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わずか10分放置しただけで鶏肉が…国民生活センターの実験に戦慄…年末年始に気をつけたい“ボタン電池の誤飲”

  • 2025.12.24

クリスマスや年末年始に、我が子や親戚の子どもにおもちゃのプレゼントをする予定のある方もいるのではないでしょうか。また、帰省などで普段と違う環境で過ごす時間が増える家庭もあるでしょう。

そんな楽しい時期だからこそ、注意したいのが「ボタン電池の誤飲」です。

ボタン電池は、おもちゃをはじめ、時計やLEDライトなど、私たちの身の回りのあらゆる製品に使われています。小さくて丸い形は、子どもの興味を引きやすく、誤って飲み込んでしまう事故が後を絶ちません。

ボタン電池に関して「窒息が心配」と思われる方は多いかもしれませんが、実はそれ以上に恐ろしいのが「化学やけど」のリスクです。そこで、今回はボタン電池誤飲のリスクと、飲み込んでしまった場合の対処法、そして今日からできる予防策について紹介します。

なぜ「大変危険」なのか?窒息とは違う「化学やけど」の恐怖

ボタン電池を飲み込んでしまうと、なぜ危ないのでしょうか。多くの方が心配される「窒息」ももちろん危険ですが、ボタン電池の場合、それ以上に深刻なのが「化学やけど」です。

「化学やけど」って何?体内で起こる恐ろしい化学反応

ボタン電池が体内の食道や胃に触れると、電池からタンパク質を溶かす液体が発生します。この液体が、体の細胞を傷つけてしまうのです。これが「化学やけど」と呼ばれる状態です。

短い時間のうちに体の組織が傷つき、最悪の場合には穴が開いてしまうこともあります。過去には、ボタン電池を飲み込んだことで気管に穴が開き、命が危険にさらされた事例も報告されています。

わずか10分で!恐ろしいボタン電池の威力

「短い時間のうちに体の組織が傷つく」と説明しましたが、いったいどれくらいの時間で体の細胞は傷ついてしまうのでしょうか?

国民生活センターが「生理食塩水に浸した鶏肉の上にボタン電池を置く」という実験をしたところ、わずか10分ほどで鶏肉が電池の形にくぼんでしまいました。もし体内で同じことが起こったら…と考えると、恐ろしいですね。

特に危険なのは「コイン形リチウム電池」

ボタン電池にはいくつか種類がありますが、中でも特に気をつけたいのが「コイン形リチウム電池」です。

この電池は平たく幅が広い形をしているため、食道などに引っかかりやすく、体内に留まる時間が長い傾向にあります。おまけに電圧も高いため、より深刻なダメージを受ける危険性があるのです。

「うちは大丈夫」が危ない!実際に起きたボタン電池事故の事例

「うちの子はまだ小さいから、ボタン電池なんて触らない」「危ないものはちゃんと片付けているから大丈夫」。そう思っている方も多いかもしれません。

しかし、実際に起きた事故を見てみると、ほんの少しの油断や、予想外の状況で事故が発生しています。ここでは、実際に起こったボタン電池事故の事例を2つご紹介します。

事例1:高い場所に置いたはずが…

1歳の赤ちゃんの保護者が、絵本に使われていた古いボタン電池3個を交換しました。使い終わった電池は、子どもの手が届かないよう、高さのある棚の奥に置いておきました。

ところが、10分ほど目を離したすきに、そのうちの2つが行方不明に。残りの1つも床に落ちていました。「なんらかの原因でボタン電池が落ちて、赤ちゃんが飲み込んでしまったかもしれない」。そう思った保護者が急いで病院を受診したところ、胃の中にボタン電池が2個入っていることが確認され、摘出されました。

事例2:おもちゃの電池ふたが壊れていて…

5歳の子どもが、自宅で突然泣き出しました。本人が「ボタン電池を飲み込んだ」と話したため、すぐに病院を受診。検査の結果、胃の中にボタン電池があることが確認され、摘出されました。

ボタン電池を飲み込んでしまった原因は、絵を描くおもちゃの電池のふたが壊れていたこと。ネジで留めるタイプではなく、パカッと簡単に外せるタイプのふただったため、壊れたふたがそのまま落ちてしまったようです。その結果、おもちゃ箱の中でボタン電池が外れて転がり出てしまいました。

 

どちらの事例も、保護者が完全に目を離していたわけではなく、「これなら大丈夫」と思える状況でした。しかし、「電池のふたが壊れた」「高い場所から電池が落ちた」など、予想外の出来事によって事故が起きてしまったのです。

