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『100万円が82万円の価値に』お金のプロが試算。お年玉を“貯金し続けた親”の末路…10年後に気づく「残酷な真実」とは?

  • 2025.12.31
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

子ども名義の預金口座に、お年玉やお祝い金をそのまま貯めていませんか?

見た目の金額は増えなくても、実はインフレの影響でお金の価値がじわじわと減っているかもしれません。特に最近の物価上昇を実感している家庭では、「なぜ通帳の数字は変わらないのにお金の価値が下がるのか?」という疑問を持つ方も多いでしょう。

今回は、金融機関勤務の現役マネージャーの中川佳人さんに、インフレの実態とそれが子どもの資産に与える影響を分かりやすく解説していただきました。親が今日からできる賢い対策についてご紹介します。

インフレ下で子どもの預金はなぜ目減りするのか?

---インフレが進行する環境下で、子ども名義の預金口座に現金を貯め続けることで実質的な資産価値が目減りする仕組みについて、教えていただけますでしょうか?

中川佳人さん:

「インフレが進行する環境では、子ども名義の預金口座に現金を貯め続けていても、実質的な資産価値は少しずつ目減りしていきます。通帳に記載されている金額は変わらなくても、物価が上昇すれば同じ金額で購入できるモノやサービスが減ってしまうからです。

特に注意したいのが、物価の上昇率が預金金利を上回る状態が続くケースです。仮に年0.3%の預金金利がついていたとしても、物価上昇率が年2%であれば、実質的には毎年、預金の価値が目減りしている計算になります。通帳の金額は減っていないため安心してしまいがちですが、実際には購買力が弱まっている状態です。

特に子どものお年玉のように、使うまでの期間が長いお金ほど、インフレの影響を強く受けやすくなります。『元本割れしないから安心』『減っていないから大丈夫』と考えて預金に置いたままにすることが、結果的に資産価値を減らしてしまうことにもつながります。

また近年は、食品や光熱費、教育関連費用など、生活に身近な支出ほど値上がりを実感しやすく、インフレの影響は家計全体に及んでいます。このような環境では、現金を長期間通帳に寝かせておくこと自体が、資産価値の目減りにつながる点にも注意が必要です。

大切なのは、金額そのものではなく、そのお金で将来何が買えるのかという視点を持つことです。インフレ下では、預金だけで資産を守るのは難しい場合があることを理解して対策をしていきましょう。」

インフレ率2%が続くと10年後の預金はどれくらい減る?

---インフレ率2%が続いた場合、普通預金に10年間預けた100万円の実質的な購買力はどの程度目減りするのでしょうか?

中川佳人さん:

「インフレ率が年2%で10年間続いた場合、普通預金に預けた100万円の実質的な購買力は、約82万円相当まで低下します。預金残高が減るわけではありませんが、物価の上昇によって同じ生活水準を維持するために必要なお金が増えてしまうため、このような現象が起きてしまいます。

計算上は、100万円を『1.02の10乗』で割ることで、約82万円という数字が算出されます。現在の100万円を持ち続けていても、10年後には約82万円のものしか買えない計算となるのです。

インフレは複利で進行するため、期間が長くなるほど受ける影響は大きくなります。子どものお年玉や教育資金のように、すぐに使う予定のないお金ほどインフレの影響を考慮して対策をしておきましょう。短期間では大きな変化を感じにくくても、10年、15年と時間が経つにつれて、実質的な価値は確実に目減りしていきます。通帳の数字が変わらないことで安心してしまいがちですが、それは『見た目が変わらないだけ』であり、実質的な価値は減少しているのです。

インフレ時代においては、そのまま現金を置いておくこと自体がリスクになる場合があります。金額の増減だけでなく、そのお金で将来どれだけの価値を保てるのかという視点を持つことが、資産を守るうえで欠かせない考え方です。」

子どものお金をインフレから守るための具体的な対策は?

---子ども名義の通帳に貯めたお年玉を、インフレによる目減りから守るために、親が今日からできる最も現実的な運用の第一歩を教えていただけますでしょうか。

中川佳人さん:

「子ども名義の通帳に貯めたお年玉をインフレによる目減りから守るために、親が今日からできる最も現実的な第一歩は、預金だけに頼らず、お金の置き場所を分けて考えることです。すべてを運用に回す必要はなく、目的や使う時期に応じて役割を分けることが重要になります。

具体的には、当面使う予定のないお金については、広く分散された低コストのインデックスファンドを活用し、長期的な視点で運用する方法が有力な選択肢の一つです。インデックスファンドは、株式市場全体に分散投資する仕組みのため、インフレに伴う物価上昇に対応しやすい特徴があります。少額から始められる商品も多く、親が管理しながら無理のない範囲で続けやすい点もメリットです。

一方で、数年以内に使う可能性があるお金や、急な出費に備える資金については、預金として確保しておくことも大切です。教育費や習い事など、使い道がある程度決まっているお金は、安全性を重視して管理していきましょう。

大切なのは『預金か投資か』という二択で考えるのではなく、併用するという発想です。まずはお年玉の一部から、長期目線での資産形成を意識することが、インフレ時代に子どものお金を守るための現実的な第一歩と言えるでしょう。」

インフレ時代の子どものお金の守り方

今回の取材で分かったのは、物価上昇が続くインフレ環境下では、子ども名義の預金にお金をそのまま置いておくだけでは、実質的な資産価値が目減りしてしまうということです。通帳の数字は変わらなくても、将来的に同じものが買えなくなるリスクがあります。

そこで大切なのは、資金の目的や使う時期に応じて「預金」と「投資」をうまく組み合わせること。特に長期間使わないお金は、低コストで分散されているインデックスファンドなどで長期資産形成を目指すのが有効です。一方で、すぐに使う可能性のあるお金は預金として安全に確保しましょう。

「元本割れしないから安心」という考え方だけに頼らず、「このお金で将来どれだけの価値を守れるか」を意識することが、結果的に子どもの将来をしっかり支える資産形成につながります。今日からでも少しずつ始めてみましょう。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)(@YoshitoFinance

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。