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「そこにいたの?!」ドライバーが絶叫。→冬の夕暮れ時、子どもの事故率が上がる「条件」とは?【元警察官が解説】

  • 2026.1.3
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

冬の夕暮れ時、薄暗い歩道を歩く子どもがドライバーにとって非常に発見しにくいことをご存じですか?多くの方は「歩道を歩かせているから大丈夫」と思いがちですが、実はその時間帯は視認性が著しく落ちるため、交通事故のリスクが高まります。

どうして見えづらいのか?どんな工夫をすれば子どもの安全を守れるのか?今回は防犯インフルエンサーのりょうせいさんに詳しく聞き、冬の薄暮時における子どもの視認性とその対策について解説します。

冬の夕暮れ時は子どもが見えにくい?その原因とは

––『うちは歩道を歩かせているから大丈夫』と思っていても、冬の夕暮れ(薄暮)時、黒っぽい服を着た子供はドライバーからどれくらい見えにくいのでしょうか? ロービームの車が歩行者に気づいてからブレーキを踏むまでの『停止距離』と、実際に子供を視認できる『距離のギャップ(発見の遅れ)』について、具体的な数字で教えてください。

防犯インフルエンサー りょうせいさん:

「『歩道を歩かせているから大丈夫』と思っていても、冬の夕暮れ時(薄暮)は、ドライバーから子どもが非常に見えにくくなる条件が重なります。
一般的に、車の前照灯の照射距離は、ロービームで約40m、ハイビームでは約100mとされており、2倍以上の差があります。ただし、これはあくまで「照らしている距離」であり、実際にドライバーが「人がいる」と認識できる距離とは一致しません。

特に、冬場の薄暗い時間帯に黒や紺などの暗色の服を着た子どもは、背景に溶け込みやすく、数字で示される照射距離以上に発見が遅れる傾向があります。さらに、子どもは身長が低いため、車のライトが当たりにくく、ドライバーの視界に入りにくい点も見逃せません。

一方、停止距離については、一般的に時速60kmで走行している場合、ドライバーが危険を認識してから車が完全に止まるまでに、約40m前後が必要とされています。ただし、これは「すぐに気付けた場合」の目安です。実際には、発見が遅れれば遅れるほど、また速度が上がれば上がるほど、この距離はさらに伸びていきます。つまり、見えた距離と止まれる距離の間には、現実的には大きなギャップが生じやすいのです。

こうした数字を踏まえると、夜間はハイビームを基本に走行すること、そして夜間だからこそ速度を控えめにすることが、いかに重要かが分かります。同時に、歩行者側、とくに子どもが「早く見つけてもらえる工夫」をすることが、事故防止に直結するといえるでしょう。」

事故を防ぐには見つけやすさと運転者の意識がカギ

––親としては『汚れが目立たない色』を選びがちですが、子供の安全を最優先に考えるなら、アウターは何色を選ぶのが正解でしょうか? また、すでに暗い色のコートしか持っていない場合、100円ショップなどで買える『反射材(リフレクター)』を体の『どの部位』につければ、最もドライバーの目に留まりやすいですか?

防犯インフルエンサー りょうせいさん:

「子どもの安全を最優先に考えるのであれば、アウターの色は、できるだけ黄色や黄緑、オレンジといった蛍光色を選ぶのが効果的です。これらの色は、人の目が感知しやすい波長で、薄暗い時間帯でも背景との差が出やすい特徴があります。

実際に、警察官の交通事故担当や工事現場など、危険を伴う現場では、視認性を高める目的で黄色系の服装が採用されることもあり、現場で実証されてきた色だといえるでしょう。

ただし、色だけで安全を確保できるわけではありません。すでに暗い色のコートしか持っていない場合は、反射材(リフレクター)を組み合わせることで、視認性を大きく高めることができます。特に効果的なのが、バッグやランドセルの背面です。子どもは背中を向けて歩く時間が長く、夜間は背後が暗くなりやすいため、反射材でその暗さを補うことができます。

次に有効なのが足元です。車のライトは下向きに照射され、歩行によって左右に動く足元は「人が歩いている」と認識されやすくなります。加えて、腕や手首など動きのある部分に反射材を付けることで、ドライバーの注意を引きやすくなります。反射材は1か所だけでなく、複数か所に付けることで、より高い効果が期待できるでしょう。」

子どもの視認性を高める服装と反射材の効果

––『目立つ服』は交通事故防止だけでなく、不審者などの犯罪抑止にも効果があると聞きます。なぜ犯罪者は、派手な色の服や反射材をつけた子供をターゲットにするのを避けるのでしょうか? 交通安全と防犯、両方の観点から『目立つこと』の重要性を解説してください。

防犯インフルエンサー りょうせいさん:

「私は、派手な色の服装や反射材は、交通事故防止だけでなく、防犯の面でも一定の効果があると考えています。理由は、犯人の視点に立つと分かりやすく、犯罪者は「目立ちたくない」「捕まりたくない」という心理を強く持っているからです。人目に付くことは、それだけでリスクになるため、できるだけ周囲に溶け込もうとします。

実際、警察官として現場を見てきた経験でも、自転車盗や車上狙いなどでは、暗い色の自転車や車が選ばれるケースが少なくありませんでした。明るい色のものは目立ちやすく、周囲の視線を集めやすいため、犯人にとっては避けたい対象になりやすいのです。

これを人に置き換えて考えても同じことがいえます。派手な色の服を着ている子どもと、暗い色の服を着ている子どもがいた場合、犯人からすれば、周囲に気付かれにくい暗い色のほうを選びやすくなるでしょう。目立つ服装や反射材は、「見られている状態」をつくり出し、犯罪者に近づきにくい条件を生み出します。交通安全と防犯の両面において、「目立つこと」は子どもを守る有効な工夫の一つだといえるでしょう。」

冬の薄暮時こそ「見える工夫」で子どもを守ろう

冬の夕暮れ時は、歩道を歩いていても子どもがドライバーに見えにくくなる非常に危険な時間帯です。車のライトの照射距離と実際の認識距離には大きな差があり、特に暗い服装や身長の低さが視認性をさらに悪くします。

そのため、夜間はドライバーがハイビームを基本とし速度を控えるなどの配慮が欠かせません。私たち歩行者側も、子どもの服装を黄色や蛍光色にする、反射材をランドセルや足元、動く部分に複数付けるなど、見つけてもらいやすい工夫が事故防止につながります。

さらに、こうした「目立つ」服装やアイテムは、防犯の面でも子どもを守る効果があります。目立つことで犯罪者から狙われにくくなるためです。冬の薄暮時には、交通安全と防犯の両面から「見える工夫」を実践し、大切な子どもたちの安全を守りましょう。


監修者:防犯インフルエンサー りょうせい(りょうせい 元生活安全課

元警察官(警察歴10年)。生活安全課で行方不明やDVなどの人身事案を担当し、防犯の広報や啓発活動にも携わる。現在は防犯アドバイザーとして活動し、Xや音声配信(StandFM)を通じて、日常生活に取り入れやすい防犯の工夫を発信している。