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「絶対に自分が決めるから」DF河野貴志がJ1昇格POでリスクを冒した決勝点「どうしても引き分けは嫌で」ジェフユナイテッド千葉を勝利に導く

  • 2025.12.8

[J1昇格プレーオフ2025準決勝、ジェフユナイテッド千葉 4-3 RB大宮アルディージャ、12月7日、千葉・フクダ電子アリーナ]

千葉はJ1昇格プレーオフ(PO)準決勝で大宮と対戦し、4-3で逆転勝利した。

DF河野貴志はセンターバックで先発フル出場。3-3で迎えた後半42分にはコーナーキックからダイビングヘッドで決勝点を沈めた。

引き分けでも2014年ぶりとなるJ1昇格PO決勝に進めたが、「絶対に自分が決める」と得点後には喜びを爆発させた。

リスクを冒した決勝点

勝ち越し弾は、勝利への執念から生まれた。

「どうしても引き分けは嫌で、やっぱり勝ちたかった」

千葉のコーナーキックの場面で、河野が相手ボックス内で敵選手と駆け引きをしていたとき、試合は後半42分で3-3の状況だった。

今季J2を3位でフィニッシュした千葉はJ1昇格POのレギュレーションにより、引き分けでも決勝戦に進めた。だからこそ、スコアと時間を考えればリスクを冒さず、後方に枚数を残すこともできたはずだ。実際に、ボールをキープして時計の針を進めるべきだと考えていた選手もいた。

画像: コーナーキック時の河野(左、写真:縄手猟)
コーナーキック時の河野(左、写真:縄手猟)

しかし背番号28の頭には、ゴールしかなかった。

「もう1点を取りに行きたくて、ベンチを見ても『行ってこい』という感じでしたけど、相手だってどうしても点を決めないといけない状況だった。それでも絶対に自分が決めるから、後ろに同数の『守備でも頼むぞ』と言って、(相手のボックスの)中に入りました。

あとはキッカーの品田(愛斗)が素晴らしいボールをプレゼントしてくれたので、僕はしっかりと当てるだけでした」と、コーナーキックからダイビングヘッドをネットに突き刺した。

画像: 得点を決めて雄叫びをあげる河野(写真:縄手猟)
得点を決めて雄叫びをあげる河野(写真:縄手猟)

確かな自信を持ってJ1昇格PO決勝へ

3得点を先取される苦しい展開から、見事な逆転劇を披露した。センターバックで先発した河野は長短を織り交ぜたパスでビルドアップを活性化させ、守れば打点の高いヘディングとパワフルなタックルでチームを支えた。

「正直、3点目ってダメ押しのイメージがあるし、『マジか』とは思いました。でもまだ時間はあったし、1点を取ったら絶対に流れがこっちに来ると思っていた。全員が諦めなかったことが、結果につながったと思います」と、執念の4得点を奪ってみせた。

2019年にJ3ギラヴァンツ北九州でプロキャリアを始めた河野。2023年からはJ2ブラウブリッツ秋田に加入し、2シーズンでリーグ戦77試合に出場した鉄人だ。

今季序盤は試合に出られない日々が続いたものの、トレーニングから懸命にアピールを続け、第23節のモンテディオ山形戦(1○0)以降は、ほぼ全試合でスタメンフル出場を果たしている。

画像: パスコースを探す河野(写真:縄手猟)
パスコースを探す河野(写真:縄手猟)

ここまでJ1でのプレー経験はなく、J1昇格POも今回が初めてだった。それでも、これまで積み上げてきた経験が、確かな自信としてプレーに表れていた。

「(POは)みんな『緊張する』とか言うんですけど、僕は緊張とかあまりないです。どちらかというとここまでやってきたんだし、楽しみたい。自分のいつも通りのプレーをすれば、絶対にチームを勝たせることできると思っています」

河野の奪った4得点目により、落ち着いて試合を終わらせた千葉。試合終了後にはサポーターと喜びを分かち合い、今月13日午後1時5分にフクアリでキックオフする徳島ヴォルティスとのJ1昇格PO決勝の勝利を誓った。

フクアリで決勝戦を戦えるメリットはもちろん、引き分けでも17季ぶりのJ1復帰が決まる有利な状況だ。それでも背番号28の頭の中には、引き分けで昇格を決めるイメージは毛頭ない。

画像: ボールを持ち運ぶ河野(写真:縄手猟)
ボールを持ち運ぶ河野(写真:縄手猟)

この日のゴールを「記憶にも残りやすいし、本当に最高なゴール」と、自身のベストゴールに位置付けたが、「あと1試合あるので、まだ狙っていきます」と、河野は最終決戦で過去最高を更新する。

(取材・文:浅野凜太郎、写真:縄手猟)

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