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「菌が増えやすくなります」管理栄養士が警告。冷蔵庫のドアポケット…置くべきでない「意外な食材」とは?

  • 2025.12.23
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

冷蔵庫のドアポケット、何気なく使ってはいませんか?

「なぜドアポケットは菌が増えやすいのか」「牛乳や卵の保存はどうすればよいのか」といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。実は、ドアポケットは温度変化だけでなく、湿度や出し入れの頻度にも菌が増殖しやすい条件が揃っています。

今回は、冷蔵庫のドアポケットの菌増殖の原因と、日々の保存に役立つ工夫を、管理栄養士の工藤まりえさんに詳しく伺いました。正しい知識と対策で、食品の安全を守りましょう。

なぜ冷蔵庫のドアポケットは菌が増えやすいの?

---冷蔵庫のドアポケットに食材を保管することで菌が繁殖しやすくなるのは、温度変化以外にどのような環境要因が影響しているのでしょうか?

工藤まりえさん:

「冷蔵庫のドアポケットで菌が増えやすいのは、温度変化だけが原因ではありません。まず大きいのが湿度の変わりやすさです。ドアを開け閉めするたびに外の空気が入り込み、結露が起こりやすくなります。水分が多い環境は、菌にとってかなり快適で、増殖を助けてしまいます。

次に、冷え方が安定しにくい点も重要です。特に冷蔵庫の中に物がぎっしり詰まっている場合、冷気の流れが悪くなり、ドアポケットまで十分に冷気が届きません。その結果、場所によって温度ムラが生じ、菌が生き残りやすい状態になります。

さらに、出し入れの頻度が高いことも影響します。ドアポケットには牛乳や調味料など、毎日のように使うものが置かれがちで、手で触れる回数が増える分、手指の菌が容器表面に付着しやすくなります。

加えて、卵ケースや注ぎ口付き容器は密閉性が低いことが多く、外気や湿気、菌が入り込みやすい構造です。こうした条件が重なり、ドアポケットは菌が増えやすい環境になってしまいます。」

ドアポケットに置くべきでない食材と注意点は?

---ドアポケットに置くと特に品質が劣化しやすい食品はありますか?それぞれのリスクについて教えてください。

工藤まりえさん:

「ドアポケットに置きがちな食材の中で、温度変化による影響を受けやすいのは、牛乳などの液体乳製品です。

牛乳は水分や栄養成分が多く、低温でも菌がゆっくり増える可能性があります。ドアポケットのように温度が安定しない場所では、品質が低下しやすく、特に開封後は注ぎ口から菌が入り込みやすいため注意が必要です。

次に注意したいのが卵です。日本の卵は衛生管理が徹底されていますが、殻の表面に菌が付着している可能性はゼロではありません。温度変化が大きい環境では結露が生じやすく、殻の表面で菌が増えやすくなります。その結果、卵を割る際に、殻に付いた菌が卵の白身や黄身へ移るリスクも考えられます。

一方、調味料は種類によってリスクに差があります。醤油や酢のように塩分や酸が強いものは比較的安全ですが、めんつゆやドレッシングなど、塩分や酸が控えめな調味料は、開封後に温度変化の影響を受けやすくなります。また、マヨネーズやからしなどのチューブタイプの調味料も、使用時に口先が汚れやすく、菌が付着しやすいため、保存環境には注意が必要です。」

冷蔵庫の設置環境や使い方で菌の増殖を防ぐには?

---冷蔵庫の置き場所やドアポケットの使い方で、菌の増殖をどのように防げますか?具体的な工夫を教えてください。

工藤まりえさん:

「そもそも、冷蔵庫の設置位置は適切でしょうか。

冷蔵庫が電子レンジやオーブン、コンロの近くに置かれていると、調理中の熱や放熱の影響を受けやすく、冷蔵庫のドアを開けた時に、庫内温度が上がりやすくなります。特にドアポケットは外気の影響を受けやすいため、設置環境が悪いと温度変化がさらに大きくなります。可能であれば熱源から距離を取った配置にすることが重要です。

そのうえで、冷蔵庫のドアポケットを使う際は、温度変化をできるだけ小さくする工夫が大切です。まず、長時間しっかり冷やしたい食品はドアポケットに置かないことが重要です。牛乳や卵などは、温度が安定しやすい庫内の棚に移すだけでも、安全性は大きく高まります。

次に、ドアを開けている時間を短くする工夫も欠かせません。ドアポケットは外気の影響を直接受けるため、開けっぱなしの時間が長いほど温度が上がります。置き場所を決めておき、ラベルを手前に向けるなど、迷わず取り出せる配置にすることで、無駄な開放時間を減らせます。

また、開閉回数を減らすことも効果的。飲み物や調味料はまとめて取り出すようにすると、温度上昇を抑えられます。さらに、冷蔵庫に物を詰め込みすぎないことも重要です。具体的には、全体の7割程度を目安にすると冷気が循環しやすくなります。

こうした工夫の積み重ねが、ドアポケットの温度変化を抑えるポイントです。」

正しい保存で食品の安全を守ろう

冷蔵庫のドアポケットは湿度の変動、温度ムラ、頻繁な出し入れにより菌が増えやすいことが専門家の見解で明らかになりました。

特に牛乳や卵、開封後の調味料は注意が必要です。冷蔵庫の設置場所を見直し、ドアポケットに置く食品を選び、開閉時の時間や回数を減らす工夫をすることで、菌の増殖リスクを大幅に抑えられます。

日々のちょっとした意識と工夫で、食の安全と品質を守り、安心して保存・使用できる環境を作りましょう。


監修者:工藤まりえ
大学にて栄養学と分析化学を専門とし、管理栄養士免許を取得。卒業後は都内飲食系会社にてフードコーディネーターとして勤務。また、管理栄養士としてはスポーツジムに通う方を対象に、体質改善・ダイエットのための栄養指導を実施。短期的な痩身だけではなく、健康的で太りにくい体質への改善を目指した、専門的かつ行動に移しやすいアドバイスを毎月100名程に対して行っている。