今日からできる!ボタン電池事故の「予防策」

では、ボタン電池による事故を防ぐためにはどうしたら良いのでしょうか?ここでは、今日からできる予防策をご紹介します。

ボタン電池を使っている製品を把握する

まずは、家の中のどの製品にボタン電池が使われているか確認しましょう。ボタン電池は、おもちゃだけでなく、以下のような製品に幅広く使われています。

  • リモコン
  • 時計
  • 体温計
  • キッチンタイマー
  • LEDライト
  • 補聴器
  • 体重計
  • 防犯ブザー

意外なところに使われていることもあるので、一度家の中を見回してみましょう。

ボタン電池のふたをチェック・固定する

また、電池のふたが簡単に外れないか確認することも大切です。

  • 壊れていないか
  • ゆるくなっていないか
  • ネジで固定されているか

などをチェックすることが大切です。もし簡単に外れそうな場合は、テープで補強するなどの対策をしましょう。特に、子どもがよく手を触れるものは要注意です。

ボタン電池を子どもの手の届かない場所に保管する

未使用のボタン電池や、使用済みのボタン電池は、必ず子どもの手の届かない場所に保管してください。特に、次の点には注意が必要です。

  • 踏み台を使って届く位置に保管していないか
  • 保管場所には鍵をかけているか
  • 「使用済みだから」という理由でゴミと一緒に置いていないか

中には「上のお兄ちゃんやお姉ちゃんがボタン電池を使い、置きっぱなしにした」ことから事故に発展したケースもあります。きょうだいのいるご家庭は、上の子に「小さな子はボタン電池を飲み込んでしまうことがある」ことをしっかり教えておきましょう。

安全に配慮されたおもちゃを購入する

おもちゃを購入する際は、STマークなど安全に配慮された製品を選びましょう。STマークのついた製品は、電池の誤飲に配慮されたつくりになっています。

電池交換は子どもの見ていない場所でする

電池を交換するときなど、「ちょっとだけ」とテーブルの上に置いたり、床に置いたりすることも危険です。わずかな時間でも、子どもが手に取ってしまう可能性は十分にあります。電池交換は、できるだけ子どもが見ていない場所で行いましょう。

「ボタン電池を飲み込んだ!」どうする?

どんなに気をつけていても、万が一ということがあります。もし子どもがボタン電池を飲み込んでしまった場合、どうすれば良いのでしょうか?

ボタン電池を飲み込んだ疑いがある場合、迷わず医療機関を受診してください。鶏肉が10分で溶けた事例でもわかるとおり、化学やけどは短時間で進行します。10分、20分という時間が命を左右することもあり得るのです。

病院へ行く際は、可能であれば下記のものを持っていきましょう

  • 飲み込んだ電池と同じ種類の電池(パッケージでも可)
  • 電池が入っていた製品

電池の種類が分かれば、医師が適切な処置を判断しやすくなります。

年末の大掃除で、家の中の総点検を!

今回は、ボタン電池の誤飲事故について、その危険性と予防策、そして万が一の際の対処法をご紹介しました。

この記事で、「化学やけど」という言葉を初めて聞いた方も多いかもしれません。ボタン電池を飲み込むと、わずか10分ほどで体の組織が傷ついてしまう…そんな恐ろしいリスクがあることを、ぜひ覚えておいてください。

年末年始は、大掃除で普段手の届かない場所を片付けたり、クリスマスやお正月のプレゼントで新しいおもちゃが増えたりする時期です。この機会に、ぜひ家の中を見回してみましょう。

「うちは大丈夫」と思っていても、予想外の事故は起こり得ます。実際の事例でも、保護者が注意していたにもかかわらず、ほんの少しの隙に事故が発生してしまいました。

子どもは成長とともに、できることがどんどん増えていきます。昨日まで届かなかった場所に、今日は手が届くかもしれません。だからこそ、定期的なチェックが大切なのです。小さな心配りが、大切な命を守ります。

この年末、家族みんなが安全に、楽しく新年を迎えられますように!


参考:
赤ちゃんやこどもを誤飲・窒息事故から守る!万一のときの対処法は?(政府広報オンライン)
Vol.547 ボタン電池誤飲を防ぐために! 電池を使う製品は子どもの手の届かないところに置きましょう。(消費者庁)
【No.383】子どものボタン電池の誤飲事故に注意!(独立行政法人 国民生活センター)


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