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「狙われやすい傾向があります」元警察官が警告。年末年始に増える“空き巣被害”…「標的になる家」の特徴とは?

  • 2025.12.25
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

年末年始の帰省や旅行で家を空ける機会が増える一方で、「なぜこの時期に空き巣被害が増えるのだろう?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。忙しい時期だからこそ、防犯対策をきちんと行いたいけれど、具体的にどんな点に気をつければよいのかわからない、そんな悩みもあるでしょう。

この記事では、年末年始の空き巣被害が増える背景と、日常生活で実践できる効果的な防犯対策について、元警察官のりょうせいさんに詳しく伺いました。正しい知識を知ることで、安心して年末年始を過ごしましょう。

なぜ年末年始は空き巣に狙われやすいのか?

---年末年始に空き巣被害が増加する背景には、犯人側のどのような心理や行動パターン、また地域環境の変化が関わっているのでしょうか?

りょうせいさん:

「年末年始は、犯人にとって「留守が見抜きやすい時期」です。

帰省や旅行で家を空ける人が増え、数日間にわたって人の出入りがなくなる住宅も少なくありません。空き巣犯は、侵入そのものよりも「見つからないかどうか」というリスクを最も重視します。年末年始は近隣住民も外出していることが多く、地域全体の人の目が減りやすい点も、犯人にとって好都合な環境になります。

また、年末の慌ただしさから防犯対策が疎かになりがちです。鍵のかけ忘れはもちろんですが、家を空ける前に防犯カメラの電源が入っていなかったり、録画容量が不足していたりと、出発前の確認不足が被害につながってしまうケースも少なくありませんでした。」

空き巣が侵入しやすい家の見分け方とは?

---空き巣が下見の際に必ずチェックしていると言われるポイントについて、具体的に教えていただけますでしょうか?

りょうせいさん:

「空き巣が侵入しやすいか見るポイントとして「この家が管理されているかどうか」です。

代表的なのが郵便受けの状態で、チラシや郵便物が溜まっている家は留守が続いていると判断されやすくなります。また、庭や植栽の手入れ状況も判断材料のひとつです。雑草が伸び放題だったり、落ち葉が長期間放置されていたりすると、「しばらく誰も戻っていない」と見られる可能性があります。

また、綺麗に管理されている家は「外からの目を意識してる」と思わせる効果もあると思います。散らかっているか、綺麗なのか、外見ひとつでも犯人が捉える印象が異なります。

さらに、夜間でもまったく明かりがつかない家、センサーライトが設置されていない家も狙われやすい傾向があります。警察官時代、被害現場を確認すると、こうした複数の要素が重なっているケースが少なくありませんでした。犯人は一つの要素だけでなく、いくつかのサインを組み合わせて「入りやすさ」を判断しています。」

年末年始の防犯対策、具体的に何をすればいい?

---年末年始の留守を狙われないために、今日からでもできる最も効果的な防犯対策を教えていただけますでしょうか。

りょうせいさん:

「最も効果的なのは、「留守を悟らせないこと」です。郵便物や新聞は配達停止を依頼するか、可能であれば家族や知人に回収をお願いしてください。夜間に自動で点灯するタイマー付き照明やセンサーライトの設置も、在宅を装う有効な手段です。

また、出発前には必ず全ての窓とドアの施錠を確認し、補助錠がある場合は積極的に活用しましょう。

SNSへの投稿にも注意が必要で、旅行中にリアルタイムで外出先を発信すると、結果的に留守を知らせることになります。警察官として伝えたいのは、「完璧な防犯」を目指す必要はないということです。

犯人に「この家は面倒だ」と思わせる工夫を一つでも増やすことが、被害防止につながります。」

年末年始の空き巣被害を防ぐために今日からできること

年末年始は誰もが家を空ける機会が増え、空き巣に狙われやすい時期です。

しかし、ちょっとした心がけで「留守を悟らせない」工夫を積み重ねることが被害防止につながります。郵便物の処理や庭の手入れ、照明の使い方、施錠の確認など、面倒だと感じることでも「犯人に面倒と思わせるライン」を引き上げる意識が大切です。

完璧を目指さず、一つ一つ着実に対策を行うことで、年末年始も安心して過ごせる環境を作りましょう。


監修者:りょうせい(りょうせい 元生活安全課

元警察官(警察歴10年)。生活安全課で行方不明やDVなどの人身事案を担当し、防犯の広報や啓発活動にも携わる。現在は防犯アドバイザーとして活動し、Xや音声配信(StandFM)を通じて、日常生活に取り入れやすい防犯の工夫を発信している。