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「領収書を捨てちゃった…」→お金のプロが断言「医療費まだ戻ります」。年末調整で損する人が陥る“3つの誤解”

  • 2025.12.17
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

年末調整の時期になると、「領収書をなくしてしまったから医療費控除の申請はできない」と早々にあきらめてしまう方が意外と多いです。

しかし、それは誤解や情報不足が原因であり、実際には領収書がなくても控除を受けられる可能性があります。なぜそんな誤解が生まれてしまうのか?そしてどうすれば申告が可能なのか?

今回は、レシートを失くしても諦めずに医療費控除を申請するための方法について、マネーシップス代表 石坂貴史さんに詳しくお話しを伺いました。

年末調整の悩み「領収書をなくしてしまったら、申請は無理?」の真相

---年末調整で医療費控除の申請を見送ってしまう方に共通する「領収書を捨ててしまった後の対応」への認識不足は、どのような情報不足や思い込みが背景にあるのでしょうか?

石坂貴史さん:

「年末調整の時期になると「領収書を捨ててしまったから、申請できない」と早めに諦めてしまう方が多いです。その背景には、三つの情報不足と共通した流れがあります。

まず、「領収書がないと証明できない」という思い込みです。これは、医療費控除のしくみに触れる機会が少ないことが原因です。医療機関や薬局には、支払いの記録が残っていることが多いのですが、日常で意識する場面が少なく、「失くした時点で手が打てない」と考えてしまいます。

次に、「年末調整で間に合わないと申請できない」という誤解です。会社が税金の手続きをまとめて行ってくれる仕組みに、慣れていることが背景にあります。医療費控除が本来は自身で行う確定申告の手続きであるという情報が十分に伝わらず、「時期を逃した」と思い込んだ段階で、準備を止めてしまうのです。

3つ目に、「少額の医療費は対象にならない」という判断です。家族分を合算することで、対象になる可能性があるのですが、小さな支出を軽視して、記録を残す意識も弱くなる傾向があります。

それぞれの誤解は、手続きが複雑そうに見えることや、支払いの整理に手間がかかりそうだという印象ともつながっています。これらが重なることで、実際には対応できる状況でも、早い段階で諦めてしまう状況が生まれています。」

医療費控除の期限誤解と少額医療費の過小評価、その理由とは?

---レシート捨てても医療費控除は受けられるのでしょうか、また領収書の再発行や代替手段について教えてください。

石坂貴史さん:

「医療費控除は、レシートや領収書を捨ててしまっても受けられる場合があります。

医療機関や薬局には、支払いの記録が残っていることが多く、明細を後から発行してもらえることがあるのです。これは領収書の「再発行」ではなく、支払内容を確認できる「明細」です。記録が残っていれば、医療機関の窓口や薬局に相談することで、入手できる可能性があります。

また、公的な「医療費通知」も代わりの資料として活用できます。これは健康保険組合などが発行するもので、受診した日や支払額がまとめて記載されています。すべての支払いが載るわけではありませんが、手元の資料が少ない場合に役立つでしょう。

どうしても資料がそろわない部分があっても、確定申告で自身が作成した明細書を提出する方法があります。この場合は金額を正確に書く必要があるため、診療日の記録や銀行の利用明細など、手がかりになるものをできるだけ集めることが大切です。

レシートを捨ててしまったからといって、諦める必要はありません。支払記録の確認、医療費通知の活用、自身で作る明細などを組み合わせることで、申告が可能な場合があります。手続きは年末調整ではなく、確定申告で行うため、時期を逃しても対応できます。」

領収書なしでも医療費控除は可能。手続きのポイントとコツとは?

---年末調整で損をしないために、レシートを捨ててしまった人でも今すぐ始められる「医療費控除の準備」として、最も効果的な最初の一歩を教えていただけますでしょうか。

石坂貴史さん:

「最初の一歩として最も効果的なのは、手元の資料が揃っていなくても「今ある情報から、確実に拾えるものを固定させること」です。レシートを捨てた場合、多くの方は何から始めるべきか分からず行動が止まります。最初に着手すべき作業は、数字の確認よりも「情報源の把握」です。どこに確認すれば、必要な記録が出てくるのかを整理することで、後の収集を効率よく進められます。

具体的には、自身が加入している健康保険の種類をまずは確認しましょう。健康保険組合や協会けんぽは、医療費通知を発行しているため、受診内容の多くがまとめて確認できます。この仕組みを理解しておけば、失ったレシートを一枚ずつ探す必要がなくなり、医療費の全体像を早い段階でつかめます。

次に、日常的に使っているサービスの履歴を確認することが有効です。薬局の会員アプリや電子決済の履歴には、医薬品の購入記録が残っている場合があります。こうした日頃の利用データは忘れることが多いですが、医療費控除の準備では、大きな手助けになります。

さらに、医療費控除は年末調整ではなく確定申告で行うため、時間に追われず整えることができます。この点を理解しておくと、必要書類を急いで集める負担が軽くなり、計画的に準備が行えます。

最初の一歩として大切なのは、失った領収書そのものに意識を向けるのではなく、確認できる情報の入り口を押さえることです。この姿勢が、後の作業を確実にして申告までの流れを円滑に進めます。」

医療費控除、レシート紛失でもあきらめずに情報活用を!

年末調整時に領収書を失くしてしまっても、多くの方が思うほど申告が不可能なわけではありません。

本記事で紹介したように、医療機関や薬局で明細を再発行してもらうことや、健康保険組合が発行する医療費通知を利用する方法があります。さらに、自身で明細書を作成して確定申告すれば、時間を気にせずに申請できるのも大きなメリットです。

最初の作業は、失くした領収書そのものにとらわれず、どこに確認すべきか情報源を把握すること。これが後々の資料収集を効率化し、医療費控除申告への道を開きます。今後は、日頃から健康保険の制度や利用履歴にも目を向け、手元資料の不足を補う意識を持つことが、賢い医療費控除対策につながるでしょう。


監修者:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、2級FP技能士、AFP、マネーシップス代表。累計1,100件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」の6つの分野が専門。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポートいたします。


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