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お得なつもりが“家計を圧迫”することに…お金のプロが明かす、ふるさと納税で「避けるべき返礼品」とは?

  • 2025.12.18
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「ふるさと納税でお得になるはずが、かえって失敗した…」そんな経験はありませんか?

良かれと思って選んだ返礼品が、使い切れなかったり保管場所に困ったりして、生活の負担になってしまうケースは意外と多いものです。

本記事では、よくある失敗例をもとに「本当に家計を助ける返礼品の選び方」をマネーシップス代表の石坂貴史さんに詳しく伺いました。賢い活用術を身につけて、お得にふるさと納税を楽しみましょう。

ふるさと納税で失敗しやすい返礼品の特徴とは?

---ふるさと納税で「お得なつもり」が逆効果になってしまう返礼品には、どのようなものがありますか?

石坂貴史さん:

「ふるさと納税で失敗しやすい返礼品には、『もらった瞬間はうれしいが、後で困る』という共通点があります。

金額や豪華さではなく、受け取った後の生活を想像できていないことが原因です。特に分かりやすい3つの例を挙げてみます。

1つ目は、量が多すぎる食品です。たとえば、大量の冷凍肉や魚のセットです。届いたときは『得した』と感じますが、冷凍庫がいっぱいになり、普段の買い物がしづらくなります。『早く使わなければ』という意識から、食事の内容が偏ったり、無理に消費してしまったりします。結果として、食費が減るどころか、生活のバランスが崩れることがあります。

2つ目は、調理や下処理に手間がかかる返礼品です。丸ごとの魚や、加工前の食材が典型例です。時間に余裕がある家庭なら問題になりませんが、忙しい家庭では『せっかくあるのに使えない』状態になる傾向があります。その結果、外食や総菜に頼る回数が増えて、家計がマイナスに働きます。

3つ目は、必要性よりも『得そう』という理由で選んだ返礼品です。高級な家電や嗜好品などがこれに当たります。『税金で買えた気がする』という感覚が強くなり、本来なら買わなかった物まで増えてしまいます。こうした選び方を続けると、お金を使う基準がゆるみ、ふるさと納税以外の支出まで増える可能性があります。

このように、逆効果になる返礼品は『高いか安いか』ではなく、『生活を楽にするかどうか』で判断すべきです。FPとしては、返礼品を選ぶときに『これが家に届いたあと、暮らしは楽になるか』を一度考えることをおすすめします。」

ふるさと納税で「節税」できても失敗に繋がる理由は?

---返礼品選びで「還元率の高さ」や「豪華さ」だけを重視して選ぶと、かえって家計や生活にマイナスになるケースがあるのでしょうか?

石坂貴史さん:

「結論から言うと、あります。しかもそのマイナスは、家計簿には表れにくい形で積み重なります。ここを理解できているかどうかが、ふるさと納税を『制度として使えているか』の分かれ目です。

還元率が高い返礼品は、数字上は魅力的に見えます。しかし、その返礼品が家計の支出を本当に減らしているかは別問題です。たとえば、普段は買わない高級食品を選んだ場合、支出の削減にはつながりません。単に『余分な消費』を前倒しで受け取っているだけです。この場合、節税効果はあっても、家計改善の効果はほとんどありません。

また、豪華さを重視すると、消費のタイミングが限定されやすいです。特別な日に食べようと保管しているうちに忘れてしまったり、使い切れずに廃棄してしまったりするケースもあります。これは家計だけでなく、心理的なストレスにもつながります。『使わなければならない在庫』を抱える状態は、生活の質を下げる原因になるかもしれません。

さらに、豪華な返礼品を選ぶ行為が、消費行動をゆがめることもあります。『どうせ税金で戻ってくるから』という感覚が強くなると、本来必要でないものを選ぶクセがつきます。FPとして見ると、これは支出管理の感覚を鈍らせるリスクです。

つまり、還元率や豪華さだけを基準にすると、『お金は得しているが、生活は整っていない』という状態になりやすいのです。ふるさと納税は、家計の延長線上で考える必要があるでしょう。」

失敗しないためのふるさと納税返礼品の選び方のポイントは?

---ふるさと納税で失敗しないために、返礼品の選び方で最も重要なポイントは何でしょうか?

石坂貴史さん:

「ふるさと納税で失敗しないために、最初に確認すべきポイントは非常にシンプルです。それは、『この返礼品は、もともと自分が買う予定だったものかどうか』という一点です。FPとしては、ここが最重要だと思います。

返礼品を選ぶ前に、普段の支出を思い出してみましょう。食費、日用品費、消耗品費など、毎月ほぼ確実に出ていく支出があります。その中で『これは必ず買う』『いずれ必要になる』というものを返礼品として選べば、ふるさと納税は実質的に支出の置き換えになります。この場合、節税効果と家計改善が同時に成立します。

次にチェックしたいのが、保管と消費のしやすさです。届いた瞬間の満足感ではなく、『届いた後に困らないか』を基準にしましょう。冷凍庫の容量、保存期間、使う頻度を具体的に想像できるかどうかが判断材料になります。ここが曖昧な返礼品は、失敗につながりやすいです。

返礼品を『ご褒美』にしすぎないことも大切です。ふるさと納税は制度上、税金の前払いに近い仕組みです。特別なイベントではなく、家計管理の一部として扱う意識を持つことで、選び方は自然と安定します。

ふるさと納税の成功とは『一番得した返礼品を選ぶこと』ではありません。『何も無理がなく、家計に自然に組み込まれていること』です。この基準を最初に持っておくことが、失敗しないための最大のポイントです。」

ふるさと納税は「生活を楽にする」視点で選ぶべき

ふるさと納税の返礼品選びで最も大切なのは、「数字や豪華さに惑わされず、使い勝手や必要性をしっかり考える」ことです。量が多すぎる食品や手間のかかる食材、高級嗜好品は、もらった瞬間は喜ばしくても、日常生活の中で負担になりかねません。

本当に家計のプラスになる返礼品は、「もともと購入予定だったもの」かつ「届いてから無理なく消費できるもの」。こうした返礼品を選ぶことで、節税効果だけでなく、家計の改善にもつながります。ふるさと納税を利用する際には、ご褒美的な感覚を抑え、家計管理の一環として計画的に選ぶことが成功の秘訣といえるでしょう。

明日からは、返礼品を選ぶときにぜひ「生活を楽にするかどうか」を意識してみてください。それが失敗を防ぎ、納得のいくふるさと納税ライフにつながります。


監修者:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、2級FP技能士、AFP、マネーシップス代表。累計1,200件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」の6つの分野が専門。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポートいたします。


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