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J1昇格POで3失点「俺、何やってんだ」ジェフユナイテッド千葉GK若原智哉が流した涙「一個乗り越えられた」

  • 2025.12.8

[J1昇格プレーオフ2025準決勝、ジェフユナイテッド千葉 4-3 RB大宮アルディージャ、12月7日、千葉・フクダ電子アリーナ]

千葉はJ1昇格プレーオフ(PO)準決勝で大宮と対戦。

3得点を先取される苦しい展開だったが、後半26分から同42分の間に4得点を奪い返して逆転し、2014年ぶりとなりJ1昇格PO決勝に進んだ。

この試合で先発フル出場したGK若原智哉は試合後に涙を流した。

画像: 試合終了後の若原(中央、写真:縄手猟)
試合終了後の若原(中央、写真:縄手猟)

よみがえった昨季の悔しさ

「俺、何やってんだ…」

絶望的な3失点目を喫したとき、若原の心は折れかけていた。

17季ぶりのJ1復帰を目指し、最多6度目のJ1昇格PO準決勝に臨んだ千葉。この日激突した大宮は今季J2での年間順位が6位だったため、3位でフィニッシュした千葉は引き分けでも決勝に進める状況だった。

だが、アドバンテージを生かせずに流れを奪われた。

前半20分にショートコーナーからのクロスボールをボックス内で折り返されて、ヘディング弾で先制されると、同32分にはミドルシュートから失点。

まずは同点に追いつこうと後半に入ったが、立ち上がりの同3分にショートコーナーからミドルシュートを左サイドネットに突き刺され、3失点目を許した。

画像: (写真:縄手猟)
(写真:縄手猟)

「セットプレーは何かやってくるだろうと共有していた中で、ショートを使って目線を変えられてしまい折り返された。あれだけフリーでクロスを上げられたら、どれだけ中がアラートに対応していても難しかったと思います。

ミドルシュートのところは反応できてたんですけど、2失点とも味方に当たってしまって、あとひと伸びができなかった」と唇をかんだ。

今季より千葉に完全移籍で加入した若原にとって、今回が2年連続となるJ1昇格PO。守護神の頭には、去年の苦い記憶がよみがえっていた。

試合終了後に流した涙

昨季はV・ファーレン長崎に在籍していた若原。同クラブの守護神として、ベガルタ仙台とのJ1昇格PO準決勝に臨んだが、その試合でも3得点を先取されて1-4で敗戦。辛酸をなめた。

「チームは違いましたけど、去年は1-4で負けてしまった。自分の中ではそれがあったから、今年は本当に何としてでもJ1に昇格したいと思っていました。それなのにプレーオフの初戦で3失点をしてしまって、自分が思っていた感じではなかったです」

去年の悔しさを晴らすために『今年こそは』と千葉へ加入するも、リーグ戦開幕前の今年1月16日に右ひざ外側半月板を損傷。「今年はプレーできると思っていなかった」と全治約5カ月の診断を受けた。

それでも懸命にリハビリを続け、第32節の長崎戦(0●2)で復帰した。そこからリーグ戦7試合連続で先発フル出場。苦しい時期を乗り越えてつかんだJ1昇格POの舞台だった

試合中は最後方から声を出し続け、シュートストップとビルドアップでチームを支えた。3失点後も毅然とした態度でゴールマウスに立ち続けたが、申し訳なさでいまにも押しつぶされそうだった。

画像: キャッチする若原(写真:縄手猟)
キャッチする若原(写真:縄手猟)

「俺が3失点しているから、チームが苦しんでいると思ったら、試合中もやばかったです」

一時は敗戦も覚悟した。しかしこのままでは終わらなかった。

千葉は後半26分に奪ったFWカルリーニョス・ジュニオのボレーシュート弾を皮切りに流れを引き寄せ、そのまま続けざまに同32分、38分と追加点を奪取。同42分にはDF河野貴志がコーナーキックからダイビングヘッドを突き刺して逆転に成功した。

その後は大宮に決定機を作らせないまま4-3で勝利。千葉は今月13日午後1時5分にホームで行われる徳島ヴォルティスとのJ1昇格PO決勝に駒を進めた。

試合終了後、若原の目には涙が。守護神の中で押し殺していた感情が、ホイッスルと同時にあふれだした。

「もちろん、勝ててホッとした部分はあるんですけど、それよりも悔し涙の方が大きかったんです。失点の中で俺が一本でも止められていれば、試合は変わっていたと思う。きょうはチームに本当に助けてもらいました」

画像: チームメイトたちから励まされる若原(写真:縄手猟)
チームメイトたちから励まされる若原(写真:縄手猟)

仲間たちからは、涙をいじるような形で迎えられた。ミックスゾーンに現れたときも、まだ少し目は赤かったが、既に気持ちは切り替えていた。

「みんなからは『泣くなよ』『まだ泣くのは早いぞ』ってめっちゃ言われて…。でも、これで自分の中では一個乗り越えられたと思います。明日から、またもう一回気を引き締めてやるしかない」

17季ぶりのJ1復帰は目の前だ。若原はこの日の悔しさを糧にし、決勝戦ではうれし涙を流す。

(取材・文:浅野凜太郎、写真:縄手猟)

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