリターンが得られる仕組みを備えたゲーム機を設置した場合、風俗営業に該当する可能性があり、都道府県公安委員会の許可や営業時間制限、設置場所に関する厳しい規制を受けることがあります。コンビニは本来、日用品販売を主とする業態であるため、こうした許可を前提とした営業形態との相性については疑問があるでしょう。

次に重要なのが、各自治体の青少年保護育成条例です。多くの自治体では、青少年が長時間滞留しやすい施設や、夜間に遊技性の高い設備を設置することについて、立入制限や設置制限を設けています。コンビニは24時間営業で、未成年者の利用も非常に多いため、ゲーム機の内容や稼働時間によっては、「青少年の健全育成を阻害するおそれがある」と判断される可能性があります。特に、深夜帯でも自由に利用できるゲーム機は、条例違反として行政指導や是正勧告の対象となることがあります。
さらに、ゲーム内容によっては賭博罪(刑法)や景品表示法との関係も検討が必要です。参加料と引き換えに偶然性によって利益が得られる仕組みになっている場合、賭博と評価されるリスクがありますし、景品の表示や提供方法によっては不当表示とされるおそれもあります。」

青少年保護条例の影響とは?未成年者利用と深夜稼働の注意点

---ゲーム機が子どもや若者へ与える影響も心配です。青少年保護条例はどのように関係してくるのでしょうか?

寺林智栄さん:

「コンビニにゲーム機を設置する場合、最大の実務上リスクは、「意図せず違法状態に陥ってしまうこと」にあります。特に風営法や青少年保護条例は、ゲーム機の種類や運用方法によって適用関係が変わるため、事前確認を怠ると、営業停止や撤去命令といった重大な不利益を受けかねません。

まず、風営法上のリスクとして重要なのは、そのゲーム機が「射幸心をそそる遊技」に該当するかどうかです。たとえば、クレーンゲームであっても、景品が高額であったり、現金同等物(換金性の高い商品券やポイント等)を提供する仕組みがある場合には、風俗営業(8号営業など)に該当すると判断される可能性があります。この場合、都道府県公安委員会の許可が必須となり、営業時間や設置場所に関する厳格な制限が課されます。許可を得ずに設置・運営した場合は、無許可営業として処罰対象となるおそれがあります。

次に、青少年保護条例に基づくリスクです。多くの自治体では、青少年が自由に立ち入れる施設において、遊技性の高い機器を設置すること自体を問題視しています。特に、深夜帯に未成年者が利用できる状態でゲーム機を稼働させている場合、先ほども述べたとおり、条例違反として行政指導や改善命令を受けることがあります。そのため、年齢制限の明示、利用時間の制限、深夜帯の稼働停止など、運用面での対策が求められます。

さらに、先ほども述べたように、ゲーム内容によっては刑法上の賭博罪や景品表示法に抵触するリスクも否定できません。参加費を支払わせた上で、偶然性により経済的利益が得られる構造になっている場合、賭博と評価される可能性があります。また、景品の価値や獲得確率について誤解を招く表示を行えば、消費者庁から指摘を受けることもあります。

以上を踏まえると、コンビニにゲーム機を設置する前には、①ゲーム機の種類と仕組み、②景品性・換金性の有無、③利用対象(年齢)と利用時間、④設置場所の形態を整理したうえで、風営法上の許可が必要か、自治体条例に抵触しないかを事前に確認することが不可欠です。判断が微妙なケースでは、警察(生活安全課)や専門家に事前相談を行うことが、リスク回避の観点から現実的な対応といえるでしょう。」

賭博罪や景品表示法にも注意!設置で問題になりやすいケースとは

---コンビニへのゲーム機設置を検討する事業者が、法的トラブルを避けるために最初に確認すべき重要なポイントを教えていただけますでしょうか。

寺林智栄さん:

「コンビニにゲーム機を設置することを検討する事業者が、法的トラブルを避けるために最初に確認すべき重要なポイントは、「このゲーム機は、そもそも設置してよい種類のものか」という点に尽きます。設置後の運用で工夫すれば問題を回避できるケースもありますが、ゲーム機の性質自体が法規制の対象となる場合、後からの修正では対応できないことも少なくありません。

第一に確認すべきは、射幸性・景品性の有無です。プレイヤーが金銭を投入し、偶然性によって利益や景品を得る仕組みになっていないか、また、景品が高額であったり、現金や換金性の高い商品券・ポイント等に近い価値を持っていないかを慎重に検討する必要があります。ここを誤ると、風営法上の許可が必要な営業に該当したり、刑法上の賭博と評価されるリスクが生じます。

第二に、利用者の年齢層と利用時間帯の確認が不可欠です。コンビニは未成年者の利用が多く、かつ24時間営業であるため、青少年保護条例との関係は避けて通れません。深夜帯でも自由に遊べる状態になっていないか、年齢制限や注意表示が適切に行われているかなど、条例上問題とされやすい運用になっていないかを事前に想定する必要があります。

第三に、設置場所と店舗形態も重要なポイントです。ゲーム機が店舗の目立つ場所に常設され、利用者が長時間滞留する状況が生じると、「本来の業態を逸脱している」と判断される可能性があります。特に、複数台を設置したり、専用スペースを設ける場合には、風営法上の評価が変わることもあります。

第四に、許認可・事前相談の要否です。判断が微妙なケースでは、「許可が不要だろう」と自己判断せず、事前に警察(生活安全課)や自治体窓口、専門家に相談することが極めて重要です。事前相談を行っていれば、仮に問題点を指摘されたとしても、設置前に是正でき、違法状態に陥るリスクを大きく減らすことができます。

このように、コンビニへのゲーム機設置を検討する際は、①ゲーム機の性質、②射幸性・景品性、③青少年への影響、④店舗形態、⑤許認可の要否という基本ポイントを最初に整理することが、法的トラブルを回避するための最も確実な第一歩といえます。」

コンビニへのゲーム機設置は事前確認が命!トラブル回避の第一歩

今回の取材を通じて明らかになったのは、コンビニにゲーム機を設置する際には、風営法や青少年保護条例、さらには賭博罪や景品表示法という複数の法律・規制が絡むこと、そのために設置前の慎重な確認が不可欠であるという点です。

特に、ゲーム機の種類や景品の内容、利用時間、利用者の年齢層、設置場所の形態といったポイントを整理して判断することが重要です。

また、不明確な場合は自己判断せず警察や専門家に事前相談をすることで、違法状態に陥るリスクを大きく減らせます。適切な対応は事業者の安心な営業のために不可欠であり、これから設置を検討する方は必ず基礎の確認を怠らないようにしましょう。


監修者:寺林智栄
2007年弁護士登録。札幌弁護士会。2013年頃よりネット上で法律記事の作成を始める。Yahoo!トピックスで複数回1位獲得。読んでくださる皆さんがわかりやすい解説を心がけています。