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「注意が必要です」不動産会社が警告。内見時の“数分間”で見抜く…「信頼できない管理会社」の特徴とは?

  • 2025.12.26
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

賃貸物件を選ぶとき、「管理会社の管理状態は見た目でわかるの?」と疑問を持ったことはありませんか?

外観や室内のきれいさだけでなく、共用部の掲示板やゴミ捨て場にも管理の質が現れると言われています。

でも、具体的に何をチェックすればよいのか、判断基準は意外とわかりにくいものです。そこで、今回は管理会社の姿勢やトラブル対応の実態を読み解くポイントを、合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さんに詳しく伺いました。この記事を読めば、内見時の短時間チェックで「住みやすさ」の裏側が見えてくるはずです。

掲示板からわかる管理会社の対応力とトラブルの実態

---プロは内見の際、部屋よりも『共用部』を見ると言いますが、特に『掲示板(お知らせ)』のどのような点に注目すべきでしょうか? 張り紙の文言や、貼られている期間などから透けて見える『管理会社のやる気』や『住人のトラブル状況』の見抜き方を教えてください。

合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さん:

「掲示板は、「管理会社の姿勢」と「住人トラブルの履歴」がそのまま表れる場所です。内見時にここを見れば、その物件がどのように管理されているかを短時間で把握できます。

まず注目したいのは、張り紙の文面のトーンです。「ゴミの分別を守らない方がいます」「深夜の騒音が多発しています」といった注意喚起自体は珍しくありません。

ただし、次のような掲示が目立つ場合は注意が必要です。

・感情的な言い回しが多い
・命令口調や威圧的な表現になっている
・同じ内容の注意文が、文面を変えずに何度も貼り替えられている

例えば、「何度注意しても守られません」「非常に迷惑です」といった強い表現が繰り返し掲示されている場合、管理会社が個別対応をせず、貼り紙だけで問題を処理しようとしている可能性があります。

次に確認したいのが、掲示物の新しさです。数ヶ月、場合によっては1年以上前の張り紙が色あせたまま残っている物件は、共用部の確認や更新が習慣化されていない状態といえます。実際、私が所有しているアパートでは、掲示物が半年以上そのままになっているだけでなく、向きが逆さまのまま放置されていたことがあり、さすがに管理会社へ是正を求めました。

一方で、掲示物が定期的に入れ替えられ、不要な張り紙がきちんと撤去されている物件は日常管理が機能していると判断できます。特別な工夫がなくても、「当たり前の管理」ができているかどうかは、ここで分かります。

さらに重要なのが、内容の具体性です。「気をつけましょう」「ご協力ください」といった抽象的な掲示ばかりの物件は、トラブルをお願いベースで放置している傾向があります。反対に、「〇月〇日に管理会社が対応しました」「個別に注意を行っています」といった記載がある場合、実際に現場対応を行っている証拠といえます。

掲示板は、住人と管理会社の関係性が積み重なった“履歴書”のような存在です。意識して読み取れば、数分の確認でも管理の質やトラブルの温度感まで見えてきます。」

ゴミ捨て場が映す現場のリアルと対応の真価

---『ゴミ捨て場を見れば管理の質がわかる』と言われますが、単に散らかっているかどうか以外に、見るべきポイントはありますか? 例えば、分別されていないゴミへの対応(放置か、警告か)や、清掃の頻度がわかる痕跡など、危険信号となる具体的な『景色』を教えてください。

合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さん:

「ゴミ捨て場を見れば「管理の質がわかる」というのは事実です。ただし、単に散らかっているかどうかだけで判断すると見誤ります。重要なのは、散らかったあとにどう対応されているかです。

まず注目したいのは、分別されていないゴミへの対応です。次の状態が続いている場合は要注意です。

・明らかにルール違反のゴミが数日以上そのまま放置されている
・誰のものかわからないゴミが注意もされず溜まり続けている

これは、管理会社が現場を把握していない、もしくは見て見ぬふりをしているサインです。こうした物件では、騒音トラブルや設備不良なども後回しにされやすい傾向があります。

一方で、違反ゴミに対して、

・注意シールが貼られている
・回収予定日が明記されている
・一度撤去された形跡がある

といった対応が見られる場合、管理会社が現場を確認し、実際に動いていると判断できます。完璧でなくても、「放置していない」ことが重要です。

次に確認したいのが、清掃頻度の痕跡です。床のベタつきや液だれの固着、虫が常に発生している状態は清掃が行き届いていない証拠といえます。

これは単に掃除をサボっているのではなく、清掃のルールや管理体制そのものが曖昧な状態です。掃除用具だけが置かれ、実際には使われていない状況も「形だけ管理」の典型です。

