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『油が少ないほうが安全』は間違いだった…。管理栄養士が警告する、揚げ物で“火事”を招く「NG調理法」とは?

  • 2025.12.24
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

揚げ物は家庭料理の定番ですが、「油の量を少なくしても大丈夫?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。実は、少なめの油で揚げ物をすると、火災の危険性が高まることをご存じでしょうか。なぜ少量の油が危険なのか、どんな調理器具や条件が発火リスクを高めるのかについてはなかなか知られていません。そこで本記事では専門家の見解をもとに、少量の油で揚げ物をするときの危険性の原因や具体的なリスク要因、そして安全に揚げ物を楽しむためのポイントをわかりやすく解説します。身近な調理のリスクを理解し、安全に調理するための知識が身につきます。

なぜ少なめの油で揚げ物をすると発火のリスクが高まるの?

---少なめの油で揚げ物をする際に発火リスクが高まる理由として、油の量や温度、調理器具との関係性について、どのような要因が最も影響しているのでしょうか?

工藤まりえさん:

「少なめの油で揚げ物をすると発火リスクが高まる一番の理由は、『油の量が少ないほど温度が急激に上がりやすい』点にあります。

油は量が多いほど熱をため込み、温度変化がゆるやかになります。

しかし、少量だと加熱の影響を強く受け、短時間で危険な高温に達しやすくなります。特にガス火は火力が強く、鍋底の一部だけが過度に加熱されることで、油が部分的に発煙点を超えてしまうこともあります。」

どんな鍋や調理条件が発火リスクを高めるの?

---揚げ物をするとき、使う鍋や火力によって発火の危険性は変わるのでしょうか?注意すべき鍋や条件について教えてください。

工藤まりえさん:

「浅くて口の広いフライパンや軽い鍋は、熱が一点に集中しやすく温度管理が難しい調理器具です。

本来揚げ物に向いているのは、底が厚くて深さのある鍋で、油の深さを一定に保ちやすい『いわゆる天ぷら鍋』と呼ばれる鉄製やホーロー製の鍋です。

このような鍋で十分な油を使うと、調理中の油温が安定しやすく、急激な過熱を防ぎやすくなります。

反対に広くて浅いフライパンに底から数ミリ程度の少ない油を入れて、最初から強火で加熱すると、数分で発火温度に達してしまうため、とても危険です。」

揚げ物で火災を防ぐために守るべき重要なポイントは?

---揚げ物をする際に発火事故を防ぐために、家庭で今日から実践できる「最も重要な注意点」を教えていただけますでしょうか。

工藤まりえさん:

「調理中は絶対にその場を離れないことが最も大切です。

特に少量の油を使っている場合、数十秒の離席で温度が急上昇し火災につながることがあります。また予熱の段階から中火以下をキープし、コンロの揚げ物モードの作動条件(約200ml以上の油量)を確認し、機器を過信しないで自分で油の状態を見守ることが重要です。

油から煙が出たらすぐ火を消し、食材を入れるのをやめて冷ますようにしましょう。さらに意外なのが、揚げ終わった後の天かすや揚げカスが自然発火するリスクです。

これらは大量にまとめてゴミ箱に捨てると内部で熱がこもり数時間後に発火することもあるため、『完全に冷めるまでが調理』と意識し、後片付けまで気を抜かないことが求められます。」

少なめの油での揚げ物はメリット以上にリスクが大きいので慎重に

今回わかったのは、少なめの油で揚げ物をすることが、実は油の温度急上昇による発火リスクを大きく高める点です。特に浅くて広い鍋、強火、コンロからの離席、揚げカスの存在など複数の条件が重なると一気に危険度が増します。

安全に揚げ物を楽しむためには、鍋の形状や油の量を適切に選び、調理中は目を離さず中火以下で加熱することが重要です。また、揚げ物が終わってからも天かすの取り扱いに注意する必要があります。

少量の油で手軽に済ませたい気持ちは理解できますが、リスクを認識し、基本の安全対策を守ることが、火災から身を守る第一歩です。明日からでもすぐ実践できるポイントを押さえて、安全なキッチンライフを送りましょう。


監修者:工藤まりえ
大学にて栄養学と分析化学を専門とし、管理栄養士免許を取得。卒業後は都内飲食系会社にてフードコーディネーターとして勤務。また、管理栄養士としてはスポーツジムに通う方を対象に、体質改善・ダイエットのための栄養指導を実施。短期的な痩身だけではなく、健康的で太りにくい体質への改善を目指した、専門的かつ行動に移しやすいアドバイスを毎月100名程に対して行っている。