最終話で明かされた“真犯人”「強いメッセージがあった」話題のイジメ作品に込められた“制作陣の思い”【土曜ドラマ】

間宮祥太朗と新木優子がＷ主演を務める日本テレビ系土曜ドラマ『良いこと悪いこと』（毎週土曜よる9時～）の最終話が12月20日に放送された。

同窓会をきっかけに集まった小学生時代の同級生たちが掘り起こしたタイムカプセル。その中にはそれぞれが当時描いた将来の夢の絵と卒業アルバムが入っていた。しかし、アルバムのクラス写真のうち、6人のクラスメイトの写真が塗りつぶされていた。6人の共通点は猿橋園子＝どの子（新木優子）をいじめていたこと。その日から同級生たちが次々と不審な死を遂げていく。

第9話では犯行を行ったのが宇都見啓（木村昴）だということがわかったが、最終話では予告で示唆された“真犯人”が明らかにされた。

※以下本文には放送内容が含まれます。

真犯人は2人いた

宇都見が逮捕され、事件は終焉を迎えたかのように思われた。高木将（間宮祥太朗）にもどことなく安堵の表情が覗いていたが、穏やかな時間は束の間のことだった。

『週刊アポロ』の記者で園子の同期である東雲晴香（深川麻衣）が、宇都見の殺人の動機が、高木たちによる過去のいじめであると記事に書いたことで事態は一変する。いじめを行っていた高木が特定され、高木塗装は嫌がらせを受けたり、仕事のキャンセルが入ってしまう。さらに娘の花音（宮崎莉里沙）は学校でいじめを受けるようになる。

絶望する高木だったが、そんな中で瀬戸紫苑（大後寿々花）が通っていた施設『タクト学園』のロゴと、スナック『イマクニ』のロゴが似ていることに気がつく。『イマクニ』に出向いた高木は、今國一成（戸塚純貴）が施設で紫苑と同級生だったことを知る。一方、東雲に会いに行った園子も、東雲が紫苑と同級生だということが明かされる。一連の事件は、宇都見と今國、東雲が計画したことだったのだ。

連続殺人事件の最終目的は

宇都見にプロポーズされ、紫苑は幸せの絶頂にいたはずだった。今國と東雲も友人の幸せを祝福していた。それが、高木と再会したことで崩れたのだ。

今國と東雲は復讐と同時に、いじめが裁かれる世の中を作ろうとしていた。2人の計画はこうだ。真犯人を知った高木が報復のために今國の命を奪い、逮捕される。そしてそれを東雲が記事として報道する。いじめによる連鎖の恐ろしさを伝えることで世界を変えていく。

「いじめそのものを殺す」「いじめが法的に犯罪とされるまで記事を書き続ける」と言っていた東雲。いじめによって苦しめられた今國と東雲による高木たちに対して、そして世の中に対しての復讐と言ってもいいのかもしれない。

しかし、高木は銃を渡されながらも、今國を撃つ決断はできなかった。

「俺の言えたことじゃないけどいじめなんてほんと無意味でクソで最悪だ」「何にも生み出さない」「ただ奪っていくだけだ」

涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、高木は今國に訴えかける。高木が今國を手にかけなければ計画は成立しない。今國の表情には失望の表情が広がる。

東雲と園子、今國と高木の対峙シーンにはSNSでも「4人の演技がすごかった」と称賛の声が寄せられ、なかでも戸塚純貴の好演について「演技ヤバイ」「ただの店員で終わるはずがないと思っていた」と注目が集まっていた。

制作陣が伝えたかったこと

『良いこと悪いこと』は考察ドラマでありながら、制作陣からの強いメッセージが込められていた作品だったのではないだろうか。実際に最終回後は「強いメッセージがあった作品だった」「真摯なメッセージが詰まっていた」という投稿が溢れていた。

いじめをなくしたい、と言っていた東雲たちだが、彼女たちの行動によって花音はいじめられた。東雲たちは“良いこと”だと思っていたのに、新たないじめを生んだことで“悪いこと”にもなった。もともと高木たちがいじめをしなければよかったのは大前提としてあるのだが、だとしたら、東雲たちはどのような道を選べばよかったのか、とも考えさせられる。

園子が言った「いいことを選びたいと思っているけど、私にとってのいいことは、もしかしたら別の誰かにとって悪いことかもしれない。でもそれを決めるのは自分。だから私たちは自分の選択に責任を持たないとダメなの」というセリフは全ての人が心にとどめておきたい言葉かもしれない。

---

日本テレビ系『良いこと悪いこと』毎週土曜よる9時放送
TVerでは最新話を配信中
https://tver.jp/series/sr97rekpee

ライター：ふくだりょうこ（Fukuda Ryoko）
うさぎと暮らすライター。シナリオやインタビュー、コラム、エッセイなどを中心に執筆。小説とお酒と音楽とドラマがあればだいたいご機嫌。