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「かえって食費を増やす」節約のプロが指摘。“週1回のまとめ買い”に潜む落とし穴…「節約にならない買い物」の特徴とは?

  • 2025.12.30
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

まとめ買いは一度に1週間分の食材を買い揃え、下味冷凍や小分け保存を駆使して平日の調理を楽にし、食品ロスも減らせる節約テクニックとして注目されています。でも、本当に簡単にできるのでしょうか?

「つい買いすぎてムダにしてしまった」「予定外の出費がかさんだ」などの悩みをよく耳にします。この記事では、まとめ買いを成功させるために避けたい失敗やコツを、消費生活アドバイザーの丸山晴美さんに詳しく伺いました。

まとめ買いとは?そのメリットと基本のやり方

---スーパーでのまとめ買いにおける最も根本的な判断ミスや心理的要因は何だとお考えでしょうか?

丸山晴美さん:

「一般的なまとめ買いとは、1週間分程度の食材を1日でまとめて買い、それをその日のうちに小分け冷凍や下味冷凍、複数のお惣菜を作り、冷凍した食材などを使って、さまざまな料理に使い回しながら献立を作り、1週間で使い切るテクニックのことです。

これらは、上手にやりくりをすれば、ムダな食材の購入や食品ロスを減らせ、平日の調理時間を減らせるなどのさまざまな節約効果が期待できます。

しかし、これは簡単なことではありません。よくある失敗例を挙げると、1日で1週間分の食材をまとめ買いをするため、車が必要になったり、休日に家族と買い物へ行くことでレジャーのようになってしまい、必要以上に買い物をしてしまったり、食材を買う以外にもあれこれ出費をしてしまい、結果的に買い物に疲れてしまい帰宅後の保存や作り置きの時間と体力がなくなってしまい、外食をして帰宅するなど予定外の出費が増えてしまうことになってしまうことも。

また、必要なものが安くなっていなかったり、別の日の特売品が買えないことで、購入費用が予想外に高くなってしまうケースも。さらに必要かどうかわからないけれど、必要かも知れないと、「かもしれない買い」をして、買いすぎてしまい、結果的に大量の食材が冷蔵庫に入りきれなくなり、食材をムダにしてしまったり、セカンド冷蔵庫の購入を検討するなど、節約のつもりがかえって余分な出費につながることがあります。」

まとめ買いでありがちな失敗例と注意点

---まとめ買いで節約しているつもりが逆に食費が増えてしまう家庭に共通する買い物の仕方には、どのような問題があるのでしょうか?

丸山晴美さん:

「節約をしているつもりが、逆に食費が増えてしまう例としては、必要以上に食材を買い込んでしまい、食べきる前に食材が傷んでしまって泣く泣く処分したり、せっかく下味冷凍や小分け冷凍をしても解凍を忘れてしまい、フードデリバリーを頼んでしまったり、作りたかったおかずが作れずに、食材をうまく使い切れなかった…なんてこともあるでしょう。

また、冷凍をすればいつまでも長持ちするという過信で、いざ食べようと解凍したら冷凍焼けや冷凍臭で食べられずに棄ててしまうなんてことも。
さらに、買った食材でその日の献立を考えたり、作り置きを作ってもいつも同じような食事でマンネリ化してしまい、別にお惣菜を買ってしまったり、外食をしてしまうなどうまく計画的に食材を使い切れていない傾向があります。

他にも、お得にまとめ買いをしているつもりでも、使い慣れない食材や見切り品を大量に買ってしまい、すぐに傷んでしまったり、使いなれないため、調理に手間取ったり、食べ方がよくわからずに結局処分してしまうといった失敗もあります。

また、食費が増えてしまう原因としては、肉や野菜、大豆製品といった原材料系の食材の購入が少なく、インスタント食品や冷凍食品などの加工食品が多く、家族の誰かが食べるだろう、飲むだろうと、お菓子やジュース、お酒といった嗜好品を買い込んでいる可能性があります。
これでは、食費を節約するつもりがかえって食費を増やしてしまうでしょう。」

まとめ買いを上手に続けるコツとおすすめの方法

---まとめ買い初心者におすすめの方法は?無理なく続けるポイントとは何でしょうか?

丸山晴美さん:

「まとめ買いに向いている人は、1週間分の食材を食材それぞれの消費期限や賞味期限を考えながら献立を考えて、最後まで無駄なく食べきれるように、食材の組み合わせができる=料理のレパートリーが豊富かつ、食材がなければ、別の食材で代替するといった術も知っているといったある意味上級テクニックを持っている人です。

これらのテクニックを難しいと考える方は、「3日に1回程度のプチまとめ買い」をおすすめします。1週間分まとめ買いには、さまざまなテクニックと時間が必要ですが、このプチまとめ買いなら、冷蔵庫の在庫を見ながら、3日程度分の食材を買うだけです。これなら、セール日にあわせて買い物も可能でしょう。

その際にやっておくと良いことは、「予算を決めて、買うものをメモに残し、一人で空腹時を避けて午前中に買い物へ」行きましょう。そうすることで、冷静かつ無駄の少ない買い物をすることができます。

もし、これらが難しいと感じるときは、ネットスーパーの利用をおすすめします。自宅で在庫を見ながら、必要なものを注文するだけで、指定時間帯に自宅まで届けてくれるというサービスです。これなら、車がなくても、家族総出で買い物へ行かなくても、必要なものは届けてくれるので、小分け冷凍やお惣菜を手作りする体力と時間も残るでしょう。おすすめの使い方としては、週1回は、ネットスーパーで、もう1回は、近所のスーパーで買い出しという方法もいいですね。

また、まとめ買いをする際は、日持ちがするものと、そうでないものの比率もよく考えて、魚など生ものはその日に食べる分だけ、冷凍できるものは1週間~遅くとも1カ月以内に食べきれる分だけ、冷蔵室の食材は3日から1週間以内に食べきるといったルールを作って、冷蔵室と冷凍室のサイクルを作るようにしましょう。」

ムダなくラクにつづけられるまとめ買いを目指して

まとめ買いは正しく行えば効率的な節約や食品ロス削減に大変効果的ですが、テクニックや計画性が求められ、初めての方には難しさも伴います。

まずは「3日に1回のプチまとめ買い」から始めて、買うものリストや予算を決めたり、空腹時を避けた買い物の工夫から実践してみましょう。ネットスーパーの活用も時短と無駄買い防止に役立ちます。

一歩ずつ無理なく習慣化し、冷蔵庫内の食材がスムーズに回るサイクルをつくることが、長続きの秘訣です。毎日の献立づくりと食費管理がラクになり、節約効果がしっかり実感できる生活が手に入るでしょう。


監修者:丸山晴美(ファイナンシャルプランナー(AFP) 消費生活アドバイザー)
22歳の時に節約に目覚め会社員として1人暮らしをしながらも1年で200万円を貯め、26歳で住宅を購入した経験がメディアに取り上げられ、2001年に節約アドバイザーとして独立。食費や通信費など身の回りの節約術やポイ活、資産運用のアドバイスまで幅広く発信。著書・監修書に「大人のおしゃれ手帖」特別編集年間100万円!がんばらなくても貯まるお金の習慣(宝島社)など多数