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「賃貸の退去費用」を見て絶句。回復費で“高額請求”…→不動産会社が明かす、敷金が返ってこない人の「NG行動」とは?

  • 2026.1.2
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

賃貸物件の退去時に、高額な原状回復費用の請求を受けて驚いた経験はありませんか?「なぜこんなに請求されるのか」と疑問を抱く人は多いでしょう。

しかし、費用が高くなる背景には「部分補修では元に戻らない状態」や、目に見えないニオイの問題など、専門的な判断基準があります。この記事では、合同会社ゆう不動産代表の岩井佑樹さんの見解をもとに、原状回復費用が高額になりやすい理由と、その対策について詳しく解説します。正しい知識を持つことで、トラブル回避や請求内容の見直しも可能になりますので、ぜひ最後までお読みください。

壁の穴や汚れは「点?」それとも「面?」原状回復費用の見極めポイント

---『これくらいの画鋲の穴なら大丈夫』『小さなシミだからバレない』と入居者が軽く考えていても、実は壁紙全面張り替えの原因となり、高額請求に直結してしまう『NG行動』の代表例は何でしょうか? 決定的な汚損ポイントを教えてください。

合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さん:

「高額請求につながりやすいのは、結果として部分補修では元に戻らない状態になっているかどうかです。

原状回復では、傷や汚れが「点」で済んでいるのか、「面」として残っているのかが、判断の分かれ目になります。

典型的なのが、壁の使い方です。画鋲やピン自体は、通常の使用範囲であれば経年劣化として扱われるケースが一般的です。しかし、同じ壁面に多数使用されていたり、装飾目的で長期間固定されていたりすると、穴が集中して残ります。この状態では補修跡が目立ちやすく、部分補修では対応できません。その結果、一面まるごと張り替えが必要と判断され、原状回復費用が発生することがあります。

もう一つ多いのが、汚れやシミの扱いです。水はねや皮脂汚れ、飲み物の飛散などが輪ジミや変色として残っている場合、清掃では落ちないと判断されます。さらに、借主自身が強く拭いたことで色ムラや毛羽立ちが生じると、善意であっても修復は困難になり、結果的に全面張り替えの対象になります。

敷金が返ってこない部屋に共通する決定的な汚損ポイントは「次の借主が通常の清掃や簡単な補修では生活できない状態が残っていること」です。

具体的に以下のような条件が重なると、経年劣化に該当する可能性は低くなり、敷金は原状回復費用に充当されやすくなります。

・穴や汚れが部分的ではなく、面として広がっている
・補修跡が目立ち、美観が回復しない
・原因が故意や過失、または管理不足と判断できる

軽く考えた小さな行為が積み重なり、原状回復の線を越えてしまっていることが、現場で繰り返し見てきた共通点です。」

部屋のニオイ問題が退去費用に影響?原因と対応のポイント

---目に見える傷以上に、退去費用を跳ね上げると言われるのが『ニオイ』です。タバコはもちろんですが、ペットやアロマ、料理の油煙などが染み付いている場合、消臭作業やオゾン脱臭などで費用はどこまで膨らむのでしょうか? プロが『これは全額借主負担になる』と判断するラインを教えてください。

合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さん:

「部屋のニオイは目に見えないため、住んでいる本人は慣れて気づきにくい一方、第三者にははっきり分かります。そのため、退去立ち会いの場で初めて問題として表面化するケースが少なくありません。

特に問題になりやすいのは、ニオイが壁紙の表面だけでなく、天井や床、建具、さらにはエアコン内部まで浸透している状態です。この段階になると、通常のハウスクリーニングでは対応できず、専門的な消臭処理が必要になります。

実務上、原因として多いのは次のような生活習慣です。

・室内喫煙(電子タバコを含む)
・ペットの体臭や排泄臭
・アロマやお香の継続使用

こうしたニオイが残っている場合、消臭作業やオゾン脱臭が行われ、1回あたり3〜5万円程度の費用が追加されることがあります。さらに、ニオイが壁紙に染み付いていると判断されると、全面張り替えが必要となり、退去費用が10〜20万円を超えるケースも珍しくありません。

不動産会社が「全額借主負担」と判断する基準は明確です。それは、次の借主が住める状態にするために、通常清掃だけではニオイが除去できないかどうかです。喫煙やペット、香りの強い生活習慣によるニオイ残りは経年劣化とは見なされにくく、借主の使用責任として扱われるのが一般的です。」

高額請求は避けられる?原状回復ガイドラインを味方にする交渉術

---不当に高い請求書が届いた時、私たちが泣き寝入りせずに交渉するための『知識の武器』はありますか?

合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さん:

「高額な請求書を前にすると、「もう仕方ない」と諦めてしまう方は少なくありません。しかし、正しい知識があれば、請求内容を見直してもらえる余地は十分にあります。その際の最大の“知識の武器”になるのが、国土交通省が示している原状回復ガイドラインです。

このガイドラインでは、「経年劣化」と「借主の過失」が明確に区別されています。普通に生活していれば避けられない劣化については、原則として貸主負担とされています。

代表的な例が、家具を置いたことによる床の凹みや、日差しによる壁紙の色あせです。これらは借主が注意していても防げないため、基本的には借主責任にはなりません。

不当に高い請求に対して重要なのは、感情的に否定することではなく、根拠をもとに冷静に確認する姿勢です。実務で効果が出やすいのは、次のような聞き方です。

・この項目は、ガイドライン上の経年劣化に該当しませんか
・全面張り替えが必要と判断した理由は何ですか
・耐用年数や使用年数を考慮した金額になっていますか

このように具体的に確認するだけで、請求内容が修正されるケースもあります。さらに、入居時の室内写真やチェックリスト、管理会社とのやり取りの記録が残っていれば、交渉の説得力は大きく高まります。

退去時のトラブルは、「知っているかどうか」で結果が大きく変わります。言われるままに受け入れるのではなく、ガイドラインを基準に一つずつ確認していくことが、泣き寝入りを防ぎ、敷金を守るための現実的な対応です。」

知識を武器に、納得できる原状回復費用を実現しよう

退去時の原状回復費用は、壁の穴や汚れ、ニオイの範囲と程度によって大きく変わります。特に「点」ではなく「面」で残る傷や汚れや、専門的な消臭処理が必要なニオイ問題は、高額請求につながりやすい点を理解しましょう。

しかし、国土交通省の原状回復ガイドラインを正しく理解し、冷静に請求内容を確認・交渉することで、不当な請求を避けることができます。入居時の写真や記録をきちんと残すことも強い味方です。

大切なのは、「知らなかった」では済まされないトラブルを避けるために、早めに知識を身につけて備えること。これが、退去時のトラブルを回避し、敷金を守るための最も確実な方法です。


監修者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹
合同会社ゆう不動産代表。『売る力×伝える力』を軸に、不動産の価値を最大化している。不動産売買の専門家として現場に立ちながら、不動産分野に特化したWebライターとして1,000本以上の記事を制作。売却査定から仲介・買取まで幅広く対応し、物件の魅力を正しく伝えることで「早く・高く・安心」の取引を実現している。派手な宣伝よりも、目の前の一人に誠実に向き合う姿勢を大切にしている。地域に寄り添いながら、不動産とWebを掛け合わせた独自の発信力で、オーナーに最良の選択肢を示すことが使命。「売買専門×情報発信」の融合ビジネスで、不動産の価値を丁寧に引き出している。