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「旅行に行く人は要注意」政府が注意喚起→海外に潜む“違法お菓子”…知らずに持ち帰ると?弁護士「7年以下の懲役に」

  • 2025.12.21
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

海外旅行の楽しみの一つ、現地のお菓子選び。しかし、その中には「日本に持ち込むだけで逮捕される」危険な商品が紛れているのをご存じでしょうか?「海外では合法だから」「食品だし、少量なら問題ない」 そんな誤解が、人生を棒に振る重大なトラブルにつながる可能性があります。

2025年12月17日に、政府広報オンライン(@gov_online)より、海外で販売されている大麻成分入りのグミやキャンディを日本国内に持ち帰ることがないよう注意喚起がなされました。「知らずに食べて緊急搬送された事例」も報告されており、その危険性は深刻です。

仮に持ち帰ってしまった際、日本ではどのように罰せられるのか。この記事では寺林智栄 弁護士の見解をもとに、その理由と具体的なリスク、そして安全な対策について明らかにします。

海外で合法でも、日本に持ち込むと大麻取締法違反になる理由

---海外で合法とされる大麻成分入りの食品を日本に持ち込んだ場合、具体的にどのような法律に抵触し、どの程度の刑事罰が科される可能性があるのでしょうか?

寺林智栄さん:

「海外では合法に販売されている大麻成分入りの食品であっても、それを日本に持ち込んだ場合、日本の法律上は重大な犯罪に該当する可能性があります。

多くの人が誤解しがちですが、『海外で合法』『食品だから』『少量だから』『自分で食べるつもりだった』といった事情は、日本ではほとんど考慮されません。

まず問題となるのが大麻取締法です。この法律は、大麻そのものだけでなく、大麻由来成分を含む製品全般を規制対象としています。クッキー、グミ、チョコレートなどのいわゆる『大麻入りお菓子』であっても、精神作用を持つ成分(THCなど。幻覚作用などを引き起こします。)が含まれていれば『大麻製品』に該当します。そのため、日本に持ち込んだ時点で『輸入』にあたり、大麻取締法違反が成立します。」

罰則は非常に重い!輸入・所持の違反で最大10年の懲役も

---海外旅行先で合法とされる大麻入り食品(例:グミやクッキーなど)を誤って、または軽い気持ちで日本へ持ち帰った場合、具体的にどのような法的責任が問われるのでしょうか?

寺林智栄さん:

「大麻を輸入した場合の刑事罰は非常に重く、営利目的でない場合でも7年以下の懲役が科される可能性があります。

さらに、販売目的など営利性が認定されると、10年以下の懲役や高額な罰金が併科される可能性もあります。また、空港での税関検査を通過した後であっても、所持していれば『所持罪』として別途処罰対象となり、5年以下の懲役が科されることがあります。

重要なのは、『知らなかった』『合法だと思っていた』という主張は、原則として刑事責任を免れる理由にならない点です。

日本の刑法では、法律を知らなかったこと自体は違法性を否定する理由にならないとされています。特に大麻に関しては、税関や警察が繰り返し注意喚起を行っており、厳格な姿勢が取られています。」

安全に帰国するために知っておきたいチェックポイントと注意点

---海外旅行先で大麻成分入りの食品を誤って購入しないために、旅行者が現地で注意すべき具体的なポイントや見分け方を教えていただけますでしょうか。

寺林智栄さん:

「近年話題となるCBD(麻に含まれる天然の有効成分)製品についても注意が必要です。

THCを一切含まないことが厳格に確認されたものを除き、微量でも規制成分が含まれていれば違法と判断される可能性があります。海外製品の場合、表示と実際の成分が一致しないケースもあり、結果として違法輸入と判断されるリスクがあります。

まず最も重要なポイントは、成分表示を必ず確認する習慣を持つことです。大麻成分入り食品には、『THC』『Tetrahydrocannabinol』『Cannabis』『Marijuana』などの表記がされていることがあります。また、CBD製品と称して販売されているものでも、『THC含有』『THC ○mg』などと記載されている場合は、日本では違法となる可能性が極めて高いため、購入してはいけません。英語だけでなく、現地語表記になっている場合もあるため、不明な単語があればその場で調べる慎重さが必要です。

次に注意すべきなのは、販売場所や陳列方法です。大麻が合法な国では、専用ショップや『ディスペンサリー』と呼ばれる店舗のほか、土産物店や雑貨店の一角でグミやクッキーが販売されていることもあります。『お菓子コーナーに置いてあるから安全』『普通のスーパーで売っていたから問題ない』と思い込むのは非常に危険です。パッケージに大麻の葉のマークや、リラックス効果・高揚感を示すような表現がある場合は、購入を避けるべきです。

また、店員の説明をうのみにしないことも重要です。現地では『合法だから大丈夫』『観光客にも人気』『体に良い』などと説明されることがありますが、日本に持ち帰れるかどうかは全く別の問題です。『日本では違法になる可能性がある』と理解した上で、少しでも不安があれば購入しない判断が最も安全です。

さらに、お土産として人からもらう場合にも注意が必要です。現地の知人や同行者から『お菓子だから大丈夫』と渡されても、中身を確認せずに受け取るのは非常に危険です。自分の手荷物に入れた時点で、刑事責任を問われる可能性があるため、成分が不明な食品は持ち帰らないという姿勢を徹底すべきでしょう。」

軽い気持ちが大きなリスクに。持ち帰りは絶対に慎重に

今回の取材を通じてわかったのは、海外で合法的に販売されている大麻成分入り食品であっても、日本に持ち込むと大麻取締法により厳しく処罰される可能性が高いということです。「食品だから」「少量だから」「自分用だから」といった事情は考慮されず、輸入罪や所持罪で重い懲役刑が科されるリスクがあります。

安全に帰国するためには、成分表示を必ず確認し、大麻の葉のマークや違法成分の表記がある製品は購入しないことが大切です。また、店員の説明だけを信じるのではなく、日本の法律を考慮した上で賢明な判断をすることが求められます。お土産をもらう際も、安易に受け取らず中身を確認し、疑わしいものは持ち帰らない姿勢を徹底しましょう。

この知識を持つことで、海外から安心して楽しく帰国できるだけでなく、予期せぬ法律トラブルから身を守ることができます。軽い気持ちでの持ち込みが重大な刑事責任につながる現状をしっかり理解し、安全な海外旅行を心がけましょう。


出典元:政府広報オンライン(@gov_online)

監修者:寺林智栄
2007年弁護士登録。札幌弁護士会。2013年頃よりネット上で法律記事の執筆を開始。Yahoo!トピックスで複数回1位を獲得。一般の方が理解しやすい丁寧な解説を心がけています。