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「わずかな額しか戻らない」ロマンス詐欺に遭った人の“末路”。→騙された後に待つ、“残酷な現実”とは?【弁護士が解説】

  • 2026.1.6
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

ロマンス詐欺や投資詐欺の被害に遭った際、誰もが願う「お金を取り戻したい」という切実な思い。しかし、弁護士に依頼すれば本当にお金は戻ってくるのでしょうか?

本記事では、ベリーベスト法律事務所 齊田 貴士 弁護士が被害回復の厳しい現実を徹底解説します。犯人が外国籍や暗号資産を利用している場合、高額な依頼料を払っても「費用倒れ」に終わる可能性が高い理由とは。さらに、被害者の弱みに付け込む「二次被害」の実態や、詐欺で負った借金の法的な扱いについても言及します。甘い言葉に惑わされず、これ以上の被害を防ぐために知っておくべき、現実的な対処法をお伝えします。

詐欺被害金の回収可能性はどれくらい?

---ロマンス詐欺による被害に気づいて弁護士に駆け込んでも、実際にお金が戻ってくる確率はどれくらいなのでしょうか?特に相手が外国籍や暗号資産(仮想通貨)を利用している場合、高額な着手金を払って依頼しても『費用倒れ』に終わってしまうケースが多いというのは本当ですか?

齊田 貴士 弁護士:

「率直にいってかなり低いといっていいと思います。仮に、運良く戻ってきたとしても、到底満額とはいかず、ごく少額となる場合が多いと思います。

特に相手が外国籍や暗号資産(仮想通貨)を利用している場合、高額な着手金を払って依頼しても『費用倒れ』に終わってしまうケースが多いというのは、以下の理由から本当だと思います。

まず、相手が外国籍である場合、国際送金により捜査の範囲が広範に及ぶことに加え、その送金先の口座が第三者から買い取ったもの(その第三者は事情を知らず口座売買しているので犯人の情報を知らないし、口座売買に手を出すほどなので、資力も無く、その第三者に対し、被害回復の請求をしても回収可能性は低い。)で足取りが掴みにくく、犯人を割り出すこと自体が難しいです。万が一、割り出せたとしても、海外にいるものを相手に、交渉や訴訟を行っていくことは手間や時間、金銭もかかることに加え、仮に裁判で勝訴したとして、任意に支払わないでしょうから強制執行という話になりますが、海外に保有する相手の財産の調査自体が困難で実現可能性がありません。

また、暗号資産(仮想通貨)を利用している場合、暗号資産の有する匿名性、分散型台帳技術(ブロックチェーン)、ミキシング(タンブリング)サービス(資金の出所を隠蔽するため、複数の異なるユーザーの資金を混ぜ合わせるサービス)、プライバシーコイン(取引金額や送金者・受金者を意図的に隠すように設計された仮想通貨)といった事情から、犯人にたどり着くことは困難です。たどり着いたとして、上記のように回収可能の実効性は、現状だと低いです。」

詐欺被害回復の依頼で注意すべきポイントは?

---詐欺被害者を狙って、『奪われた金を取り返します』と近づく怪しい探偵業者や偽の法律事務所による『二次被害』が急増していると聞きます。藁にもすがる思いの被害者からさらに手数料を搾り取る、悪質な手口や見分け方について教えてください。

齊田 貴士 弁護士:

「まず手口としては、探偵や弁護士、警察官などになりすまして「絶対に取り返せる」、「●●円の回収は保証する」、「成功率●%の実績、回収実績●円」と成功を保証ないし誇示して、金銭の支払いを誘因してくる場合が考えられます。
また、SNSや掲示板の被害者コミュニティを悪用し、共感するように近付いてきて、いい弁護士や探偵を紹介するなどと言って、紹介料として金銭を詐取したり、グルになっている弁護士や探偵と手数料や着手金と銘打ってを詐取したりしてくることもあります。

見分ける方法としては、まず「絶対」、「保証」などと言ってくる場合には注意したほうが良いです。また、実績を誇示してくる場合にも、それは純粋にロマンス詐欺に関するものなのか、具体的にどのような事例でどのような手法で取り返せたのか、それが本件では妥当するのか、どのようなリスクや見通しが考えられるのか、具体的にどのような手続きで取り戻そうとしているのかなど詳細に確認することは有効だと思います。

さらに、自分からアプローチしたのではなく、相手から被害救済という甘い言葉で近付いてきた場合には注意したほうがいいと思います。なぜなら、相手から近付いてきたということは、自分の名簿や被害情報をあらかじめ知って、心にスキができやすいと近付いてきている可能性があるからです。」

詐欺被害の借金はどう扱うべきか?

---詐欺被害に遭い消費者金融やローンで借金を抱えた場合、その返済義務はどうなるのでしょうか?

齊田 貴士 弁護士:

「詐欺被害に遭ったからといって、そのことを理由に消費者金融から借りた債務やローンが無くなったり、救済されたりすることはありません。当然ですが、何もしなければ、消費者金融やローンに対する返済義務は生じます。

なぜなら、仮に『詐欺』という事実だけにチャラになる場合、お金を貸した側からすると、自分には何の落ち度も無く、ビジネスや善意で貸したのに、自分とは関係のない事情で、貸したお金の返済義務が無いとされてしまうとたまったものではないですし、ビジネスないし取引の安全が阻害されるからです。

犯人から取り戻せればそのお金で借金を返済できますが、先に述べた通り、それは現実的ではありません。

そのため、自力で返済する、または弁護士を利用して、①任意整理(事後の利息を発生しない状況にして分割で返済する)②個人再生(借金の一部を免除してもらい、残りを3年ないし5年で返済していく裁判所を介した手続き)、③自己破産(借金を免責してもらう裁判所の手続き)で何とかするしかありません。

例えば、自身の家計収支と照らして分割による返済が現実的で無い場合、借金の総額が過大で、①、②による返済が不可能である場合には③自己破産を選択せざるを得ないと思います。」

詐欺被害からの回復は難しい、でも冷静な対応が重要

詐欺被害金の回収は、特に相手が海外の口座や暗号資産を利用している場合、現実的にはごくわずかな額しか戻らないケースが多いことがの齊田 貴士 弁護士の指摘からわかりました。

また、「絶対に取り戻せる」といった甘い言葉をかけて近付いてくる業者には警戒が必要です。詐欺被害による借金があっても、それが自動的に免除されるわけではなく、返済義務は継続します。

そのため、任意整理や個人再生、自己破産など法律に基づいた適切な手続きを検討することが重要です。詐欺被害に遭ってしまったら、一人で悩まず、信頼できる専門家に相談し、冷静かつ現実的な選択肢を探っていくことが、被害の長期化を防ぐためにも欠かせません。


監修者名:ベリーベスト法律事務所 弁護士 齊田貴士

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神戸大学法科大学院卒業。 弁護士登録後、ベリーベスト法律事務所に入所。 離婚事件や労働事件等の一般民事から刑事事件、M&Aを含めた企業法務(中小企業法務含む。)、 税務事件など幅広い分野を扱う。その分かりやすく丁寧な解説からメディア出演多数。


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