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「注意が必要です」不動産会社が警告。ネット検索で出てくる“釣り物件”…「怪しい共通点」とは?

  • 2025.12.18
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

賃貸物件を探していると、「この物件、本当にあるの?」「おとり物件ってなぜなくならないの?」と疑問を持った経験はありませんか。不動産業界に特有の事情もあり、ネット上にはまだまだ「おとり物件」が横行しています。

本記事では、業界の仕組みや見分け方について、合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さんの見解をもとに解説します。あなたの理想の部屋探しに役立つ実践的なポイントを知り、不安を減らしましょう。

「おとり物件」がなくならない理由とは?

---「おとり物件」が横行する背景には、不動産業界のどのような構造的な問題や、事業者側の集客事情が関係しているのでしょうか?

合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さん:

「『おとり物件』がなくならない最大の理由は、不動産業界特有の集客構造そのものにあります。

賃貸仲介は、来店や問い合わせがなければ1円も売上になりません。そのため、多くの会社が「まず問い合わせを取ること」を最優先にしています。ネット上で目を引く条件の物件、つまり家賃が相場より安く、駅近で写真映えする物件はクリック率が圧倒的に高くなります。

問題は、そうした物件が本当に自社で紹介できるかどうかよりも、「集客の入口として使えるか」が重視されてしまう点です。すでに埋まっている、あるいは他社専任で事実上紹介できない物件であっても、「似た条件の別物件を案内できればいい」という発想で掲載されるケースがあります。

さらに、物件情報の多くは業界共通のデータベース(レインズや業者間サイト)から流通しますが、情報更新のタイムラグも存在します。実際には申込が入っているのに、ネット上では「募集中」のまま残ってしまうこともあります。ここまでは構造的な問題ですが、悪質な場合は「埋まっていると分かっていて意図的に載せている」ケースもあるのが事実です。

つまり、「おとり物件」は一部の悪徳業者だけの問題ではなく、問い合わせ数=売上につながるという業界構造と、ネット集客競争の激化が生んだ歪みだと言えます。」

見抜くのは難しい?「おとり物件」の共通点とは

---好条件の物件を見つけた際、実際に内見予約や問い合わせをする前に、ネット上の情報だけで「おとり物件」かどうかを見分けるポイントを教えていただけますでしょうか?

合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さん:

「ネット上の情報だけで『おとり物件』を100%見抜くことは、正直なところ難しいです。ただ、現場にいる立場から見ると、「これは怪しい」と感じるいくつもの共通点があります。

まず注意してほしいのが、条件が良すぎる物件です。例えば、周辺相場より明らかに家賃が安く、築浅で駅から近いにもかかわらず、敷金・礼金ゼロなど初期費用まで極端に安い。こうした条件がすべて揃っている場合は、一度立ち止まって考える必要があります。

現場感覚として本当に人気のある物件は、ネットに掲載された直後、あるいは掲載前の段階で申込が入ります。誰が見ても魅力的な物件が、何日も普通に検索結果に残っていること自体が不自然だと感じるべきです。

次に確認したいのが、情報の具体性の薄さです。以下のような物件は、現状を細かく説明できない、つまり「今すぐ案内できない」可能性があります。

・室内写真が極端に少ない
・他の物件でも見かけるような使い回しの写真が使われている
・間取り図が簡易すぎる
・「即入居可」「空室あり」といった曖昧な表現ばかりが並んでいる

加えて、他社との条件や価格のズレも重要なチェックポイントです。同じ物件や同じマンション名で検索した際、他社では家賃が下がっている、あるいは条件が変更されているのに、特定の会社だけが以前の高い家賃のまま掲載しているケースがあります。この場合、実際には条件変更後の募集が進んでおり、その会社の情報だけが更新されていない、もしくは集客用に古い条件をあえて残している可能性があります。

また、同じ写真・同じ条件の物件が複数の会社で長期間掲載され続けている場合や、更新日が極端に古い、あるいは不自然に毎日更新されている物件も注意が必要です。好条件の物件が何週間も残り続けることは、実務上ほとんどありません。

これらを総合して見たときに、「何となくおかしい」「話がうますぎる」と感じた直感は、意外と外れません。物件の条件だけで判断せず、情報の出し方や他社との比較まで含めて見ることが、「おとり物件」を避けるための現実的な判断基準だと思います。」

誠実な不動産会社の見極め方と物件選びのポイント

---物件検索サイトを見るとき、読者が「おとり物件」を見抜くために、まず最初にチェックすべき具体的なポイントを教えていただけますでしょうか。

合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さん:

「私が物件検索サイトを見るときにまず最初に確認するのは、物件そのものではなく、掲載している不動産会社の姿勢です。具体的には、その会社がどのような物件を普段から掲載しているかを全体的に眺めます。やたらと家賃が安く、駅近・築浅といった好条件の物件ばかりが並んでいる会社は注意が必要です。実際の賃貸市場では、条件の良い物件と、そうでない物件が混在するのが自然であり、「良い話しか出てこない」状態そのものが不自然だからです。

次にチェックするのが、物件説明文の書き方です。「人気物件です」「早い者勝ち」「今だけ」といった言葉が目立ち、具体的な説明がほとんどない場合は警戒します。こうした表現は、物件の中身よりも感情を動かすことを目的にしているケースが多いからです。誠実な会社ほど、日当たりや音の問題、周辺環境など、良い点だけでなく注意点についてもきちんと触れています。

そしてもう一つ、必ず確認したいのが問い合わせへの誘導の仕方です。「まずは来店を」「詳細はお問い合わせください」といった文言しかなく、内見条件や現状が一切書かれていない場合、その物件自体が目的ではなく、来店させることが主目的になっている可能性があります。一方で、申込状況や内見可能日、条件面が具体的に記載されている物件は、実際に案内できる可能性が高く、信頼性も高い傾向があります。

物件探しは、条件だけで判断しがちですが、実際には「誰から借りるか」「誰とやり取りするか」も同じくらい重要です。ネット検索の段階で少しでも違和感や不安を覚えたら、その感覚を無理に打ち消さず、会社選びの視点を持つことが、『おとり物件』に振り回されないための一番現実的な方法です。」

おとり物件に騙されないためにできること

『おとり物件』問題は、単なる悪質業者の問題だけではなく、不動産業界の集客構造や情報流通の仕組みが複雑に絡み合って生まれています。

だからこそ、物件の条件だけでなく情報の具体性、他社との比較、不動産会社の姿勢まで多角的に見ることが大切です。

今回紹介した、「怪しい物件の共通点」や「誠実な会社の見分け方」を参考に、違和感を感じたときには無理に妥協せず、慎重に選択してください。実際に信頼できる不動産会社と出会い、納得のいく物件を見つけることが、快適な暮らしへの第一歩となります。


監修者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹
合同会社ゆう不動産代表。『売る力 × 伝える力』を軸に、不動産の価値を最大化している。不動産売買の専門家として現場に立ちながら、不動産分野に特化したWebライターとして1,000本以上の記事を制作。売却査定から仲介・買取まで幅広く対応し、物件の魅力を正しく伝えることで「早く・高く・安心」の取引を実現している。派手な宣伝よりも、目の前の一人に誠実に向き合う姿勢を大切にしている。地域に寄り添いながら、不動産とWebを掛け合わせた独自の発信力で、オーナーに最良の選択肢を示すことが使命。「売買専門 × 情報発信」の融合ビジネスで、不動産の価値を丁寧に引き出している。


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