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「発火の原因になる」管理栄養士が注意喚起。電子レンジで爆発しやすい…注意すべき「危険な食材」とは?

  • 2025.12.19
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

電子レンジは便利な調理家電ですが、使い方を誤ると食材が爆発したり、熱い液体が突然飛び散ったりと、思わぬトラブルに見舞われることがあります。

なぜ電子レンジで食材が爆発するのか?水分が多い食材や液体の加熱には、どんな注意が必要なのか?そんな疑問を持つ方も多いではないでしょうか。

この記事では、電子レンジの加熱のしくみと、爆発や突沸(とっぷつ)と呼ばれる現象のメカニズムを、かきねキッチン 管理栄養士 小池 三代子の解説をもとにわかりやすく解説します。正しい知識を知ることで、安心して電子レンジを使いこなせるようになるでしょう。

電子レンジで食材が爆発する原因とは?

---電子レンジで爆発しやすい食材に共通する『構造的な特徴』と、意外なNG食材について教えていただけますか?

小池 三代子さん:

「電子レンジで食材が爆発するメカニズムは、食品内部の水分がマイクロ波で急激に加熱され水蒸気となり、その水蒸気の圧力が急激に高まり、殻や膜が破裂することです。

電子レンジは食品に含まれる水分子をマイクロ波(2.4GHz)で振動させることで加熱します。この激しい分子運動による『摩擦熱』が、食品の内部から温度を上昇させる主なメカニズムなのです。

電子レンジで爆発しやすい食材に共通する『構造的な特徴』は、比較的硬い殻や伸縮性のない皮・膜で外部を覆われていること、そして内部にマイクロ波によって効率よく加熱されやすい水分を豊富に含んでいることです。

内部の水分が急速に加熱されて水蒸気となり、その圧力を外部に逃がすための経路がない『密閉構造』に起因します。

卵やウインナー、たらこなどが爆発しやすいですが、それ以外にも魚・いか・鶏ささみ・トマト・ぶどう・オクラ・なす・枝豆・とうもろこしなどにも注意が必要です。」

液体の突沸とは?電子レンジでの過加熱に潜む危険

---固形物だけでなく、とろみのある料理や飲み物で起こる『突沸(とっぷつ)』の危険性と、それを防ぐコツはありますか?

かきねキッチンさん:

「突沸とは、液体の沸点を超えても沸騰せず『過加熱状態』となり、振動や核となる微細な固形物が加わることで内部の熱エネルギーが一気に解放され、爆発的に沸騰する現象のことです。

電子レンジで過加熱状態の液体に、レンジの扉を開ける際の振動や容器の取り出す刺激、スプーンや調味料を入れるといったわずかな刺激が加わることで突沸が起こることがあります。この際、熱い液体が周囲に飛び散り、火傷の危険があるため注意が必要です。

また、とろみのある食品は内部の対流が起こりにくく、局所的に過加熱が発生しやすいことが特徴です。

比較的温度の低い部分が過加熱部分の沸騰を一時的に抑え込んでいる状態になっており、刺激が加わることで一気に突沸してしまいます。

とろみのある食材はとくに注意が必要です。」

突沸や発火を防ぐための電子レンジの使い方と注意点

---爆発だけでなく、水分が少ない食材(サツマイモや乾物など)が『焦げ』を超えて『発火』するケースがあると聞きます。どういった成分の食材に注意が必要ですか?爆発や突沸、さらには発火といった電子レンジトラブルを防ぐには、どんな使い方が安全なのでしょうか?

かきねキッチンさん:

「突沸を防ぐコツは以下の通りです。

  • 加熱しすぎないこと。オート加熱は温めすぎることが多いので控え、手動で短い加熱時間を設定して様子を見ながら複数回に分けて加熱しましょう。飲み物専用のオート機能がある場合は活用してください。
  • 加熱中に一旦取り出してよくかき混ぜ、全体の温度を均一にしましょう。
  • 500W程度の低出力でゆっくり温めることで温度差を減らせます。
  • 耐熱性のスプーンや割り箸をあらかじめ容器に入れておくと、沸騰のきっかけができ、過加熱が防げます。

さらに、深すぎる容器は吹きこぼれのリスクがあるため避け、加熱後はすぐに取り出さず少し冷ましてから取り出すと安心です。

また、水分が少ない食材は電子レンジのマイクロ波で効率よく温まりません。長時間加熱すると一部に熱が集中し、焦げや炭化、さらには発煙や発火の原因になることがあります。特にさつまいも、じゃがいも、パン、中華まん、コロッケなどの炭水化物が多い食材や、油分・塩分が多い唐揚げや豚の角煮、唐辛子やドライフルーツなどの乾物は注意が必要です。

これらの食材は加熱前に水をかけたり浸したりし、長時間の加熱を避けてください。ラップや専用カバーを少し開けて蒸気を逃がしながら利用し、加熱中に一度かき混ぜることで一部に熱が集中するのを防げます。」

知識があれば電子レンジはもっと安全で便利に

電子レンジを正しく使うためには、その加熱の仕組みや食材ごとの特徴を知ることが重要です。

今回わかったように、爆発や突沸は食品内部の水分の急激な加熱や密閉構造による圧力上昇が原因です。とろみのある液体や粘度の高い食品は特に過加熱しやすいため、加熱方法に工夫が求められます。

加熱時間を短く分割したり、かき混ぜたり、低出力で温めたりといった基本的な対策を実践すれば、思わぬ事故を防ぎつつおいしく仕上げることができます。また、水分が少ない食材は焦げや発火の恐れがあるため、加熱前の水分調整や専用カバーの利用も効果的です。

これらのポイントを押さえることで、電子レンジをもっと安全に、そして快適に使いこなせるようになるでしょう。


監修者:かきねキッチン 小池 三代子(Instagram / ブログ

管理栄養士×保育士|実務経験13年|現在はフリーランスの管理栄養士として、栄養相談や食事指導、献立作成、記事執筆・監修を中心に活動中。「人に寄り添い、無理なく実現できる食生活のサポート」をモットーに、忙しい中でも続けられる、簡単でおいしい時短レシピを発信している。


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