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「安易に利用しないこと」お金のプロが警告。年末の出費で“リボ払い”設定…ハマると抜け出せない「金利15%」の恐怖

  • 2025.12.24
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年末のイベントや買い物で出費がかさむこの時期。「月々の支払額が一定で安心」という甘い言葉に誘われて、安易にリボ払いを設定していませんか?

実はそれこそが、出口の見えない「金利15%の地獄」への入り口かもしれません。

リボ払いの最大の恐怖は、毎月の負担が軽いがゆえに「支払いの痛み」が麻痺し、気づかぬうちに借金が雪だるま式に膨れ上がってしまうこと。

本記事では、金融機関勤務の現役マネージャー・中川佳人さんが、その恐ろしい仕組みとリスクを徹底解説。すでにハマってしまった人でも大丈夫です。プロが教える「地獄からの脱出法」で、リボ払いの罠から家計を守りましょう。

なぜリボ払いは抜け出しにくいのか?

---リボ払いを一度始めると抜け出せなくなる最大の要因は、金利15%という数字以外に、どのような心理的・構造的なメカニズムが働いているのでしょうか?

中川佳人さん:

「リボ払いから抜け出しにくくなる最大の要因は、『支払いの痛み』を感じにくくする仕組みにあります。

この仕組みが、利用者に十分な危機感を持たせないまま、返済を長期化させてしまうのです。

人は、毎月の支払い額が一定であると安心しやすい傾向があります。リボ払いは毎月の返済額が固定されているため、実際の借入残高や利息負担を意識しにくい構造になっています。『毎月きちんと返済できている』と感じてしまいがちですが、返済額の多くは利息の支払いに充てられており、元本は思うように減っていません。

さらに問題なのは、利用額が増えても月々の返済額が変わらない点です。この仕組みによって、『まだ余裕がある』『少しくらい使っても大丈夫』と感じやすくなり、追加利用への心理的ハードルが下がってしまいます。

その結果、返済を続けているつもりでも残高は少しずつ増えていき、『気づいたら何年もリボ払いを続けている』という状況に陥るケースも少なくありません。

リボ払いが長期化してしまう背景には、『毎月返済が進んでいると錯覚してしまう心理』と、『利用額が増えても月々の返済額が変わらない仕組み』が重なっている点があります。『今、支払いができているから大丈夫』と考えるのではなく、残高や完済までの期間に目を向けることが、リボ払いの仕組みに飲み込まれないために欠かせない視点と言えるでしょう。」

リボ払いの利息負担とその影響について

---リボ払いの金利負担を軽く見て「月々の支払いが楽になる」と安易に設定してしまう方が多いと思いますが、実際に年15%の金利で返済が長期化した場合の総支払額はどれほど膨らむのでしょうか?

中川佳人さん:

「リボ払いを年15%の金利で長期間利用すると、借りた金額に対して数十万円単位の利息を上乗せして支払うことになります。

月々の支払額が抑えられるため負担が軽く感じられがちですが、実際には時間の経過とともに利息が積み重なり、家計への影響は決して小さくありません。

たとえば、50万円をリボ払いで利用し、毎月1万円ずつ返済した場合を考えてみましょう。このケースでは返済期間は4年2か月におよび、支払う利息は約15万円にもなります。元本50万円に対して、約3割もの金額を利息として支払うことになるのです。

さらに注意したいのが、返済途中で新たにカードを利用してしまうケースです。リボ払いは毎月の返済額が一定に固定されているため、追加利用をしても月々の支払額は変わりません。その結果、元本は減らないどころか増えてしまい、完済までの期間がさらに延びることも珍しくありません。

年15%という金利は、銀行預金や住宅ローンと比べると明らかに高水準です。この金利が長期間かかり続けることで、利息は雪だるま式に膨らんでいきます。

金利の重みと、返済が長期化した場合の総支払額を具体的な数字で把握したうえで、リボ払いを安易に利用しないことが、家計を守るうえで重要です。」

リボ払いから抜け出すための第一歩は?

---リボ払いを既に利用している人が、これ以上負担を増やさず確実に抜け出すために、まず最初にやるべき具体的な行動を教えていただけますでしょうか。

中川佳人さん:

「リボ払いから抜け出すために、最初に行うべきことは『現状を正確に把握すること』です。

具体的には、『カードの契約情報』と『家計収支』の2点を確認します。

カードの契約情報については、『借入先・契約日・利用限度額・残高・返済額・返済終了予定日』を確認してください。カード会社の会員サイトで確認できるほか、不明な場合は電話で問い合わせることも可能です。『何となく把握している』状態では、適切な対策を立てることはできません。しっかりと正確に把握するようにしてください。他にローンがある場合も、同様に整理しておきましょう。

次に、毎月の家計収支を確認します。まずは1か月分で構いませんが、収入と支出を漏れなく書き出すことが重要です。固定費と変動費を分けて把握すると、改善できるポイントも見つけやすくなります。

これらの情報がそろうことで、取るべき行動が見えてきます。最初に検討したいのは、銀行などの金融機関での債務一本化です。同時に、保険料や通信費など固定費の見直しにも取り組みましょう。それでも返済が難しい場合は、弁護士や司法書士への相談も選択肢となります。

いずれの場合でも、出発点は『契約情報』と『家計収支』の把握です。現状から目を背けず、早めに行動することが、リボ払いから確実に抜け出す第一歩になります。」

リボ払いのリスクを理解し、早めの対策を

リボ払いは毎月の支払額が一定で手軽に感じられますが、その裏には「支払いの痛みを感じにくくする仕組み」が隠れており、気づかないうちに借金が長期化し、利息負担が膨らむ怖さがあります。実際、年15%もの高い利率で返済を続けると、元本に対して3割近い利息を支払うことになるケースもあります。

そのため、単に「今は払えている」という安心感に流されるのではなく、自身の借入残高や完済予定を正確に把握し、家計収支と合わせて見直すことが大切です。専門家が推奨する債務一本化や固定費の見直し、必要に応じて法律の専門家へ相談するなど、具体的な行動を早めにとることで、リボ払いの重圧から抜け出す道が開けます。

まずは現状を正しく知ること。この記事が、その第一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)(@YoshitoFinance

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。