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「自分のお金ではやらない」お金のプロが断言。“冬のボーナス”で、避けるべき「3つの使い方」とは?

  • 2025.12.20
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

ボーナスが入ると、つい「とりあえず全額貯金しよう」と考えがちですが、インフレが続く今の時代、本当にそれで安心でしょうか。

物価は上がっているのに預金の利率が追いつかないため、実質的に資産が目減りしてしまう恐れがあります。

一方で、投資もリスクがあり、何をどう使うべきか分からないと不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、「ボーナスの正しい使い方」と「資産を守るための具体的なポイント」について、金融機関勤務の現役マネージャー中川 佳人さんに詳しく伺いました。これからの時代に合った賢い資産管理のヒントが見えてきます。

「とりあえず全額貯金」は本当に安心?インフレ時代の資産の現実

---ボーナスは『とりあえず全額貯金』が正しいと感じている人も中にはいらっしゃると思います。しかし、物価が上がり続ける今、銀行に現金を預けっぱなしにすることは、実質的に『資産をドブに捨てている』のと同じではないでしょうか。『減らないから安全』ではなく、『増えないから危険』という、インフレ時代の残酷な現実をどう見ていますか?

中川 佳人さん:

「『とりあえず全額貯金』は、気持ちの面では安心できる方法ですが、インフレが続く今の時代においては必ずしも正解とは言えません。

物価が上がり続ける一方で、預金金利がほとんど上がらなければ、数字上は減っていなくても、実質的なお金の価値は少しずつ目減りしていきます。『減らないから安全』ではなく、『増えないことで実質的に資産が目減りしている状態』と言えるでしょう。

ただし、『銀行預金は増えないから、すぐに投資すべき』という極端な考え方もおすすめできません。投資にはリスクがあります。急な病気や怪我、失業など、想定外の出費に備える生活防衛資金や、数年以内に使う予定のお金まで投資に回してしまうと、必要なときに値下がりしていて、損をした状態で解約をしなければならない事態に陥る可能性があります。

インフレ時代に大切なのは、ボーナスを一括りにせず、『使い道』と『使う時期』によってお金の置き場所を分けることです。しばらく使う予定のない余裕資金については、投資信託など物価上昇に対応しやすい資産を活用しつつ、生活防衛資金や近い将来に必要なお金は現金で確保する。このバランスを意識することが、インフレ下で資産を守る現実的な方法だと考えています。ボーナスを受け取ったら、すぐに全額を動かすのではなく、用途を書き出して整理することから始めてみてください。」

ボーナスはすぐに投資すべき?リスクと資金管理のポイント

---お金のプロの視点で、ボーナスが入ったときに『自分のお金では絶対にやらないこと』を3つ教えてください。

中川 佳人さん:

「お金のプロとして、ボーナスが入ったときに『自分のお金ではやらないこと』は大きく3つあります。

1つ目は、『目的を決めないまま使うこと』です。ボーナスを受け取ると気が緩み、大きな買い物や衝動的な浪費をしがちになります。しかし、ボーナスは単なる臨時収入ではなく、家計を立て直したり、将来への備えを強化したりできる貴重なお金です。すぐに使う前に、生活防衛資金や短期的に必要な資金が十分に確保できているかを確認し、不足があれば優先的に補うようにしています。

2つ目は、『仕組みをよく知らない金融商品に投資すること』です。話題になっている、勧められたという理由だけで商品を選ぶと、値動きがあった際に不安が大きくなり、冷静な判断ができなくなることがあります。特にボーナスのように金額が大きいお金ほど、感情に左右されやすくなります。投資をする際は、商品の仕組みやリスクを理解し、自分が納得できる範囲で行うことが大切だと考えています。

3つ目は、『将来の備えを一切考えず、今の満足だけに使い切ること』です。使うこと自体は悪いことではありませんが、計画なく使い切ってしまうと、後から教育費や老後資金などに不安を感じる原因になります。ボーナスこそ、ライフプランを意識し、将来の安心と今の楽しみをバランスよく両立させる使い方が重要だと考えています。」

ボーナス受取後にすべき3つのこととは?

---冬のボーナスを受け取ったらまず最初にすべき、インフレに負けない具体的な資産配分の方法を教えていただけますでしょうか。

中川 佳人さん:

「冬のボーナスを受け取ったら、まず最初にすべきことは『すぐに全額を貯金や投資に回すこと』ではなく、『生活防衛資金や、近い将来必要な資金を点検すること』です。ボーナスは金額が大きい分、勢いで使ったり動かしたりしがちですが、インフレ時代だからこそ、まずは家計の土台が安定しているかを確認することが重要です。

まず、『守るお金』として、生活防衛資金が十分に確保できているかを確認します。目安として、会社員の方は毎月の生活費の3〜6か月分、個人事業主の方は収入の変動に備えて1〜2年分を銀行預金で準備できると安心です。ここは増やすことよりも、リスクのない安心感を優先します。

次に、近い将来必要となる資金に不足がないかを確認しましょう。家電の買い替えや自動車の購入、教育費など、ライフプランを立てることで、数年以内に必要なお金が具体的に見えてきます。不足がある場合は、値動きのある資産ではなく、銀行預金として確保しておくことが大切です。

これらを差し引いた残りの余裕資金で、15年程度使う予定のないお金については、投資に回すことを検討します。投資信託など分散して長期投資できる資産を活用することで、物価上昇に対応しやすくなります。大切なのは、いきなり大きな金額で始めるのではなく、投資の勉強をしながら小さい金額から慣れていくことです。まずは、生活防衛資金の点検から始めて、順番に整理してみてください。」

賢く使う!ボーナスでまずすべきは生活防衛資金の確保

インフレが続く今こそ、ボーナスを受け取ったらまずは生活防衛資金や近い将来必要な資金の点検から始めましょう。生活防衛資金は、会社員の方なら毎月の生活費の3〜6か月分、個人事業主の方は1〜2年分をリスクのない銀行預金で確保することが大切です。これを十分に整えたうえで、数年以内に必要な資金を現金で用意し、不足があれば優先的に貯めます。これらをしっかり守ることで、お金の不安を減らせます。

そして、生活防衛資金・近い将来の資金を差し引いた余裕資金で、15年程度使う予定のないお金については投資を検討してみてください。投資信託など分散投資を心がけ、いきなり高額を投じず、少額から勉強しながら始めるのがポイントです。これらのステップを踏むことで、インフレに負けない賢い資産形成が実現できるでしょう。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)(@YoshitoFinance

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。


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