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「やっと報われた」麻酔を打って臨んだJ1昇格POで涙の椿直起、ジェフユナイテッド千葉とともにJ1へ「サポーターとも一つになれた」

  • 2025.12.14

[J1昇格プレーオフ2025決勝、ジェフユナイテッド千葉 1-0 徳島ヴォルティス、12月13日、千葉・フクダ電子アリーナ]

千葉がJ1昇格プレーオフ(PO)決勝で徳島を1-0で破り、17季ぶりのJ1復帰を果たした。

今季J2最終節で負傷し、J1昇格PO準決勝を欠場していたMF椿直起。

麻酔を打ってこの日の大一番に臨んだドリブラーは仲間たちと涙を流しながら、昇格の味をかみしめた。

涙を流した椿の覚悟

「やっと報われた」

J1復帰を告げるホイッスルと同時にネックウォーマーで顔をおおった椿。25歳の目から、歓喜と安堵(あんど)の涙があふれた。

今季リーグ戦全試合に出場し、千葉のリーグ戦3位フィニッシュに貢献した。左サイドを切り裂くドリブラーは、J1昇格POのキーマンとして期待されていたが、J2最終節のFC今治戦(5○0)で負傷。

前半終了のホイッスルと同時にピッチ中央で倒れこみ、そのまま担架で運ばれた。

同試合後は、痛めたと思われる右足首にアイシングを巻きながら「(J1昇格POに向けて)最大限の準備はしたい」と力強い言葉を残していたが、内心では欠場を悟っていた。

画像1: J2最終節の椿(写真:縄手猟)
J2最終節の椿(写真:縄手猟)

「正直、自分の中では『もう無理だな』と思っていました。だから仲間を信じて、決勝には間に合わせたいという気持ちで取り組んできました」

椿の想いも背負ってJ1昇格PO準決勝を戦った千葉は、RB大宮アルディージャに4-3で逆転勝ち。同試合をスタンドから見守っていた背番号14は、「なんとかしてチームのためにピッチに立ちたい」と決勝戦出場への準備を進めた。

ただ、痛みは残っていた。

小林慶行(よしゆき)監督にはトレーニングでのパフォーマンスを見た上で正当に評価してほしいと伝えた。また、メディカルスタッフらは椿の思いを汲んで、念入りなケアでサポートし続けた。

そして迎えた決戦前日。指揮官からメンバー入りを告げられた。

画像: 小林監督(写真:縄手猟)
小林監督(写真:縄手猟)

「麻酔もたくさん打って、もう気持ちの勝負だなと思っていました。一つ言えるのは、メディカルスタッフや、普段から自分をケアしてくれている人に、めちゃくちゃ感謝したいということ。

その人たちがいなければベンチに入ることは絶対にできなかったし、慶行さんもこの大事な試合でベンチに入れる決断をしてくれた。本当に感謝したいです」

イレブンは今季の千葉をけん引した背番号14をベンチに控えさせ、徳島との大一番に臨んだ。

ついに報われたドリブラーがJ1へ

指揮官からは「一皮むけた」と称され、千葉加入3年目にしてチームの中心選手として活躍していた椿だったが、ここまではもがき続けたキャリアを歩んできた。

J1横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2019年5月にトップチームデビューを果たしたが、同クラブでの日々は苦難の連続。同年に左反復性肩関節脱臼のケガを負うと、コンディションを戻しきれず。他クラブへのレンタル移籍を繰り返し、2023年にJ1リーグ未出場のまま横浜の名門を去った。

今季はこれまでの悔しさを晴らすシーズンとして、人一倍覚悟も大きかった。

「試合に出ているからこその責任も感じていました。今シーズンを通して僕が意識していたのは、自分がいいプレーをすることよりも、まずはチームのために走る部分。精神論になってしまいますが、技術的なことよりもチームのためという気持ちを一貫してきました」

ドリブラーとしての欲を捨て、守備に徹した試合もあった。この日もベンチから声を出して、仲間を鼓舞し続けた。

画像2: J2最終節の椿(写真:縄手猟)
J2最終節の椿(写真:縄手猟)

すべてはこのチームでJ1に戻るためだ。

「僕はまだ3年間しかいないですけど、3年間でこれだけこのクラブを好きになって、サポーターとも一つになれたと思うと…。でも僕よりも、サポーターやヨネくん(DF米倉恒貴)、ジェフをずっと応援し続けた人は、もっとすごい気持ちになっているんだろうな」

そしてついに待望の瞬間がやってきた。

後半24分にFWカルリーニョス・ジュニオのヘディング弾で先制した千葉は、最後までこの1得点を守り切って勝利。17季ぶりのJ1復帰をフクアリで決めた。

画像: 試合前にサポーターが披露したコレオ(写真:縄手猟)
試合前にサポーターが披露したコレオ(写真:縄手猟)

「あまりサッカーの神様とかは言いたくないですけど、きょうは本当に味方をしてくれたのかなって。本当に最高の気持ちです」と、椿にとってもこれまでの努力が報われた一戦だった。

来季はついにJ1で戦える。J2の中で屈指のドリブラーに成長した椿にとっても、自身の価値を証明する機会になるはずだ。

まずはケガを完治させて、待望のJ1デビューを飾りたい。

「サッカー選手である以上は、J1のピッチで躍動することは誰しもの目標だし、自分にとっても初めてのことになる。そこに高ぶる気持ちがあるので、ケガをちゃんと治した自分が、いままで育ててもらったクラブにどこまでできるのか、成長した姿を見せられればいいと思います」

来季はさらなる飛躍を遂げてみせる。

画像: J1復帰を喜ぶ千葉イレブン(写真:縄手猟)
J1復帰を喜ぶ千葉イレブン(写真:縄手猟)

「もう一つ、二つレベルの違う自分で出さないといけない」と、すぐさまJ1での戦いを見据えた椿。J1の猛者たちを抜き去るイメージはもうできている。

(取材・文:浅野凜太郎、写真:縄手猟)

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