さらに、掲示板の注意内容とゴミ捨て場の状況が一致しているかも確認しましょう。掲示板では注意喚起しているのに現場が改善されていない場合は、「言うだけ管理」に陥っている可能性があります。
反対に、掲示は少なくても現場がきれいに保たれている物件は、裏で淡々と対応できていると考えられます。

ゴミ捨て場は、管理会社の現場力が一切ごまかせない場所です。短時間でも、管理の質や対応姿勢は十分に読み取れます。」

契約前にできる簡単チェック!質問で見抜く管理会社の本気度

---契約のハンコを押す前に、管理会社の対応力(レスポンスの速さや誠実さ)をテストする方法はありますか? 例えば、仲介業者を通じてあえて質問を投げかけてみるなど、入居して後悔しないために『契約前にこれだけは確認しておけ』というアクションを教えてください。  

合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さん:

「入居後の後悔を防ぐために、契約前にちょっとした質問を投げてみることをおすすめします。特別なことをする必要はありません。この一手間だけで、管理会社の対応力はかなり見えてきます。

具体的には、仲介業者を通じて管理会社に一度だけ質問してもらう方法です。内容は深刻すぎないもので構いません。例えば、次のような質問が有効です。

・エアコンが故障した場合の連絡フロー
・騒音トラブルが起きた際、管理会社は間に入ってくれるのか
・休日や夜間の緊急連絡先はどこか

ここで重視したいのは、回答内容そのものよりも、レスポンスの速さと対応の温度感です。返答までに数日かかる、表現が曖昧、「契約後に説明します」といった対応が返ってくる場合、入居後も同じ扱いを受ける可能性が高いと考えたほうがよいでしょう。

あわせて確認しておきたいのが、管理会社に関する口コミ評価です。口コミはすべてが正しいわけではありませんし、感情的な投稿や個別事情による不満も多く含まれます。

ただし、「同じ内容の不満が何度も書かれている」「連絡が取れない・対応が遅いといった指摘が継続的に見られる」といった場合は、実態を反映している可能性があります。星の数だけで判断するのではなく、「どんな内容の口コミが繰り返し書かれているか」を見ることが大切です。

もう一つ有効なのが、仲介担当者に率直に聞くことです。
「この物件、管理対応に関するクレームは出ていませんか?」
この一言に対する反応で、空気が変わることがあります。言葉を濁したり、話題を逸らしたりする場合は注意が必要です。

契約前にできるのは、完璧な見極めではありません。ただ、雑に扱われそうかどうかは、事前にかなりの確度で判断できます。住んでから困らないためにも、遠慮せず確認しておくことをおすすめします。」

掲示板とゴミ捨て場を見れば管理会社の「本気度」がわかる

掲示板の文面のトーンや更新状況、ゴミ捨て場の対応状況などは、管理会社の管理姿勢やトラブルへの取り組みの実態を読み解く重要な手がかりです。内見時に数分間これらをチェックしておくだけで、見た目以上の情報が得られます。

また、契約前に管理会社へ簡単な質問を投げて、レスポンスの速さや内容の具体性を確認することも大切。口コミや仲介担当者への質問を通して繰り返される不満や対応の実態を探れば、後のトラブルを未然に防げる可能性が高まります。

住まいは長く過ごす場所。管理の「当たり前」ができているかどうかを掲示板やゴミ捨て場の小さなサインから見極め、納得のいく物件選びにつなげましょう。


監修者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹
合同会社ゆう不動産代表。『売る力×伝える力』を軸に、不動産の価値を最大化している。不動産売買の専門家として現場に立ちながら、不動産分野に特化したWebライターとして1,000本以上の記事を制作。売却査定から仲介・買取まで幅広く対応し、物件の魅力を正しく伝えることで「早く・高く・安心」の取引を実現している。派手な宣伝よりも、目の前の一人に誠実に向き合う姿勢を大切にしている。地域に寄り添いながら、不動産とWebを掛け合わせた独自の発信力で、オーナーに最良の選択肢を示すことが使命。「売買専門×情報発信」の融合ビジネスで、不動産の価値を丁寧に引き出している。