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人間もゴリラも捕まえる『しりとりきんちゃく』って? 「たくさん笑って、言葉も覚える!」をコンセプトに描かれたユーモアあふれる絵本【書評】

  • 2026.5.13
しりとりきんちゃく 玉田美知子/KADOKAWA
しりとりきんちゃく 玉田美知子/KADOKAWA

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楽しみながら考え、言葉を覚えられる言葉遊びの定番「しりとり」。このままでももちろんドキドキわくわくできちゃうゲームですが、そこにもう一工夫加えると……?

「たくさん笑って、言葉も覚える!」をコンセプトに描かれた『しりとりきんちゃく』(玉田美知子/KADOKAWA)は、この「しりとり」を同様の特性を持つモンスターのように描き、よりユーモア溢れる冒険性を掛け合わせた新作絵本。著者の玉田美知子さんは、『ぎょうざがいなくなりさがしています』(講談社)で数々の新人賞を総なめにし、今大注目を浴びている話題の絵本作家さんです。

本作品は、公園である男の子が「しりとりきんちゃくが くるぞー! みんな にげろー!」と叫ぶシーンから始まります。この時点でもう、「しりとりきんちゃくって何だ?」「どういうこと?」と気になりますよね。現れたしりとりきんちゃくは、「しりとりの じゅんに みんな つかまえてやる!」「まずは しりとりの り から!」と一人で唐突にしりとりをはじめ、りんごを見つけると「みつけたぞ! りんご!」ときんちゃく(=自分)の中に放り込んでしまいます。

ここから、「ごりら」「ら・ふらんす」など、しりとりきんちゃくはしりとりが終わってしまう「ん」を避けながら次々とターゲットを追いかけ、捕まえて自身の中へ。大きなゴリラを軽々と放り込むしりとりきんちゃくに、ライオンも慌てて逃げ出す始末。ライオ“ン”でよかったね! その後スーパーマーケットを放り込んだときには、中にいたりんごやゴリラも思わずびっくり。いったいどこまで入るんでしょうね?

しかし、そんな無敵に見えたしりとりきんちゃくの暴走にもついに終わりがやってきます。周囲のあらゆるものを、“ん”を避けつつ取り込んでいくしりとりきんちゃくに勝つのは、いったいどんな相手なのでしょうか? その答えに、「これは納得の終わり方!」と大人の筆者も思わず感動してしまいました。

ただしりとりの順にきんちゃくへ放り込まれていくだけでなく、閉じ込められたりんごやラ・フランス、ゴリラの変化や行動にもぜひ注目してほしいのが本作。最初は慌てて泣いているものの、少し経つとみんな意外と呑気で笑ってしまいます。特にりんごとラ・フランス! この程よいゆるさと想像力を掻き立てられる描写は、子供と楽しむのにぴったりです。もしかしたら、しりとりきんちゃくの暴走はよくあることなのかもしれませんね。まずは本書を読んで、その後実際にしりとりをしながらきんちゃくに物を入れていくのも面白そうです。

本作は、著者である玉田美知子さんが作家の卵だった頃から温めていた作品で、満を持して発売となった思い入れの強い一作なんだとか。子ども心を持ち続ける玉田美知子さんならではのこの絵本なら、笑いながら自然と言葉への興味が広がること間違いなし! 自然とエンターテイメント性と教育的価値を備えられます。親子で一緒にドキドキしながら、いろんな角度で楽しめるゆかいな『しりとりきんちゃく』を、次の一冊に選んでみませんか?

文=月乃雫

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