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「服がなかなか手放せない…」整理収納アドバイザーがたどり着いた、“1年着てない”よりも重視すべき「捨てる基準」とは?

  • 2025.12.24
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

クローゼットに服があふれているのに、なかなか手放せない——そんな悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。

なぜ使っていない服を捨てられないのか?そして、無理なく収納を見直して心地よい生活空間を作るにはどうすればいいのか?

この記事では、服を手放せない心理の背景や整理収納のポイントについて、整理収納アドバイザー坂上正洋さんの見解をもとにわかりやすく解説します。読み進めることで、あなたの生活を快適にするヒントが必ず見つかるはずです。

服を手放せない心理の正体とは?

---なぜ「捨てられない服」が増えてしまうのでしょうか?心理的なメカニズムについて教えてください。

坂上正洋さん:

「服を手放せない心理には、『サンクコスト効果(埋没費用効果)』という認知バイアスが大きく関わっています。

「高かった・あまり着ていない・限定品だった」といった、過去の出費や価値に執着し、本来であれば今使っているかどうかで判断すべきところを見誤ってしまうのです。

また、親の形見や友人からの贈り物など、感情的なつながりがある衣類は、ただのモノではなく思い出として心に結びついており、捨てる=記憶を手放すという感覚に陥ります。こうした場合には、捨てるではなく「誰かに譲る・リサイクルショップへ持ち込む」といった選択肢に切り替えることで、誰かの役に立てるという納得感と心の平穏が得られます。」

「もったいない精神」が押し込める収納スペースの負担

---「まだ着られる」という理由で服を残してしまう心理的な背景と、それが片付けを妨げる具体的なメカニズムについて教えていただけますでしょうか?

坂上正洋さん:

「まだ着られるからと服を保管し続ける背景には、もったいない精神や捨てることへの罪悪感があります。

日本人にとって、とても強い価値観です。一見美徳のようにも思えますが、その結果、収納スペースを圧迫し、衣類の把握や管理が難しくなる原因にもなっています。

これが毎朝のコーディネートに時間がかかる、必要な服がすぐに見つからないといったタイムパフォーマンス(タイパ)の低下を招き、日常の小さなストレスが積み重なっていくのです。

多すぎる選択肢は、逆に「何を着ればいいかわからない」という決断疲れも生んでいます。さらに、服の量が多いことで衣類の把握ができず、同じような服を買ってしまう2度買いのリスクも高まります。」

収納見直しで心と時間にゆとりを生む方法

---捨てられずにいる服を手放すために、明日からすぐに実践できる最も効果的な判断基準を教えていただけますでしょうか。

坂上正洋さん:

「1年以上着ていない服は、今のライフスタイルに合わない可能性が高く、見直す対象になります。

持つことより使いこなすことが重視される今、収納の量を減らすことは、心と時間のゆとりを生み出す鍵となります。

さらに、明日からすぐに実践でき、重視すべき判断基準は、「今の自分が“喜んで”着たいと思えるか?」「この服にトキメクか」という感情ベースの問いかけです。

迷う場合は、一時保留の考え方を導入しましょう。ダンボールや衣装ケースに一時保留の衣類を保管しておきます。収納スペースが足りないなら外部のトランクルームを活用し、手放す決断ができない衣類を一時的に保管すれば、スペースが生まれて気持ちも整理されていきます。

収納の見直しは単なるモノを減らす行為ではなく、自分にとって本当に必要なものを見極める思考訓練でもあります。視覚的にすっきりした空間は判断力や行動力を高め、暮らし全体の質を引き上げてくれます。こうした取り組みがスペースパフォーマンス(スぺパ)やタイムパフォーマンス(タイパ)の向上にもつながり、日々の生活を効率的で心地よく整えてくれるのです。」

服を通じて自分自身と向き合う豊かな暮らしへ

服と向き合うことは、自分自身と向き合う時間でもあります。手放すことは決して‘損失’ではなく、選び抜かれた暮らしへの第一歩です。今回の取材を通じて、服を手放せない心理の背景や“もったいない”という価値観がもたらす収納課題、そして感情に寄り添いながら収納量の見直しを進めるコツが明らかになりました。

迷った時は“一時保留”の考え方を取り入れ、トランクルームも活用しながら、無理なくスペースを生み出してみてください。

視覚的にも心地よい空間に整えることで、日々の暮らしの質がぐっと向上し、自分らしい生活スタイルが実現できます。ぜひ今日からできることを、気軽に始めてみましょう。


監修者:株式会社ストレージ王 坂上正洋(ストレージ王/整理収納アドバイザー)

トランクルーム事業の経営企画として経営戦略、サービス設計、業界分析やDX推進、広報などに携わり、収納改善・空間活用に関する専門知識をもとに、記事執筆やメディア監修を多数担当。 「専門知識をわかりやすく、暮らしの中で活かせる形にする」ことを得意としています。 利用者のニーズや生活動線に寄り添った視点で、最適なトランクルーム活用やスペース選び、収納改善のポイントを発信しています。