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「狙われやすい傾向にあります」元警察官が明かす。犯罪者が近づきやすい「標的になる人」の共通点とは?

  • 2025.12.23
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

犯罪者はどんな基準で標的を選び、どうやって近づいてくるのでしょうか。防犯対策をしているつもりでも、知らず知らずのうちに「隙」をつくってしまっているかもしれません。

この記事では元警察官の防犯アドバイザー りょうせいさんに、犯罪者が標的を選ぶ際のポイントや、絶対に避けるべき行動、そして明日からすぐに実践できる防犯習慣を詳しく伺いました。日常のちょっとした意識の違いが、あなたの身を守る大きなカギになることが分かります。

犯罪者が狙うのは「気付かれにくさ」と「抵抗されにくさ」

---なぜ犯罪者は特定の人を狙うのでしょうか?標的の選び方に特徴はありますか?

りょうせいさん:

「犯罪者が標的を選ぶ際に最も重視しているのは、『気付かれにくいか』『抵抗されにくいか』という点です。

警察官として多くの事件現場を見てきましたが、いわゆる“隙が多い人”には共通する行動があります。

分かりやすいのが、歩きスマホやイヤホンを着けたまま移動している人です。視線が下がり、周囲の音も遮断されているため、背後から近付いても気付かれにくい状態になります。犯罪者は『今、この人の意識がどこに向いているか』を非常によく観察しています。

また、周囲を確認せず、信号待ちや駅、エレベーター前などで無防備に立ち止まっている人や、ほとんど振り返らず、背後に意識が向いていない人も狙われやすい傾向にあります。実際の犯行では、相手に気付かれにくく、対応されるリスクが低い背後から接近されるケースが多く見られます。

体格がいい人よりも華奢で、力が弱そうな人が狙われる可能性はあるかもしれませんが、それ以上に重視されるのは、『警戒していない』『不審な動きに反応しなさそう』といった心理的な要素です。

犯罪者は身体能力そのものよりも、相手の意識の向きや油断の有無を見て、標的を判断しているのです。」

被害に遭いやすい人の共通点は「間合い」と「背後への意識の薄さ」

---犯罪者は外見だけでなく、どんなところに注目してターゲットを選ぶのでしょうか?

りょうせいさん:

「犯罪者が標的を選ぶ際、外見以上に見ているのは『この人は周囲との距離や空間を意識しているか』という点です。

警察官として現場を見てきた中で、被害に遭いやすかった方には、距離感や背後への意識が薄いという共通点がありました。

例えば、見知らぬ相手が距離を詰めて話しかけてきても、一歩下がる、立ち位置を変えるといった動きがなく、そのまま対応してしまう人です。また、信号待ちや駅構内などで、背後をほとんど振り返らず、周囲の人の動きに関心を示さない人も、無防備な印象を与えやすくなります。

たとえ相手に話しかけられて対応していても、一定の距離を保ち、立ち位置を調整する人は、第三者から見ても『警戒している』と伝わります。一方で、距離を詰められても動かず、背後への意識も見えない場合、犯罪者にとって近付きやすい相手と判断されることがあります。

犯罪者は相手の内面を見抜いているわけではありません。距離の取り方や視線の動きなど、表に出ている行動から、『この人は警戒していないかもしれない』と判断しているのです。」

犯罪者に狙われないためにできる「背後を取られない」と「間合いの意識」

---犯罪者に狙われないために、読者が明日からすぐに実践できる「最も効果的な防犯習慣」を一つ教えていただけますでしょうか。

りょうせいさん:

「犯罪者に狙われないために、明日からすぐ実践できる最も効果的な防犯習慣は、『背後を取られないこと』と『相手との間合いを意識すること』だと考えています。

警察官時代、現場に出るたびに繰り返し言われてきたのが、『背後を取られるな』という言葉でした。

背後は最も無防備になりやすく、相手の動きに気付くのが遅れます。これは警察官に限らず、一般の方にとっても同じです。背後に意識を向けるだけで、不意の接触や急な動きに気付きやすくなります。

もう一つ大切なのが、相手との間合いです。間合いを保てていれば、防御する、距離を取る、逃げるといった行動の選択肢が残ります。逆に、距離を詰められてしまうと、対応できる幅は一気に狭まります。これは体力や経験に関係なく、誰にでも起こり得ることです。

防犯というと特別な対策を想像しがちですが、日常の中で背後を意識し、距離を取る行動を習慣にするだけでも十分効果があります。立ち位置を変える、視線を動かす、一歩下がる。そうした小さな動きが、犯罪者に対する抑止力になるのです。」

日常の意識があなたの身を守る最強の防犯術

今回の取材から分かったのは、犯罪者が標的を選ぶときに最も重視しているのは「気付かれにくさ」と「抵抗されにくさ」であり、身体的な強さ以上に「意識の持ち方」と「距離感」が重要だということです。特に歩きスマホやイヤホンをして周囲に無関心な状態は、犯罪者にとって格好の標的になります。

防犯のために特別な道具を揃えたり、難しいトレーニングを積む必要はありません。日常で「背後を取られない」ことと「相手との間合いを意識する」習慣をつけるだけで、不意の接近にすぐ気付き、冷静に対応する余裕が生まれます。

これらの対策は誰にでもでき、犯罪者に「ここは狙いにくい」と思わせる抑止力にもなります。あなたの安全を守るために、まずは今日から周囲の距離感と背後への意識を少し高めてみませんか。


監修者:りょうせい(りょうせい 元生活安全課

元警察官(警察歴10年)。生活安全課で行方不明やDVなどの人身事案を担当し、防犯の広報や啓発活動にも携わる。現在は防犯アドバイザーとして活動し、Xや音声配信(StandFM)を通じて、日常生活に取り入れやすい防犯の工夫を発信している。