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「なくすと数週間運転できない」“マイナ免許証”のリスク…元厚労省FPが勧める、即日復帰できる「賢い対応策」

  • 2025.12.19
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

マイナンバーカードと運転免許証が一体化したマイナ免許証の普及に伴い、「もし紛失や破損した場合はどうすればいいのか?」と不安に感じている方も多いでしょう。

特に業務で車を使用する方にとっては、運転できない期間が生じることは大きな問題です。また、有効期限の違いや更新手続きの煩雑さにも戸惑いがあるかもしれません。

この記事では、こうした悩みを解消すべく、対応策やリスク回避のポイントについて元厚生労働省勤務 ファイナンシャルプランナーの柴田 充輝さんに詳しく伺いました。正しい知識を身につけて、万が一のトラブルにも安心して対処できるようになりましょう。

マイナ免許証の紛失・破損時に即日発行できる従来型免許証の救済策

---万が一、マイナ免許証を紛失したり、ICチップが破損したりした場合、再発行までに数週間かかると聞きます。その間、物理的な免許証を持たない『一本化』した人は、一切車を運転できなくなるのでしょうか。仕事で車を使う人にとっては致命的ですが、即日発行などの救済措置はないのですか?

柴田 充輝さん:

「マイナ免許証を紛失・破損した場合、そのまま運転すると「免許証不携帯」の交通違反となり、反則金3,000円が科されます。マイナ免許証をなくすと、数週間運転できないので、業務で車を使う方にとってはは深刻な問題です。

しかし、救済措置は用意されています。マイナ免許証を紛失・破損した際は、運転免許センターで申請手続きを行えば、従来型の運転免許証を原則即日発行できます(手続きの詳細は都道府県警察により異なります)。これにより、マイナンバーカードの再発行に時間がかかる場合でも、法的要件を満たして運転を継続できます。

ただし注意点として、マイナ免許証の再交付には、まずマイナンバーカード本体の再発行が必要です。マイナンバーカードは市区町村窓口で手続きできますが、即日発行はできません。したがって、マイナンバーカードが手元に戻るまでの間は、運転免許センターで再発行された従来型免許証で対応することが現実的な解決策となります。

最も確実なリスク回避策は、マイナ免許証と従来型免許証の2枚保有です。免許更新時に別途手数料は発生しますが、1枚を予備として保管しておけば、常用している免許証を紛失したり、ICチップが破損したりした場合でも、もう1枚で即座に対応できます。特に業務で運転が必須の方や、緊急時の手続きに時間を割けない方にとっては、コストを考慮しても2枚保有による事前準備が最も合理的で有効なリスクヘッジといえるでしょう。」

マイナ免許証紛失時のリスク回避に有効な2枚保有のすすめ

---もし大規模な通信障害やシステムダウン、あるいは災害が発生してカードリーダーが使えなくなった場合、警察官の取り締まり現場ではどのように免許確認を行うのでしょうか?

柴田 充輝さん:

「大規模な通信障害やシステムダウンが発生し、マイナ免許証のICチップ読み取りやオンライン確認が不能になった場合でも、運転免許の確認手段は複数用意されており、確認が全くできなくなる事態は回避される仕組みです。

現場の警察官は通常、P3と呼ばれる警察専用のモバイル端末で、マイナ免許証に内蔵された運転免許情報にアクセスして確認を行います。ただし、この専用端末も一般の通信キャリアのネットワークを利用しているため、広域通信障害時にはオンライン確認が困難になる可能性があります。

そのような状況では、警察は運転者の氏名・生年月日などの情報をもとに、中央の運転免許証管理システムへの照会を実施します。具体的には、取締り車両搭載の無線を使用するか、警察署の事務部門に連絡して照会を依頼する手順が取られます。このデータベース照会により、マイナ免許証の読み取り機器が機能しない状況でも、免許の保有状況や有効期限を把握できます。」

マイナ免許証の有効期限と更新手続きの複雑さにどう対応すべきか?

---マイナンバーカード(電子証明書)と運転免許証では、有効期限や更新のタイミングが異なります。一本化することで管理が複雑になり、気づかないうちに『免許失効』や『証明書期限切れ』に陥る人が続出するのではないでしょうか?

柴田 充輝さん:

「マイナンバーカードと運転免許証を一体化した「マイナ免許証」では、有効期限と更新タイミングの相違が管理を複雑にするという点は、制度設計上の重要な課題の一つです。現行制度ではそれぞれの手続きが独立しているため、利用者の注意が必要です。

マイナンバーカードと運転免許証は異なる法律に基づき発行されており、有効期間も異なります。運転免許証の有効期限は運転者の区分(優良・一般・違反など)により3〜5年です。一方、マイナンバーカード本体の有効期限は発行から10回目の誕生日まで(18歳未満は5回目)、電子証明書は発行から5回目の誕生日までと設定されています。

このため、一体化されたマイナ免許証でも、それぞれの有効期限に合わせて個別の更新手続きが必要です。特に注意すべきは、マイナンバーカードを更新した場合、事前に警察へ免許更新の申請をしなければ、運転免許証の情報が自動的に引き継がれない点です。一体化の手続きを改めて行う必要があり、この二重手続きが煩雑化の主因といえるでしょう。

現時点では、利用者自身が両方の有効期限を正確に把握し、個別のタイミングで更新を行う必要があります。ただし、マイナンバーにしても運転免許にしても、有効期限が近づいてくると郵送でのお知らせが来ます。この点は、従来と変わりません。従来と同じように「通知が来たから更新の準備をする」というシンプルな対応で、実務上は問題ないでしょう。」

マイナ免許証は紛失・更新に備えた適切な準備で安心安全に使おう

マイナ免許証の紛失や破損は、放置すれば交通違反のリスクがありますが、運転免許センターでの即日発行や2枚保有の対策によって迅速に対応可能です。通信障害が起こっても警察のデータベース照会により不当な拘束を避けられる仕組みが整っているため、不安を必要以上に感じることはありません。

また、マイナンバーカードと運転免許証の有効期限が異なるため、更新時にはそれぞれの手続きを確実に行う必要がありますが、定期的な通知が来ることから、着実に準備を進めれば混乱を避けられます。

マイナ免許証を安全かつ便利に利用するには、備えを怠らず適切な手続きで安心を確保することが大切です。


監修者:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1200記事以上の執筆実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。


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